夜更けの美女二人。
*
バス停で帰りの便を待つ間、自然と茜の口から大きな溜息がこぼれた。
「なんだか、なあ」
まだ心配を拭いきれない茜の隣で、のどかと杏奈はにこにこと微笑む。
「賑やかになりそうだね、楽しみだな!」
「そうですね~。ああそうだ、他の二人にもメールしておかないと。
きっと驚くでしょうね~」
ぴぽぽ、と手際よく杏奈のケータイから二件のメールが送信される。
…
………
そのメールの到着先で、驚く人物二人。
「あら」
片方は、下宿先のアパートでデスクトップパソコンに向かってレポート編集をしている真っ最中であった。
知的な切れ長の目に、整った容貌、セミロングの艶がかった黒髪が年齢以上にしっかりとした印象を与える知性派美女。
「珍しいわね、杏奈ちゃんからメールって。まあ、アーサー大とお花見…
クイズ研究サークル?
おかしいなあ、彼、まだ出来てないって言ってたのに…」
しぱぱぱ、と手際よくメール返信すると、今度は電話の着信音に先日買い換えたばかりの薄型ワンセグケータイを開く。
「はい朝宮です…
って典子姉さん?うん、麻美。
どうしたの?
…え?義弟さんに荷物?うん分かった、日曜日の午前中ね。届けておく。
大丈夫よ、掃除もしにいくから。うん、ダンナさんにもよろしくね。で…」
*
もう片方は、とある撮影スタジオでメールを閲覧し「ほおおお!」と驚きの声を上げていた。
身長どう見ても150センチ前後。
今時珍しいくっきりした眉と大きくつぶらな瞳が特徴的な健康的美少女。
フリル満載なパールピンクのドレスが似合う、小柄で幼さの残る容貌と容姿…もとい、未発達な部分の多い幼女体型が…。
「何か言った?」
何でもありませんゲッフンゲフン。
ともかく、愛らしさの残るツインテールの少女…といっても、もう女子大一年生の駆け出しアイドルが一人。
「どうしたのアイアイ?まさか、恋人からのメールとか?」
ウチの事務所、アイドルは恋愛厳禁よお、とひょろりと長いモヤシのような黒スーツの男マネージャーがパイプ椅子の隣から覗き込んでくる。
「ち、違うよぉマネージャーさん、女の子の友達からだよぉ~!見ちゃダメ!」
「あらやだそうなの?ホントに?」
「ホントだよお!今度お花見行くって!
…ああでもこの日、行けそうにない…って!え!
あのアンアン来るの!遂にののちゃん、初恋の相手見つけちゃったよぉ~!」
再びほお、と溜息をついて、アイアイと呼ばれたアイドル女子大生は不満げに口を尖らせる。
「あああ~羨ましいよぉ~!アイアイもアンアンとアッキーに会いたいよぉ~!ねぇ~マネージャーさーん、来週の土日休みたいよぉ~」
「またそんな無茶言って!ダメだよ!アイドル・相田藍子はトップシンガーとして成功したいんでしょ!なら最初の今が、一番売り込みには肝心なんだから!
来週はクイズゲームのキャンペーンガールオーディションがあるんだし、絶対外せないわよっ!」
「あああん、マネージャーさんの意地悪意地悪意地悪ぅ!オカマのくせにぃ!藍子はクイズ王に会いたいのに~!!」
いやいやと駄々をこねるちびっ子女子大生に、オカマ呼ばわりされたマネージャーは呆れて頭を力無く振った。
【その3に続く】
バス停で帰りの便を待つ間、自然と茜の口から大きな溜息がこぼれた。
「なんだか、なあ」
まだ心配を拭いきれない茜の隣で、のどかと杏奈はにこにこと微笑む。
「賑やかになりそうだね、楽しみだな!」
「そうですね~。ああそうだ、他の二人にもメールしておかないと。
きっと驚くでしょうね~」
ぴぽぽ、と手際よく杏奈のケータイから二件のメールが送信される。
…
………
そのメールの到着先で、驚く人物二人。
「あら」
片方は、下宿先のアパートでデスクトップパソコンに向かってレポート編集をしている真っ最中であった。
知的な切れ長の目に、整った容貌、セミロングの艶がかった黒髪が年齢以上にしっかりとした印象を与える知性派美女。
「珍しいわね、杏奈ちゃんからメールって。まあ、アーサー大とお花見…
クイズ研究サークル?
おかしいなあ、彼、まだ出来てないって言ってたのに…」
しぱぱぱ、と手際よくメール返信すると、今度は電話の着信音に先日買い換えたばかりの薄型ワンセグケータイを開く。
「はい朝宮です…
って典子姉さん?うん、麻美。
どうしたの?
…え?義弟さんに荷物?うん分かった、日曜日の午前中ね。届けておく。
大丈夫よ、掃除もしにいくから。うん、ダンナさんにもよろしくね。で…」
*
もう片方は、とある撮影スタジオでメールを閲覧し「ほおおお!」と驚きの声を上げていた。
身長どう見ても150センチ前後。
今時珍しいくっきりした眉と大きくつぶらな瞳が特徴的な健康的美少女。
フリル満載なパールピンクのドレスが似合う、小柄で幼さの残る容貌と容姿…もとい、未発達な部分の多い幼女体型が…。
「何か言った?」
何でもありませんゲッフンゲフン。
ともかく、愛らしさの残るツインテールの少女…といっても、もう女子大一年生の駆け出しアイドルが一人。
「どうしたのアイアイ?まさか、恋人からのメールとか?」
ウチの事務所、アイドルは恋愛厳禁よお、とひょろりと長いモヤシのような黒スーツの男マネージャーがパイプ椅子の隣から覗き込んでくる。
「ち、違うよぉマネージャーさん、女の子の友達からだよぉ~!見ちゃダメ!」
「あらやだそうなの?ホントに?」
「ホントだよお!今度お花見行くって!
…ああでもこの日、行けそうにない…って!え!
あのアンアン来るの!遂にののちゃん、初恋の相手見つけちゃったよぉ~!」
再びほお、と溜息をついて、アイアイと呼ばれたアイドル女子大生は不満げに口を尖らせる。
「あああ~羨ましいよぉ~!アイアイもアンアンとアッキーに会いたいよぉ~!ねぇ~マネージャーさーん、来週の土日休みたいよぉ~」
「またそんな無茶言って!ダメだよ!アイドル・相田藍子はトップシンガーとして成功したいんでしょ!なら最初の今が、一番売り込みには肝心なんだから!
来週はクイズゲームのキャンペーンガールオーディションがあるんだし、絶対外せないわよっ!」
「あああん、マネージャーさんの意地悪意地悪意地悪ぅ!オカマのくせにぃ!藍子はクイズ王に会いたいのに~!!」
いやいやと駄々をこねるちびっ子女子大生に、オカマ呼ばわりされたマネージャーは呆れて頭を力無く振った。
【その3に続く】
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