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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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目の奥に潜む闇。
*

寒い。
真冬の深夜なのだから当たり前だろうけど、そういう意味とも少し違う。
全身を包む、冷気が辛いのではない。
むしろ、現状の非日常的な光景を前にして、ワイシャツに黒いズボン姿の薄着にもかかわらず全身が高揚してカッカしていた。

重病で寝込んでいたはずの義父が、記憶におぼろげに残る母の顔をした大きな蛇と戦っている。
それも、全て自分のせい。
かつて無知で妄信的に「血の繋がった父の愛」というものを信じていた幼い自分が、この世に産み落としてしまった悪意の魔物。
10年近い時をかけて成長した悪意に、お義父さんがたった一人で立ち向かっている。
(榎本さんも、右頭の傷跡を押さえてしかめっ面しながら手伝いしてるみたいだ)
僕は何もしていない。
何も、出来ない。
以前と同じ、その明白な事実一つだけが、重い。
とてつもなく、重く、背中から僕にのしかかり、胸を塞ぐ。

不幸と悪意。痛みと憎悪。
皆、願ってもいないのに、我先にと言わんばかりに僕の所へやってくる。
僕はお義父さんと平穏に暮らしたかっただけなのに。
義父がいつまでも健康で、僕も普通に高校行って大学行って就職して。
なのに。なのになんで。

なんで僕ばっかり。

悔しい。
不幸な自分を哀れんで悲しんでいるんじゃない。
すべき事出来る事が分かっているのに、自分には、いつもそれを解決へ導く「手段」が与えられない。
鉄パイプ一本で、何が出来ようものか。足を引っ張ってしまうだけ。分かっていても…。

やるせない。悔やみきれない。

お義父さん。
何故、そこまでして僕を救おうとするの?
まだ、僕思い出していない事でもあるの?
それを知ったら、僕はお義父さんを憎むとでも?
ペルソナの力を使って回復したのなら、自分の身体を完全に治癒する事に使ってくれたらいいのに。
今日一晩のために、力の全てを使い果たしてしまわないで。
僕は、貴方に死んでほしくなんかない!

…欲しい。
力さえ、あれば。
義父を止められる。
命を僕なんかのために無駄に費やす事しないで、と胸を張って言えるのに。

ぞくり、と背中にまた寒気が走る。
顔を満月に向かって上げると、うねる蛇の肢体が満月を隠し後光を浴びて僕らを見下ろしていた。
時折、寒気を感じる度に、頭上でゆらめく女蛇の視線が、僕をまっすぐに見ているような気がする。

僕のおかあさん。
おかあさんの顔真似をする、化け物。シャドウ。
さっきまで僕はあいつの精神と同化していたから、僕が一番忌み嫌う姿をまとっているだけかもしれない。
だけど、何故だろう。
あの視線。
背筋が凍り付くような、寒気のする恐ろしい視線。

あの眼差しを、僕は知っている。
そして、その眼差しは、おかあさんのものではなかった事も。
母は見たいモノだけを見て、自分を自分の望んだ通りに見る人間にしか興味が無かった人だから。
仕事も仕事の同僚も、僕をおきざりにして会っていた誰かも、きっとおかあさんの望むような尊敬と羨望の眼差しをくれたのだろう。
僕は、母にとって人生の計算違い。惨めな、結婚に失敗したシングルマザーの現実を突きつける存在でしかなかった。
だから、睨み付ける以前に、あの人は僕を見なかった。僕は、空気でしかなかったのだ。
僕の目を見て話した記憶など、僕の心のどこにもない。
母の記憶を取り戻した時、それが何よりも辛かった。

蛇がうねる。
幾度となく変色と褪色を繰り返し、胴体は表面に暗褐色の粘液をぬめらせ、肩で息をする義父を惑わす。

あいつの目。
二つの孔でしかない、大きな禍々しい目。
その中にある「悪意」を、寒々しい視線を、僕は知っている。












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