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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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不意討ちファンファーレ。
*



第五問 【趣味雑学】

「(ここが勝負…!)」

二人の掌がボタンに被さる。
空気が再び張りつめる。

問題パネルがクローズアップされた。

【オグ…】

「はいっ!」庵PUSH!(0.75)
「はい!」大輔PUSH!(1.02)
+27秒差で庵先制!

「(押し負けた!?)」
ぐっ、と歯噛みして画面を睨む大輔の隣で、庵はやはり一瞬だけ逡巡し指先を構える…。
全員が、勝負終了を意識した、その瞬間。

チャカチャーン チャラッタチャッチャー チャーン チャーラッタッタッター チャタッタッタン ッタッタン♪

「誰だ鬼平犯科帳着メロにしてる奴はっ!!」
サーセン俺です;ああなんでこんな時に!」
一瞬にしてぷちりと場の緊張感を切ってしまったけたたましい携帯電話の着信音に、大輔が怒鳴り散らす隣で慌てて庵が自身のケータイを尻ポケットから引っこ抜き、二つ折りの古めかしいメタリックブルーの携帯を開く。

「はっ、はいもしもし安佐…」
『おい安佐、今どこだ』
微かに低い、男の声音が庵のケータイから漏れ聞こえる。
声から察するに、夏彦のようである。

「ああヒゲ先輩、今ちょっと取り込み中…」
突然の着信で焦ったせいか、一文字目を押した後から庵の指先は画面の上下をふらふらと泳いでいる。
『届けは』
「え?それなら敦に任せて」
『バカかてめえは!!!!』
騒がしいゲーセン店内であるにも関わらず、その場の全員が庵のケータイから安藤の怒鳴り声を聞き取りびくっ、と身を震わせた。

「お、おおお大声出さないでくださいよ!!」
『全く、何考えてやがる!いきなり先輩面か?方向オンチな後輩をパシリに使うとは全くもって良い度胸だ』
「へ、方向オンチ…?」
庵の表情がみるみるうちに軟化し、おろおろと指先が挙動不審な曲線を空中に描く。
画面のむこうではそんな事とはつゆ知らず、男性デフォルトのヒーローが頭の上に幾つも「?」の吹き出しを出して、迫り来る秒数に汗を浮かべている。
「そ、そんなの初耳ですよ!?俺全然知らないですしっ!」
『知らないからで済まされるとでも思ったか?…挙げ句ゲーセンでクイズゲームか。全くもって、いいご身分だ!後ろを見ろ!』

全員の視線が、庵の視線を追うように出入り口側の階段付近へと注がれる。
そこには、携帯を耳に当てた状態の夏彦と、その背中に隠れるように口元をあわあわさせて小さくなっている敦の姿があった。

『…正門前から、自力で研究棟まで行くのは危険だと判断した敦から泣きの電話が入ってな。で、行き先もすぐ特定出来た。…後は言わなくても分かるな?』
そこまで一息に言い切ると、夏彦は携帯を切り白衣のポケットに放り込むと、リズム天国の筐体横を抜け、大股でずかずかと庵達の元へ歩み寄る。
その形相たるや、うっすらと口元から笑みがこぼれているものの、明らかに怒気を多分に含んでいる。
視線が、迫り来る身長百八十越えの大柄な体躯が、何より背負った気迫が、おっかない。
やばい。猛烈に、やばい。

「あ、安藤先輩ちょっと待ってくださ」
「問答無用!」
口元をひきつらせ、思わず身構える庵と、構わずずんずん近寄ってくる夏彦の間へ仲裁に入った晶のおでこを、夏彦の大きな掌ががっしりと握り込む。
五指がめり込みそうなほどに握力に晶が顔に困惑の色を浮かべると、夏彦はニヤリと笑みを口元を歪める。
「え?えっ?」
「まずはお前から躾だっ!うるぁ!!」
「へえ!?…あ、あああああいったたあたたああたたた!!!

夏彦の掌から、晶の細面を卵の殻の如く握りつぶさんほどの強靱な握力が指先にこめられ、晶が素っ頓狂な悲鳴を上げる。
「よし」と得心した様子で夏彦が額から手を離すと、晶はその場でヘナヘナと脱力しへたりこむ。

「あ、アイアンクロー…」
その場にいた誰かがボソリと呟く。
そう形容したくなるほどに夏彦の握力は尋常ではなかったようで、一応合気道の経験がある晶をして、力無く床に座り込み白目を剥きかけている。
額に、くっきりとうっすら赤みを帯びた五指の跡型を残したまま。

万力マドハンドの刑リターンズ@アン大クイズ研究部部長(近日就任予定)。
その光景に一番戦慄したのは、誰あろう今日一度大輔からその技をお見舞いされている庵であった。

「あ…あわわわわ…」
画面上ではブーとか音がしたようだったが、もはやその場の誰も筐体の画面を見ていない。
突然、嵐のように現れた白衣のヒゲに全員が戦々恐々とし、事態の最終予想をありありと脳裏に思い浮かべては、庵に視線を集中させた。

「では、本題」
夏彦の厚く広い掌が避ける間もなく庵の広い額を握り込む。

「え、ちょっいやそのアーーーーーーーーッッ!!

庵の絶叫が、周囲の筐体から流れる効果音全てを打ち消し2階全域に響き渡った。



………おそらく、一分も経ってはいなかったであろう。
しかし、誰も何も出来ず、何も言わずに硬直している。

「よしっ」
こんなもんだろ、と夏彦が庵から手を離し、一息ついて手を払ったところで、その場にいた全員が「ふーーーっ…」とひと心地つく。
全員の妙な力みが抜けたところで、こわごわと夏彦の背後に敦が涙目で姿を現した。

「せ、先輩…」
「おお敦、敵は取ってやったぞ」
「え、いやそんな僕は…」
敦的にはあまり目にすることのないバイオレンスな展開リターンズに、敦があわあわと唇を震わせて小さくなっているとも気付かず、夏彦はしてやったりの満足そうな笑顔を浮かべている。

「………おっかねえな、アン大生も」
ポカンと口を開いたまま固まっている大輔の隣で、瀬賀大生が聞こえないようにぼそりと呟いた。

【続く】












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