fc2ブログ

3373plug-in

ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

チキチキ連想クイズ。
*
「…えーと、ここまでで連想のヒントは三つだな。んじゃ、間違ってたらそこで止めてくれ」
「いいぜ、分かった」
すう、と一息吸い込むと、庵の瞳孔が目の奥で微かに揺れた。

「【俺より一つ年上。】」
「【一緒に出場した大会は二回。記念大会とその一つ前、第24回大会。
記念大会の時は、三年生で主将だった。】」
「【24回大会のときは、一次予選でぎりぎり敗退。確か、お前の先輩が最終問題の易問を早押しで競り勝ったのに誤答した。】」

「よ、よく覚えてるなそんな事…」
明らかに、ソフモヒの表情に驚きの念が浮かぶ。
それを見て、晶と敦も段々と記憶の像が鮮明になっていく…。

「あ、……僕分かったかも…」
「晶先輩?」
「僕らが一年生だった大会の時、番狂わせが多かったんだ。一次予選で負けたチームに、そんな負け方した強豪高がいた…」

口ぶりの割に険しい表情の晶をよそに、庵の連想ヒントは続く。

「【九州地方出身。同県地区では最多出場を誇る最強高。
鹿児島の有名男子私立・ラムサール高。クイズ研究部もある】」

「【記念大会の決勝・早押しクイズで、俺達と9:9の接戦になって、俺がお前との直接対決で最終問題をとって優勝。あの時、ずっと台に突っ伏して泣いてたよな。で、お前がもう一回何かの折にリベンジするって言って、健闘を称えあって表彰式の前に握手して、その後別れたきりだった。思えば大学近いのに一回も会ってなかったのな】」

「…流石だな。確かにここまで間違ってないぜ。じゃ、問題追加しようか。
『俺の名前は何でしょう?天下のライブラリなんだしフルネームで答えてみろよ』
「オッケイ」

庵の双眸が一度固く閉じられ、もう一度うっすらと、ゆっくり開かれる。

「【当時の愛称はダイスケ。これは本名まんまだって言ってたよな。フルネームは…】」

もう一度、庵は深呼吸をして顔を上げた。

「…ハナワ・ダイスケ。

福盛アナにもいじられてたから、これで間違いないと思うぜ!…多分だけど」

敦の脳内で、ダン・ダン・ダン!…と、アンサーアンサー・プレーオフでの決勝演出が頭に流れ、四人の間を、静かな沈黙が擦り抜けていった。

ソフモヒは神妙な面持ちで、庵に「お見事」と呟いた。

「…お前なら、やってくれると思ってたぜ」
「よっし、正解だっただr…」
庵が鼻の穴を膨らませかけたところで、ソフモヒの右手がにゅっ、と庵の広いおでこに伸び、がっちりと指先で捉える。

「え、なっ、っちょ」
ふっふっふ、と、ソフモヒの口元に微かな笑みがこぼれた。

「…俺の名前をもっぺん教えてやるよ。

俺は『アナ』ワ・ダイスケ。
ほらあなのワッカと書いて、『穴輪』。ダイスケは、大きいに難しい『輔』の字な。

…しかし、こんくそムカツク軟派なガジンと間違えるたぁええ度胸だのうおいこらあああああああ!!!レッツ、罰ゲーッム!」

反論しかけた庵の眼前で、ソフモヒの眉間に明らかに不愉快を示す皺が畳まれ、「あ」と、庵が動揺する間もなくソフモヒの握力が万力の如く庵の優秀な頭部をギリギリと締め上げ始めた。

「アーーー!いた、いったいったいたいいったあああああ!!潰れる!つーぶーれーるーあーーーーー!」
「痛いに決まってるだろ!コレでも手加減してんだからな。実は俺、リンゴも片手で握りつぶせるんだぜ?…しっかし、よりにもよってその間違い方は何だと小一時間(ry」
「あーーー!待って、ちょっと待ってあげてください!庵は脳内以外での生産活動が何一つ出来ない子ですからそのくらいでご勘弁を!」
「…ちっ、相方がそう言うなら仕方ねえな。…おい安佐、安住に感謝しとけよ」
「ひゃ、ひゃい…」
ようやく万力マドハンドの刑から解放され、白目剥きかけでへなへなとその場に崩れ落ちる庵を、慌てて敦と晶が支える。
半分目を回したまま、庵は敦の肩にもたれて涙を浮かべて「やっちゃったー…」と情けない悲鳴をこぼした。

「庵、大丈夫?」
「い、いたかったです晶君」
「こ、怖い…九州の人、怖いなあ…」
あまり目にしたことのないバイオレンスな展開に引き気味の敦に、ソフモヒ=大輔は眉をひそめる。
「ああ、あの時の線目か。どこの出身?」
「に、新潟です」
「ああ、だからそんな生っ白いのか。鍛えてなさそうだけど」
「す、すみません」
何故か、ほぼ初対面の相手に頭を下げている自分が理不尽でならない敦をよそに、大輔は平然としたものである。

【続く】












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://3373plugin.blog45.fc2.com/tb.php/263-e4489f7c

| ホーム |