地下に広がる闘技場で。
俺らの親玉、トンでもシャドウで長生き計画のボスであり桐条グループの総帥、桐条鴻悦ご観覧の元で行われた地下七階大ホール対シャドウ兵器公開テスト。
ジジイの視察という事もあり、第一チームプレゼンツの最新式戦車及び兵器の説明は非常に熱と時間がこもっていた。奴らは「戦車」と言われれば、本当にジオラマで見たような戦車ばかりを作る。(まあ、形状や能力は俺達がガキの頃にせっせと作った代物なんかより遙かに高性能なのは間違いないが)多分、これが日向の性格なのだろう。自分の好きな事だけをまっすぐ、ただ黙々と愚直なまでに積み重ねて築きあげる。他人の意見や、流行など視界に入れないし聞き入れない。己が「これだ」と思ったモノだけを、より集めて他者を拒絶し、何一つ吸収しようとはしない。部下は手足として使うのみなのだ。平たく言えば、頭が固すぎる。
俺は、堂島と一部のスタッフ、そして見学に来ていた榎本と共に、モニタールームから金がかかってそうな戦車のモーターショーを冷めた目で眺めていた。どれもこれも「兵器」だ。人格など、あるはずもない。
ホールの一角では、狩り集めてきたシャドウを放って戦闘能力の実証を公開しているブースもある。ジジイ様は、それが一番の楽しみのようだ。VIPルームからワイン片手に高見の見物をしている。悪趣味だなあ、と心の中で呟くと、榎本がぽろりと「そうですねえ」と呟くのが聞こえて、それとなく足を踏んづけてやった。
*
連絡が入り、俺は「彼女」たちのサポートをするため戦闘ブース脇のモニタールームへ移動していた。
VIPルームを見上げると、ジジイのすぐ脇に日向の姿がある。日向は何か耳打ちをすると、互いに下品な笑みを浮かべているのが見てとれた。まあいいさ。その顔、いつまで続くかな。冷えた頭の奥から、何故か笑みがこぼれた。
_システム・オール・グリーン…「ガラティア」起動します。
_システム・オール・グリーン…「テテュス」起動します。
オペレーターの機械的なアナウンスのみが、静まりかえったホールにこだまする。
コロッセオを思わせる薄暗いドーム内に、二つの小さな人影が揃った足並みで駆けてくる。
一人はうなじで揃えられた黒髪、黒い目、卵形の整った顔には大人びた美しさを持つ少女型アンドロイド。
一人は金髪のポニーテール、青く切れ長の双眸、ゲルマン系の美少女型アンドロイド。
揃いの赤と青のリボンを胸元に付けた、鋼鉄の乙女が二人。
ほんの少しVIPルームに目をやると、日向が目を白黒させ、防弾ガラスに張り付いてドームを見下ろしているのが分かった。
観覧席がざわめく。無理もない。これから、こんな華奢で愛らしいお嬢さん達が、先ほどまでのキャタピラや砲台の付いた兵器と同等の働きをしてみせるというのだから。
「それでは、ペルソナ搭載型アンドロイド、ガラティア・テテュスの公開戦闘実験を行います」
俺のアナウンスと同時に、左右の物々しい鉄格子の中からスライム状のシャドウが4・5体湧いて出てきた。
こっそりアナライズする。俺にしてみれば、極めて雑魚の部類に入る。それなら、彼女達にも同じ事だ。
「…ガラティア、テテュス、それではナビを開始する。まずは、好きにやってみな」
「了解です」「イエス、マスター」
短く返事を交わすと、ガラティアとテテュスはマーヤの群れに突進していった。
ジジイの視察という事もあり、第一チームプレゼンツの最新式戦車及び兵器の説明は非常に熱と時間がこもっていた。奴らは「戦車」と言われれば、本当にジオラマで見たような戦車ばかりを作る。(まあ、形状や能力は俺達がガキの頃にせっせと作った代物なんかより遙かに高性能なのは間違いないが)多分、これが日向の性格なのだろう。自分の好きな事だけをまっすぐ、ただ黙々と愚直なまでに積み重ねて築きあげる。他人の意見や、流行など視界に入れないし聞き入れない。己が「これだ」と思ったモノだけを、より集めて他者を拒絶し、何一つ吸収しようとはしない。部下は手足として使うのみなのだ。平たく言えば、頭が固すぎる。
俺は、堂島と一部のスタッフ、そして見学に来ていた榎本と共に、モニタールームから金がかかってそうな戦車のモーターショーを冷めた目で眺めていた。どれもこれも「兵器」だ。人格など、あるはずもない。
ホールの一角では、狩り集めてきたシャドウを放って戦闘能力の実証を公開しているブースもある。ジジイ様は、それが一番の楽しみのようだ。VIPルームからワイン片手に高見の見物をしている。悪趣味だなあ、と心の中で呟くと、榎本がぽろりと「そうですねえ」と呟くのが聞こえて、それとなく足を踏んづけてやった。
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連絡が入り、俺は「彼女」たちのサポートをするため戦闘ブース脇のモニタールームへ移動していた。
VIPルームを見上げると、ジジイのすぐ脇に日向の姿がある。日向は何か耳打ちをすると、互いに下品な笑みを浮かべているのが見てとれた。まあいいさ。その顔、いつまで続くかな。冷えた頭の奥から、何故か笑みがこぼれた。
_システム・オール・グリーン…「ガラティア」起動します。
_システム・オール・グリーン…「テテュス」起動します。
オペレーターの機械的なアナウンスのみが、静まりかえったホールにこだまする。
コロッセオを思わせる薄暗いドーム内に、二つの小さな人影が揃った足並みで駆けてくる。
一人はうなじで揃えられた黒髪、黒い目、卵形の整った顔には大人びた美しさを持つ少女型アンドロイド。
一人は金髪のポニーテール、青く切れ長の双眸、ゲルマン系の美少女型アンドロイド。
揃いの赤と青のリボンを胸元に付けた、鋼鉄の乙女が二人。
ほんの少しVIPルームに目をやると、日向が目を白黒させ、防弾ガラスに張り付いてドームを見下ろしているのが分かった。
観覧席がざわめく。無理もない。これから、こんな華奢で愛らしいお嬢さん達が、先ほどまでのキャタピラや砲台の付いた兵器と同等の働きをしてみせるというのだから。
「それでは、ペルソナ搭載型アンドロイド、ガラティア・テテュスの公開戦闘実験を行います」
俺のアナウンスと同時に、左右の物々しい鉄格子の中からスライム状のシャドウが4・5体湧いて出てきた。
こっそりアナライズする。俺にしてみれば、極めて雑魚の部類に入る。それなら、彼女達にも同じ事だ。
「…ガラティア、テテュス、それではナビを開始する。まずは、好きにやってみな」
「了解です」「イエス、マスター」
短く返事を交わすと、ガラティアとテテュスはマーヤの群れに突進していった。
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