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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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勝負。
*
「アンザイ…知り合いなのか?」
「うん、そう。ここで待ち合わせ?してた。うんうん」

見るからに、野郎二人の顔面に疑いの色が浮かぶ。
冷や汗混じりな庵の言動はもとより、「つい今し方再会しました的ラブコメシチュエーション」から察しても待ち合わせの言い訳は苦しい。

「すっげえ怪しい…嘘吐いてねえかお前?」
「いや全然。こちらはアンザイノドカさん、です。
で、俺がこのゲーム好きだから待ち合わせしてた。で、OK?」
「証拠は?」
「あ、ハイハイ!これ!私の学生証!これで合ってるって分かるでしょう?」
とっさに、のどかがポーチから慌てて取り出した学生証を見て、男達の表情が一変した。

「アンジョーかよ!?」
「ええマジか?天下のアナマリア女学院大学のお嬢様なの?!」

男達の異様な興奮に、のどかは内心「しまった」と全身から血の気が失せるのを感じた。
自分の在籍する大学のブランド力を軽く見ていたのである。

アナマリア女学院大学。創立百二十年の伝統を誇る女子大の最高峰。

…当然、在籍する女子大生は全国選りすぐりのエリートばかり。
しかも、通う生徒は粒揃いの美人ばかりとの定評がある。
しかも代々ミスキャンパスから数々の俳優・アイドルを輩出してきたためマスコミの注目度も高い。
そんじょそこらの男共には高嶺の花園、目の色が変わるのも当然だ。

「アンジョーっつったら、女子アナやタレント輩出しまくってる美人揃いのエリート大学じゃんか!」
「どーりで可愛いと思った!…おいお前、クイズおたく。そこどけ。のどかちゃん置いて帰れ」
庵も勿論初耳である。しかし、そんな事実をよそに角刈り男の「クイズおたく」にピクリと耳が反応したかと思うと、目の奥に強い意志の炎が燃え立ったのがはっきりとのどかにも分かった。

「断る」
はっきり言い切ると、のどかを庇うように男達の前に歩み出る。
「なあ、お前頭悪いだろ?!痛い目見ないとわかんない訳!?」
「頭は…まあ、確かに昔ほどじゃない。でも、その悪い頭でも、お前等なら百パーセントねじ伏せられる。自信あるけど?」
「ああん?!」
凄む男達にたじろきもせず、庵はすぐ側の筐体を指差す。
そこには、クイズゲーム「アンサーアンサー」のデモ画面が延々と流れていた。

「これで勝負するか?」
「ゲームか。…だろうな。お前、殴ったら一発で泣きそうだもんな?」
「泣くのはお前等だよ」
せせら笑う男達に、庵はにこりともせず吐き捨てる。
「んだと!?俺、これでも天下の名門瀬賀大生だぜ?国公立が滑り止めの私大生に負けるかよ!」
「アン大はそのうち日本で一番の大学になる。お前等みたいなのばっかりなら、国公立も大したこと無いね」
「言わせておけば…!」
みるみるうちにこめかみに青筋が浮き立つ男共二人の眼前に、庵は財布から新品の万札を五枚抜き出し突きつけた。

「賭けようか?今月の俺のメシ代五万。お前等が一勝でも出来たら全額くれてやる。勝てなかったら、彼女の目の前にも、ここにも二度と来るな」
「…マジか?」
金髪の男が、ごくり、とツバを飲み込む音が聞こえた。
「…いいぜ。瀬賀大生の本気、見せてやるよ。私大に負けてたまるかよ」
「それ、本気だろうな。後で泣き入れても金は貰うからな。俺、これ結構強いぜ」
画面を親指で指す角刈りの表情に余裕が浮かぶ。
やりこんでいる風だが、庵は動じる様子も無い。

「じゃあ、決まりだな。
ただ、俺今小銭持ってないんだ。ゲームのプレイ代金だけ、負担してくれないか」
「ああ、いいぜ。じゃあさっさと始めようや」

五万円に比べれば、安い散財だ。
スタジャンのポケットからじゃらじゃらと百円玉が台上に転がされた。

「せ、先輩どうしたんすか?何かすっごい大きな音したんで…」
AnAn筐体周辺に立ち込める瀬賀大生と庵の緊迫した空気に気圧されて、物音で駆けつけたアメゾウが階段手前で硬直して顔を強ばらせた。

「ああアメゾウ、ちょっとここのサテしばらく借りるぞ。手出しするなよ」
「へ?」
「ついでに、電ブチしないように、周囲の客に気をつけておいてくれるか」
「あ、はい。そりゃいいですけど…先輩一体何おっぱじめるんです?」

「クイズ勝負」

庵の一言に、アメゾウは「うっそお!」と頭の先から出たような間抜けな大声を上げた。

「ま、マジですか!?ここで!?…見ててもいいです?」
「いいよ」
「ちょ、他のスタッフ呼んでこよっ!」
うっひょう、と素っ頓狂な声を出して、アメゾウは瞬く間に階下へ走り去っていった。

「(おーい、面白い事になってるぞ!庵先輩がクイズで対人戦するってさ!)」
階下から「ええ?」「マっジでー!」と店員と客のものらしき歓声が、騒々しい店内放送に紛れて階下から聞こえてきた。
「(えー、でも店番…)」
「(いーのいーの、じーちゃん今日病院でいないし!サボってもばれねーって!)」
「(いーのかよ店長代行!?)」
「(何何?何かイベント?)」「(2階か?俺等もいこーぜ)」…

「何か大変な事に…」
ざわついてきた店内に冷や汗をかくのどかをよそに、庵はすでに瀬賀大生の隣のサテライトに着席している。
「気にしない気にしない。さ、座ってアンザイさん」
「え?あ…はい!」
ごく自然に席の隣へと促され、緊張しきりののどかと、硬い表情の庵を横目に眺めながら、瀬賀大生の二人はニヤニヤが止まらないでいた。

昔、クイズ王だったかなんだか知らないが、そんな奴ほど大人になれば只の人だ。
ガキの頃の自慢話で成功してる奴なんかいない。
いざとなれば、脅してやれば金も女もゲット出来る。
彼ら、瀬賀大学生の二人はそんな軽い気持ちだったに違いない。

二人の表情にありありとタヌキの皮算用が浮かんだのをちらりと見て、筐体のモニタを前に着座した庵の口元はうっすらと微笑を刻んでいた。












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