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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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ひとときの喜びと将来の不安と。
*

「ようボウズ、もうすぐ一年生だってな」
「うん。僕おにいさんになるんだよ。ランドセル買ってもらったし、制服ひとりで着れるよ」
「おお、偉い偉い。頭撫でてやろうなよしよし」
「ふふふ、おじちゃんありがとー」
「…これからは、お前がかあちゃん支えてやるんだぞ。お手伝いもしっかりしろよ」
「うんっ!それでね、早くおおきくなって、おとうさんの代わりに僕がたくさんお金もらうんだ。だからおとうさんみたいになるんだよ。なれるかな?」
「ふうん、そっか…そうだな、お前、それならおまじない教えてやろうか?未来の自分が見える、おまじない」
「おまじない?」
「そうさ。今度お友達と一緒にやってみな。俺が高校の頃、流行ってた…」

*

それから数年、研究に不穏な影を感じながらもゆるやかに時は流れた。
彼女は実家の母親が孫の世話に来てくれるようになったそうで、外出の機会が減った俺の不規則な約束にも応じてくれるようになった。夜遅くなっても俺の外出期限時間ぎりぎりまでずっと一緒に過ごす事が増えた。
映画、外食、買い物…時々、子供はいいのかと尋ねると、母の方に懐いているからとそっけなく答え、そのまま別の話題に変わる事ばかりだった。育児と仕事の両立で疲れているのだろうと俺は自分勝手に解釈し、さらに突っ込んだ質問はしなかった。
いや、薄々気付きながら見ない事にしたのだ。
3度目のチャンスを、もう逃したくない。その一心で、俺は小さな疑問を放置したまま彼女との時間を馬鹿のようにただただ楽しんだ。

仕事の方は面白いぐらい順調だった。
変わった事と言えば、研究室のスペースが広くなったのと、研究資材、費用の支給が格段に増えた事。
後、「娘達」の存在があった。
「マスター、調達任務から帰還したであります」
「ごくろうさーん」
戸口の前でガラティアは折り目正しく敬礼を決めると、重量感溢れるナイロン袋を抱え掃除の行き届いた研究室内を折り目正しく巡回し、一人一人に缶を手渡していく。
「ご要望のカフェオレです」
「ありがと」
「ご要望のオレンジジュースです」
「どーも」
「ご要望のメロンソーダです」
「あ、ありがと…ねえ成瀬先輩、ガラティアをお使いになんか使っていいんですか?」
「ならお前が行け。スタッフ11人分+お前の飲料と食料と後嗜好品諸々を購買部から全部担いで戻る腕力がお前さんにあるならな」
もっともな指摘に、スタッフの回診をしていた榎本は顔をしかめて口ごもる。まあ、確かにその通りなのだが。
「お気遣い有難うございます。しかし、これも社会経験の一つとして複数回の実習がこれからも必要だとマスターからは通達されております。それに、戦闘訓練以外では私やテテュスは演算補助や重い機材の運搬などでしか皆様の助力が出来ません。私は、もっと皆様のお役に立てるように、努力したいのです」
「そう言われたら、僕も返す言葉が無いっす。ありがと、ガラティア」
「お礼には及びません。これからも、私たちに出来る事がありましたらなんなりとお申し付け下さい」
「姉様」
堂島の傍らで着座し、頭部のモーター付近からコードに繋がれているテテュスが姉を呼ぶ。彼女は、次作機用の疑似人格システムをグレードアップさせるため、感情面でのデータ抽出をされている所だった。
「申し訳ありませんが、堂島様に早くコーヒーをお持ち下さるようお願い致します。先ほどから全く作業能率が上がっておりません」
見ればパソコンのディスプレイを睨んだまま、堂島はマウスパッドを指先で激しく連打し続けている。あいつが作業に没頭している時にカフェインは不可欠だ。切れると、途端にイライラし始めて作業にならなくなる。
「先日説明頂いたカフェイン欠乏症でありますか。それではこちらのブラックコーヒーを」
「…悪いな」
そう言うやいなや、堂島はすぐに黒い缶のタブを開けると一気に飲み干し、山積みにされた空き缶の上に折り目正しく乗せて再び無言で作業に入った。
きょとん、とした面持ちでテテュスが首を傾げている。
「人間というのは不思議なものですね。特に嗜好品、タバコに関しては控えていただきたいのですが、これも研究になくてはならないものと」
「…そうだ。分かっちゃいるけど止められない。食事にしても、身体に悪いと分かってはいても、美味ければつい食べてしまう」
「ファーストフードがその典型ですね。時間の節約のため、あえてカロリーと栄養の偏った食事にせざるを得ない…どちらも両立出来る物を提供するのは不可能なのでしょうか?」
「そうすると、次は食材や設備投資で金がかかるだろうな。それに、全て満たしたとしてもそこに客が入るかどうかはまた別問題だろうし」
「広告宣伝費でさらに予算を費やし、尚かつ集客出来なければ長続きもしない…という事ですか。プロセスを一つずつ着実に重ねても、人の心を掴むのは難しいものですね。なるほどなー」
時折、ガラティアとテテュスと質疑応答を繰り返していると「なるほどなー」と最後に付ける癖が出る。これはあるスタッフの口癖を学習したようだ。
「そうさ。これからお前達にも姉妹機が増える予定だ。完成したら、お前さん達があれこれと教えてやってくれよ」
「了解です」「イエス、マスター」
彼女たちの笑顔を見る回数が増え、俺の心中には複雑な気持ちが混在するようになっていた。












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