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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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白に浮かぶ黒。
*

ゆれる。ゆれる。視界が歪む。
白い。どこまでも、白い。
おとーさん、どこ。
ここは、どこ。

「フタバ」

…ちがう。
これは、さっきの坊やの声。
どうしたの。
どこにいるの。

「…フタバ、フタバ、起きて、起きて」

起きる…?

そっか、これは夢…僕の悪夢の欠片…。
冷たい過去の残滓…。


(逃げるな)


耳元に囁く声に、背筋が凍り付く。
揺れていた世界が白地に固着し、つま先から乳白色の水面が揺れる底面に、そっと降り立つ。
全身に上手く力が入らない。
膝を付き、その場に崩れ落ちそうになるのを手をついて耐える。
膝の下から、掌の下から、波紋が広がる。
白い、白い、同心円を描く波紋が。

白い世界でたった一つ黒い、インクのシミのような僕の足下から。

(逃げるな)

すぐ背後で、密着するようにして、聞き覚えのある少年の暗い声がする。
あの坊やの声じゃない。
よく似ているけど全く違う。
生々しくも機械的な語調。たどたどしい口使いが、幼さを際だたせる。

(見ろ 僕を見ろ 僕を見ろ フタバ)

氷の欠片が滑り落ちていくような、背筋を抜ける寒気に震え上がる。
背筋だけじゃない。
心の奥まで、かちかちに怯えて震え上がっている。

怖い。声が、怖い。

幼い、幼稚園児のような、だけどハッキリと訴えかける、少年の静かな気配。
首の根本から、足のつま先まで、全身に震えが伝わっていく。

(見ろ (ボクヲ)
 見ろ (ソノメデ)
 見ろ (カコヲ)
 見ろ (ジブンヲ)
 見ろ (オモイダセ)

 オカシタ ツミ ヲ
 チョクシ シロ

 フタバ )

「見ちゃ駄目だ!振り返っちゃ駄目!!」

しましまパジャマの坊やの叫びが、僕の耳元に降り注ぐ。
その声を同じく背に受けて、聞き覚えのある「誰か」が聞き覚えのある声で、くすくすと微かに笑った。

怖い。見たくない。
だけど。
だけど。

見たい。
恐怖と畏れの正体を、僕は、知りたい。
もう、自分の内にある不可解な恐怖から、逃げたくない…。

僕は。
立ち上がった。

ゆっくりと。

息を吸う。
繰り返し、繰り返し、何度も深呼吸をし。
確かめる。
自分が「生きて」いる事を。
胸に手を当て、首筋に指を当て、血の通う脈動を冷え切った指先に感じる。
確かめる。
自分の中に、「生」が確かに脈打っている事を。

じっとりと、かじかんだ指先が汗ばんでいる。
ほんの少し苦笑し、両手をそっと降ろし、
もう一度息を吸い込む。

ボクは、
ゆっくりと、振り返った。



(見たな)

背後に佇んでいた小さな影は、とても嬉しそうに、にたりと笑みを浮かべた。












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