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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

脅威は背後から迫り来る。
*
「あ、有難う、庵君…あの、その」
やっと危機から解放され、瞳を潤ませるのどかに庵はくたびれた横顔で「いいよ、楽しかったし」と微笑む。

「…あ~、疲れた…久しぶりに、脳みそフル回転させたらお腹空いた~」
はあー、と長い溜息を吐き出すと、ふいにすぐ側から「イオリさん!」と聞き覚えの無いハスキーな声を掛けられ不必要にびくっと全身を強張らせる。
「…って、ああビックリした…。晶かと思った…」
「庵さん、でしょう?…初めまして、僕阿南と言います!この大学来てずっとお会いしたかったんですぅ!」
突然現れた糸目の小柄な青年に、庵は自分の方を指差し確認すると、青年=敦はニコニコと満面の笑みでうんうんと頷いた。

「え、何?俺目当て?」
「はい!僕、ずっと庵さんに憧れてたんです!
お願いです、僕とも、僕ともこれで勝負していただけませんか?
お金は要りません!僕、貴方と一度でいいから勝負したかったんです!!」
「いや、でも俺今お腹が…」
断ろうと口を開きかけて、敦の背後に立つ夏彦の存在に気がつき、庵の表情が固まる。

「あ、あの時のヒゲ白衣!」
「よお、元クイズ王。…お前、クイズ止めたんじゃなかったのか?どうしてもダメだというから勧誘を断念したが…これは一体どういう風の吹き回しかね?」
「そ、それは…」
「男が四の五の言うのは見苦しいな。…ま、敦と対戦くらいしてやれ。
そのぐらい構わんだろう?その後ゆっくり話でも…」
夏彦が言いかけて、さっきの乱闘で硬直していた観衆からもにわかに歓声が起こる。

「え、それなら俺もやってみてえ!」
「僕も!」
「私も!元クイズ王にチャレンジしたいわ」
「ちょっと待てよ、俺が一番に待ってたんだぞ!」
「賭け金無しなの?なら、俺もする!!」


「はいそこまで」


よく通る、涼しげな男の声が2階に響き渡る。
再び騒ぎ出した観衆の掛け声が、ピタリと止む。
その中央で、あからさまに庵の表情が強張ったのが分かった。

【続く】












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