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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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かごめ かごめ。
*

巨漢の漢が満月の虚空に舞う。
いびつな艶めかしい巨塔が、剣撃に削られ、そして再びカサブタの如くすぐさま傷口は盛り上がり、再び漆黒の肢体を晒してそびえ立つ。

元々刃こぼれはあるが、太刀によるダメージをもろともせず、逆に時間を負う毎に『愚者』はボディの強度を増していった。
理由は火を見るより明らかだ。戦闘のさなかにも関わらず、足下に広がるスライム状の胴体(特に地面と接する底辺の部分より)からシャドウを次々に猛烈な勢いで吸収・統合化し続けている。周囲のシャドウを薙ぎ払えば良いと思われるかも知れないが、守るべき存在がある今、そんな事までしている余裕は無く、また、通常のシャドウを吸収するのにしても、こんなに高速で具象化しているシャドウを取り込みすぐさまエネルギーに変換する事など、自分には不可能である。
人間で例えるなら、料理もしていない丸々と太った肉の塊を飲み込んですぐに消化しているようなものだ。
シャドウとしても、通常の概念を逸脱した、まさしくイレギュラーな存在。

『愚者』は、異様に膨張し、提灯の如く膨れあがった下腹部(?)を揺すってデスを見下ろした。

『 まだ こうさん しなーい? 』
『しないさ、それだけは出来ない!!』

『   あっ そ  』

腸の蠕動運動を思わせる、上下への不規則な筋肉の揺らめき。
直後、一輪挿しの先のように細い頭頂部へと筋肉の塊が動き、火炎の球体がデスに向かって放出される。

横っ飛びに避けながらジャングルジムを三歩で駆け上がり、飛び上がった勢いと筋力に任せて『愚者』の右肩部分へと刀を袈裟懸けに叩きつける。
羊羹に似た、黒々とした濃淡の無い断面がめくれ上がった次の瞬間には断面の至る所に黒い孔が麻疹の如く沸いて幾千と粘土状の顔面を隆起させ、一斉に嬌声を唱えると再びめくれ上がった断面は逆再生され、元通りの膨れあがったスライムの右腕として再生されていた。

「デス!そいつに同じ攻撃を繰り返すのは無意味だ!…奴ら、攻撃を食らうたびに耐性を身につけて、それの耐性に見合ったシャドウから順に吸収して攻撃を無効化しようとしている!!もう剣撃はほとんどダメージになっていない!他の攻撃で身を守るんだ!」

榎本が背後から絶望的なアナライズをデスに告げるも、死神は振り返らず身じろぎもせずにただ前方の強敵を睨む。
既に『愚者』の身の丈は先程駆け下りた雑居ビル以上の高さになり、全身を覆う筋肉や強靱さ、体格差に至るまで猛烈なスピードでデスを追い越し、一輪挿しと形容した体型は口の細い壺のような形状を為していた。膨張した腹部は仮面の無いシャドウの黒い顔でびっしりと埋まり、先端部分には鎌首をもたげる白磁の仮面、取手の代わりに細く長い手が二本、ぺらぺらの布地状に北風になびかれるままにそよいでいる。
首をホースのように伸ばしデスの眼前に突き出すと、「0」の番号が刻まれた白磁の仮面はニタリと笑った。

『 たかーい たかーい 』
『 おにさん ちっちゃーい 』
『 しかも よっわーい 』

腹部のシャドウが声を発し、一斉にげらげらと笑い声を上げる。
周囲に反響し、砂嵐の比にもならないほどの耳障りな嘲笑がこだまする。
白磁の仮面は、顔をしかめるデスの仮面の奥を覗き込んで、首を傾げる。

『 こうたいよ フタバちゃん かえして 』
愛らしい少女を思わせる鈴の音のようなノイズで、『愚者』は囁く。
その声は、あまりにも膨れあがった体型とアンバランスで、榎本は背後であからさまに顔をしかめた。

『断る。フタバは僕の一番大切な存在だ、渡す訳にはいかない!…何故だ、なんでそこまで僕らに執着する?お前達の狙いは僕じゃなく、フタバなのか?さっきも問いただした時、フタバが鬼だ、と言ったな。一体、何の事なんだ!?』
『 そのまんま だよ ? フタバちゃんは おにー 』
『いつからの話だ?僕は、君たちなんて知らないぞ?』

『 わたしは しってるよー 』
『…なんだって?』

『 しにがみ でしょー ? フタバちゃんの おともだち わたしたちの しを たべて おおきくなった こども 』

『愚者』の言葉に、デスは短い呻きを上げて息を飲んだ。

『 かがみの おへやで ずっと フタバちゃんを ひとりじめ
  ずるい おまえは ずるい だから だいっきらい 』
『………まさか、そんな、バカな!まさか、まさかあの島で、お前達は…』

デスの明らかな動揺に、榎本も眉をひそめ事の成り行きを見つめる。

『 わたし ずっと みてた フタバちゃん
  あなたが いたから いたい いたい
  ずっと いたい おもいしてた 』
『……』
『 わたし だけじゃないの
  みんな みんな みてたわ
  みんな フタバちゃんと いっしょに いた
  でも フタバちゃんだけ かえっちゃった
  パパのところに かえっちゃった 』

悲しげな『愚者』の嘆きに、腹部の孔から痛々しい子供のノイズがわあわあと沸き立つ。

『 どうしてー? フタバ ぼくたち いきかえらせる やくそく したのに 』
『 じぶんだけ かえった 』
『 じぶんだけ おおきくなった 』
『 じぶんだけ ペルソナ よこどり わるい わるいー 』
『 ぼくも がっこう いきたーい 』
『 あたしも おうち かえるー 』
『 おれ やきゅうー さっかー どっぢー 』
『 なんで なんで フタバだけ パパが できたのー ? 』

『 だから こうたい こうたい だよー 』

こうたい、という言葉に、周囲は一斉にシン、と静まりかえる。
『愚者』は首をもたげると、満月を背に榎本達を見下ろした。












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