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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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一握りの希望。
*
「…あの、実験で、君に移植された、ペル、ソナ…それが、消えずに、シャドウ化したんだ…」
「な、それ、どういう事ですか!?」

鮮血が溢れ続ける右目を抑え、顔を苦痛に歪めたまま、榎本は息も切れ切れに「ごめん…」と答えた。

「ペルソナ…シャドウ…どちらも…根本は、同じ、もの…ペルソナが、生きる、気力を元にする、なら…シャドウは、死を望む意志…きっと…ペルソナに…残っていた…元の、ペルソナの持ち主の…残留、意識…それが…『愚者』の…正た…い…」
「え、榎本さんもういいです…喋らないで、じっとして下さい」

榎本は「言わせて…」と泣きながら掠れた声を震わせる。
顔面の右半分が血にまみれ、左半分は涙でぐちゃぐちゃになっていった。

「ごめん…僕が…安易に、君の…他者の不可侵領域に…手を…入れたか…ら…こんな、精神の魔物、を…」
「榎本さん、何を言っているんですか?…僕には分からない」
眉を潜め、首を傾げる双葉に榎本は「それでいいよ」と答え、双葉の肩をそっと押す。

「いいんだ、僕は、ここに置いていって…君は、逃げて」
「でっ…出来ません!そんな事…!」
「僕がやったんだ…」
「………え?」
「僕が…やった。君が、あんまり、苦しんでたから…移植された、ペルソナ…記憶…全部、取り除いた…あの島に…捨てた…」
「そ、そん、な…どうして、榎本さんが、あの島に…」
流石に動揺した様子の双葉に、榎本は生気の薄れた左目を向ける。
「君、やっぱり…そこら辺の記憶…まだ、曖昧なんだね…僕を、最初に、見たとき…全然、気がついて、なかったみたいだし…。
僕はね…あの当時の、君の、主治医…君を治療し…ペルソナの覚醒を…封じた…君を助けたくて…君の、見られたくない、過去を、見た…」
「………榎本、さん…」
「それだけじゃ、ない…僕は…たくさんの…死を…見てきた…怖くて、たまらなくて、だから、見ていながら、部外者のような、一線を引いた、そんな立場を、貫いた…僕は善人じゃない…責任を背負おうとしなかった…臆病者だ…」
榎本は、伏せていた身体を起こし、仰向けになる。
蒼白な顔面の中で、右瞼上のえぐれた傷跡が、色褪せた世界に鮮烈な緋色の雫を落とす。
血まみれの右手を拭いもせずに懐へ差し入れ、中から金属質の物質を取りだした所で身体が大きく傾いだ。

「…最後の、望み…やっぱり…これは…きみが、もって…いきなさい」
それを最後に、榎本はがっくりとうなだれ、そのまま動かなくなった。

「榎本…さん、榎本さん、起きて、起きてください!しっかり!しっかり!…」
零れ出す温かい血。細くなる吐息。また命が翳り消える様を、目の前に見せつけられる。

焦る内心で、視線が、彼の右手に向く。
その手に収まっている物質に、視線が釘付けになる。

胸がざわつく。チリチリする痛み。
胸の奥で、確かに今、何かを感じた。

『 また しんじゃう ? ふたばちゃんの せいで しんじゃう ? アハハ 』

さも愉快そうに、囃し立てる『愚者』の声を頭上に浴びながら、双葉は榎本の手中に収まっているソレに手を伸ばす。

そっと指先から抜き取り、まじまじと形状を視認する。
真新しく磨かれたステンの胴体が淡く光る。そっとグリップを持ち上げると予想以上に重みがあり、それが本物であると確信させた。

上品な硬質の輝きを放つ、鉛色のリボルバー。

ぐるりと銃身を見回して、銃口に厚く樹脂が詰め込まれているのを見つけ、そっとグリップに指を通し握りしめる。
グリップに斜めに入ったスライド部分から、群青色の淡い発光がこぼれて泥だらけの掌に青い陰を落とす。

吸い付くように、掌に馴染む感覚。
スライドから覗く青が、ほんの少し色濃くなって不規則に明滅し始めた。

双葉は確信すると、その銃口を自分のこめかみへそっと構え、静かに立ち上がった。












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