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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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全ての始まり。
*
深夜、書斎で一人ノンカフェインのコーヒーを飲みながら、榎本は堂島から譲り受けた資料に目を通していた。気分が落ち込むような情報ばかりで、気が滅入る事この上ない。
しかし、世話になった先輩とその養子さんのために、出来るだけの事はしておきたかった。

双葉は、一口野菜スープを流し込んだだけで、すぐにまた横になっている。
心配なのでシーサーを呼び出して、ベッドの横に座らせているがやはり気になる。早く元気出してくれればいいけど。
食卓で双葉に色々と質問攻めに遭いながら、榎本は自分が成瀬陽一について、ことプライベートに関してはとんと知らないのに気付いた。
いつも地下深い研究所でしか顔を合わせていなかったからかも知れないが、思い返せば成瀬は自分自身について自らほとんど語ろうとしなかった。自分はいつも実家の愚痴ばっかり聞いてもらっていたのにな、と榎本は切なくなった。

9年前。
血を直視出来ないほどの恐がりから、外科医のエリートコースを外れた自分が逃げ込んだのは、叔父の口利きで紹介された桐条の診療所だった。当時出来たばかりの地下研究室に勤務する社員の健康管理を担う医師としてだったが、裏を返せば肩書きだけ。保健の先生がするような診察をこなすだけの、形ばかりの医師として僕はそこに呼ばれたのだった。
何の研究室なのかは入社直後に教えられ、その時僕は二度とここから出られないことも悟った。シャドウ研究なんて、トンデモすぎる。
口外はおろか、港区から出る事も禁止され、当時は桐条の目が行き届く範囲しか出歩く事が出来なかった。でもどうでも良かった。どうせ自分は親の期待に添うような医者にはなれそうもない。それなら、このまま現実に目をつぶり今だけを精一杯生きる方が良いように思っていた。そんな鬱々としていた頃に、成瀬先輩に出会ったのだ_。

*

成瀬は、ずっと桐条の陰気な研究員に馴染めずにいた榎本にとってまさしく太陽のような存在だった。
世界中からかき集められた異端の研究者達は、皆一様に屈折したプライドが高く、専門知識ばかり喋りたがり、そしていつも勿体つけて言葉を句切り、困り顔の榎本を見ては小さな優越感に浸っていた。シャドウ研究の主軸たる岳羽氏や、一部の研究者には礼儀を弁えた人物もいたが、榎本のような半人前の医師を前に口を開くのは、おおむね社会から弾き出された性格不適合な研究者たちばかりだった。
そんな中で、対シャドウ兵器開発の成瀬と言えば、研究者の間からも「変わり者」と呼ばれる男だった。
作製する図案やアイディアは確かに一級品だったが、製作自体にムラっ気があり、平気で上の命令も無視し、勤務態度も最悪だった。
彼の率いていた第二チームは「ゴミの吹き溜まり」呼ばわりされ、この異端の研究においても奇人変人の巣窟と見なされていた。それに対し第一チームは、桐条総帥の覚えもめでたく、日々頬の垂れたご老人のために彼の意に沿うような立派な兵器を、巨額の予算を湯水の如く使い開発し続けていた。自然、第一と第二チームの間には上下関係が芽生え、第一チームの研究員たちはいつも聞こえるように第二チームを侮蔑し、あざ笑っていた。
「ああ、そうらしいな。ろくでもねえ研究してるのに、よく自慢できるよなぁ。そう思わねえ?」
トイレでたまたま会った際にそれとなく問いかけると、至極当たり前に、成瀬はそう答えてげらげらと笑った。借金のカタでここにいるしかないんだ、と榎本が教えてもらったのはそれから少し後の事だった。












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