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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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死の陰咆吼す。
*
『どうして…どうしてそっちの弾丸を僕らに放った!!』
黒衣の死神=デスは、ただ黙って自分を見上げる陽一に、千切れるような声で叫んだ。陽一は、双葉を抱きしめたまま、彼の後頭部に「癒し」の弾丸を撃ち込んだのだった。

『どうして?僕は…てっきり自分に全部使うものだと思ってたのに…!』
「悪いなファルロス。お前に、あいつの心の全てをくれてやるわけには、いかなかったんだ」
陽一の言葉に呼応するように、双葉の全身から、光の帯が幾筋も現れ、頭上に浮かぶ死神を真っ直ぐに絡め取り、拘束する。

『…フタバに、自分の覚悟を見せたはずじゃなかったの?それなのに、忘れさせるなんてどういうつもりなのさ』
「そのつもりだった。だが、気が変わった。
…あいつが、お前を知った事で狂っていく。そんな気がした。
双葉の、お前と並び立った時の目…あの目を見て、痛感した…俺は、あいつを化け物の親にしたくて育てた訳じゃない、と」
死神の喉元から、怒りとも悲しみともとれる、くぐもった唸り声ががこぼれた。
『僕は…僕は…あなたは僕を、僕の存在を理解してくれてるとばっかり…』
「ああ、分かってるつもりだ。お前は、あいつにずっと愛してほしかったのだろう?きっと、記憶を残しこのままペルソナ使いとして育てようと、記憶を消して普通の脆く弱い人間として俺と共に生きようと、いずれ双葉は自ら封印を外しお前の存在を認知し、お前を受け入れ、いつか自分の全てを投げ出してお前を何よりも愛しただろう。あいつはどんな存在だろうと、自分の身に宿した命に手をかける事なんざできんだろうから…でもそれじゃ駄目なんだ。俺と同じ事になっちまう」
『え?』
「済まない。身勝手だとも分かっている…だが、やはりお前には眠っていてもらう。…出来るなら、永遠に」
陽一の意志が固い事を、彼の目を見て死神は悟ると、背筋の凍るような咆吼を上げて剣を抜き払った。

『いやだ!!もういやだ!!忘れられたくない…彼と、ママと一緒に僕はずっと生きるんだああああ!!』
「許せとは言わん!だから恨め!!幾らでも、俺を恨め!!それで双葉が人として幸福を得られるなら幾らでも呪うがいい!死神!!」

死神が剣を振り下ろすよりも早く、堂島が飛びかかるのよりも素早く、陽一の召喚機から目映い白光の弾丸が放たれ、それは正確に死神の胸元を撃ち抜いた。
双葉の陰から伸びた光の帯が急速に力を増し、二重三重にデスの全身をくるみ、覆っていく。
全身を拘束されもがくデスと全く同じ動きで、陽一の胸元で双葉も胸をかきむしりもがき苦しむ。
見れば、胸元に埋め込まれている封印の欠片が反応して、禍々しい金色の輝きを放っている。

召喚機を脇に放り捨て、陽一は「双葉…双葉!」と何度も息子の名前を繰り返し叫ぶ。
もう何一つ力の無い自分に出来る、たった一つ息子を死の腕から引き留める手段。
陽一は封印に抗うデスと己の放った封印の力の狭間で苦しみもがく息子を必死に抱き留める。

頼む、死神、双葉を連れて行くな…。
お前と、双葉は住む世界が違う、双葉は、普通の人間なんだ…!

絡め取る光の帯が収束し、目映い閃光を放つ。

糸が切れた人形のように、腕の中で暴れていた双葉の動きがピタリと止み、ぐったりと力を無くし横たわる。
金色の輝きは失せ、顔面に汗を滲ませ、全身血の気が引いて蒼白になっている。
そっと抱き直し、耳を胸元に宛がう。
じっとりと脂汗のにじんだ胸元の奥で、確かな心臓の鼓動が聞こえ、陽一はようやく安堵した。

デスの消え去った虚空に、微かな陽炎の如く小さな人影が浮かび上がる。

『どうして…どうして一発も自分に撃たなかったのですか…』
白髪に黒い肌、頭から下が機械仕掛けの、巨大な竪琴を背負ったサイボーグ。
それは、吟遊詩人のペルソナ・オルフェウスだった。
双葉の精神にもっとも近い、魂の雛形。そして心の現身。
以前よりも成長し、より今の双葉の姿に近しい身の丈になったオルフェウスは、仮面の上にはらはらと涙を流していた。












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