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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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努めと責任と。
*

教会の裏手であろうと思われる、人前式用ガーデンテラス。
かつては客の心を和ませたであろう庭木も白壁の花壇も全てしおれ、雑草の荒れ地と化し、短いタイル敷きの舗道はほとんど庭と同化し埋もれていた。その先にあるアールデコを模した、バブリーな香り漂う、蔦と戯れる小鳥のデザインが施された屋根付きのステージ。
土煙に紛れ、榎本を抱え、二人で急いで避難すると、陽一は一度ポケットの中をまさぐって、一回溜息を漏らし、再びスーリヤを自力で召喚し白い光の球体で満たす。

そうしてようやく気がついた榎本の視界へ最初に入ったのは、心配そうに覗き込む双葉の顔であった。
「………ふ、双葉君!?何で?どうしてここに?……って、え、えええっ…もgっもgmふへっ」
予想通りに上半身で跳ね起きて大声を出しかけた榎本の口を素早く塞ぐと、陽一は人差し指を立ててしーっと囁く。
すぐにジェスチャーで察したらしく、榎本は混乱したまま硬い表情のまま口をうっすらぽかんと開けたまま、何とか言葉を飲み込んだ。

「え、ええっ、なななな、なる、せさん……?」
「そうだ。俺だ。本人だ。怪しかったらアナライズしてみろコラ」
「え、ってえええ?!そんな、しなくてもペルソナの波動でバッチリ分かりますよっ!…っとと、なっ、なっ、何がどうやって、だってあんな大病…」
半分以上どころで無くパニックになりかけている榎本を制し、それとなく襟を掴んで顔を引き寄せ、耳元にこっそり呟く。
「フィレモンに無理無茶無謀を通してもらった。最期のあがきに付き合ってもらうぜ」
「………」
軽い口調に反した重みのある一言で全てをそれとなく察したらしい、榎本の顔元からスッ、と焦りの色が消え失せる。
「こいつはお前の持ち物だったらしいな」
陽一は掴んだ襟首を放すと、拳銃型召喚機を掲げる。

「そ、それは…」
「リボルバー型潜在人格具象化装置、だろ?」
「あ、あのそれ…」
頭部への打撲で血の気の薄くなっていた顔面から、余計に血の気が引いていくのが目に見えて分かった。
陽一は、そんな榎本を軽く笑い飛ばす。
「分かってるって。俺のウチから勝手に持ち出しやがって全く…まあいいさ。身体張って双葉を守ってくれた事でチャラにしとくぜ。その代わり、これは返してもらう。元々、俺宛に堂島が送ってきたものなんだからな」
そもそもは自分ではなく双葉用にとチューニングされた代物だが、さっき、双葉に「これを渡して欲しい」とせがまれた瞬間に、反射的に拒絶してしまった自分がいる。
死神云々では無く、親として、息子がロシアンルーレットしている様は見たくない。
身体にも心臓にも、悪すぎる。
桐条の総帥を、ずっと「親バカだなあ」と思っていたが、娘がこの器具の被験者だと考えると少しだけ反省した。
少しだけ、だが。
長年所有するはしていたが、実際に自分は使用した事があるのかと言えば、それも無い。
必要も無かったし、これを見る度過去を思い出すので視界にすら入れたくなかったからだ。
「誰に頼まれたのかだけ、尋ねてもいいか?」
「ええと、その、堂島さん、です…」
「やっぱしか。あいつ、隅から隅まで細けえなあ…よく覚えてたもんだ。上の連中に内緒で送りつけてたのかね?」
召喚機のグリップや銃身をまじまじと眺める陽一に、榎本は「そうじゃないみたいです」とだけ呟き、双葉をこっそり盗み見る。
「…へえ、なるほどな」
視線の先にある息子をちらりと見て、陽一も堂島の事情を察する。
確かに、監視役亡き後に「暴発」されて「暴走」されたら、製作者はもとより、陽一とて死んでも死にきれない。
榎本は無言で頷くと、傍らで座る双葉に視線を向ける。
少年は、悲壮な面持ちで二人を見つめていた。












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