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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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刹那の陰で。

*
『遅い!!』
爆発の直撃を辛うじて避けたデスは、軸足で地を蹴って虚空に飛び上がると、公園内で一番大きいポプラの太い幹をしならせ、次の瞬間思い切り蹴り上げ再び空に舞った。
既に肥大しきり、最初の遭遇時から数倍に膨張した『愚者』の全身を二度三度勢いに任せて駆け上り、右肩で飛び跳ね跳躍すると、頭頂部の白磁の仮面を一瞬見下ろす。

『 あ あれ ? 』
『…遊びは終わりだ!喰らえぇえええええええ!!』

太刀を頭上に構え、全身の筋肉を弓の如く引き絞り、デスは刃に全体重を込めて白磁の仮面へと振り下ろした。
強度を増す全身において、唯一強化されない部位。
半ばあてずっぽうながら、答えはここしか残らなかった。

渾身のブレイブザッパーが、『愚者』の仮面を、まっぷたつに叩き割る。
辺りにつんざくような悲鳴が響き渡り、『愚者』は砕けた仮面を両手で押さえて天を仰ぎ悶絶した。

『ギイヤアアアアアアギアアアアアアア!!!』

最後の叫び声を残し、愚者の全身が震える。溶ける。融解し、どす黒い泡となって天上に消えていく。塩を全身に巻かれたナメクジと同じく、頭部の中枢を無くし、『愚者』は表面から溢れ落ち、倒壊していった。

『…勝った、か』
消えゆく『愚者』を見下ろし、最後のひとちぎり分が消失したのを見届けて、肩で息をしていたデスはすぐにファルロスの姿に戻ると、慌てて双葉の元に駆け寄る。
双葉は榎本の腕の中で、悲壮な面持ちで苦しげに喘いでいた。

「…フタバ、フタバ、勝ったよ。もう大丈夫だ」
「………」
「フタバ、ねえフタバ、しっかりして!!」
腕を掴み、必死にファルロスが呼びかけるも、双葉はぴくりとも反応しない。
顔元はひどく憔悴しきって今にも事切れそうなほど弱々しく見えた。
「さっきからずっと呼びかけても起きないんだ…ファルロス、どうなの?双葉君、回復してる?」
「分からない…だけど、ピークは過ぎたみたい。おじさんのペルソナの力が効いてきたのかな?このまま落ち着いてくれればいいけど」
「困ったなあ…ああ、さっさと影時間が明けないかなあ…あいつ倒したんだし、もうそろそろ元の時間に戻っても…」

ファルロスは双葉の容態だけを気にし、榎本はペルソナの使いすぎで疲弊しきり、召喚機を懐にしまうと時の狭間が消え去る瞬間を待っていた。

だから、気付かなかった。
たった一握り、『愚者』の千切れた一部が月下に伸びた濃い影の内に潜んでいた事に。
その一部が、影の間を縫い、いびつに捻れた木陰と交わっていた双葉の影に近づき、影の内に溶けていった事に。

「 …」

一瞬、短く双葉は喘ぎ、そのまま目覚める事無く夢に沈んだ。












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