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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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銃口の先に。
*

「大丈夫か、怪我は痛むか」
「へ、平、気…」
「良し」
顔を紅潮させ、口を薄く開いたまま半ばぼんやりと夢現にある双葉の傍らに仁王立ちすると、陽一は正面の巨大な陰を見据える。

一目見て、すぐにあの人の横顔が思い起こされた。
意図的に歪められたようにも見える、白いマスカレードの下に覗く生気を感じさせない生白い肌を貼り付けた顔。
妖しい光沢を放ち黒ぬめりする、同心円状に幾重にも漆黒の脂肪がまとわりついた極太の下腹部。
ホース状の胴体を伸ばす軟質の首。その更に上へ据え付けられた巨大な女の頭部。
卵形の面差し。広く開いた額。細く描かれた白い眉。
さらさらした短い頭髪を模したのであろう、一本一本にシャドウの顔を生やした毛髪の束がメドゥーサの頭部を思わせる。
切れ長の眼底。削ぎ落とされた鼻。どちらも、底の見えない孔だけが浮かんでいた。
そして、白いシミのような、目元の泣きぼくろ。

葛センパイ…もとい、葛木葉子。かつて何者よりも愛した女性の相貌を思わせる、黒い泥の大蛇。

『愚者』。

以前見た時とは異なる、あの時以上に他人の神経を逆撫でする形状に進化を遂げた巨大シャドウを前にし、陽一はその規格外のサイズと圧倒的な質量に顔をしかめた。

思わず舌打ちすると、『愚者』は不愉快そうに鼻を鳴らし、侮蔑の相を浮かべて陽一を見下していた。

『 また おまえ か 』
「何だ、前にみかけた時に気がついてたのか?」
『 ・・・・・ 』

愚者は答えない。代わりにヒステリーを起こす前の、女性特有な眉をひそめ口をあからさまに曲げて見せる、不快の相を現す。
これからお前を非難してやる、覚悟しろと言いたげな、男にしてみれば言われる前からうんざりする、あんな表情だ。

『 おまえ しにかけ わかる ならば なぜ フタバ たすける しにたいの ? 』
ククク、と嘲笑う女の声が寒々しく胸に響く。

双葉を庇うような形で、召喚したままのスーリヤを用いてそっとアナライズを開始する。
やはりと言うか、ざっと見ても桁が違う。
しかし、能力的には圧倒的にこちらの方が劣勢なのだが、不思議と負ける気がしない。
むしろ、相手の見下した嘲笑が子供の強がりのように聞こえて、陽一は何故だか寂しくなった。
可笑しな感覚だ。もう、ちょっとずつ感情のリミットが壊れてきたのかも知れない。
死ぬ程の覚悟とは、こうしたものなのか。
想像していたほどは辛くない。むしろ、愉快だ。

「親が子供を助けるには当然だ。そうだろ?」
『 うる さい おまえ ほんとの ぱぱ じゃない くせに 』
「関係ないな。俺にとって、双葉は大切な一人息子だ。お前らが何を言おうと勝手だが、俺はここをどく気は無い」

そう呟いて不敵に微笑み返すと、陽一は懐に仕舞っていた「あるもの」を取り出す。
それは、ついさっき崩れ落ちたシャドウの手中から剥がれ落ち、頭上に降ってきた代物だった。

拳銃型ペルソナ召喚機。
数年前、ほんの冗談のつもりで堂島に送ったデータが、クソ真面目に現実化するとはケツ毛ほども思っちゃいなかった。
そして、これを自分がもう一度手にするとも。

「さっき、お前の腕からこぼれ落ちてきたぜ。これの持ち主、どこだ。どこへやった」

『 しーらなーい フタバちゃんに きいたらー? 』
『 もう しんでる かもー 』『 あっははは 』

頭部だけでなく、ぶよぶよに膨れあがった下腹部の孔からもこぼれる幼い嘲笑に陽一が顔をしかめていると、握りしめた拳銃の上から、そっと手の甲を仄かに温かい指が包んだ。
そっと目線を降ろすと、膝を地に着いたまま、双葉が両の掌で陽一の右手を包んでいた。
見上げていた顔元に視線がぶつかる。
その顔は、泣き腫らしてほんのり赤く染まっていた。













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