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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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階段のその先に。
*

堂島の指定した格納庫裏から上へ伸びる非常階段の踊り場、地下からの緊急用非常口の薄暗い蛍光灯の前には見慣れた女性の姿があった。
一人は部下の金森、だがもう一人は研究員の白衣ではなく、黄ばんだ灯りの下で鋼鉄の身体を静かに照らされたたずんでいた。
彼女達は、成瀬に気付くと階下の彼らに視線を落とし目で合図を送った。

あ、とおんぶしていたフタバが口を開きかける。

「お迎えにあがりました、マスター」
「…ガラティア、お前さんが?」
「はい。堂島様のご意向で、私が少年の警護を仰せつかりました。他のどなたも、皆様忙しいとのご判断でして」
「…なるほどな」

思わず、舌打ちと一緒に相棒の口癖が口をついて出てくる。何故、よりによって「彼女」をここに。運命ってのはタイミングが良すぎだ。
成瀬は今の自分が随分といかつい顔をしている事を、ガラティアの不安そうな表情から悟り、それとなく作り笑いを貼り付けてやり過ごす。ちゃんと出来ている自信は無かったが。

「おかあさん」

ぽつり、とフタバがガラティアを見て指差す。
成瀬は、嫌な汗が背中を伝うのを感じた。

「おかあさん?」
けげんそうに首を傾げる金森に、成瀬がフォローを入れる前にフタバが口を開いた。
「うんそう、おかあさん…じゃ、ないの?おかあさん、きかいになって、迎えにきてくれたんじゃ」
「ふ、フタバ、これはちがう、これは…」
この場を取り繕おうとする成瀬の言葉に、今度はフタバが首を傾げている。
「お前のかあちゃんは、人間だろ?これは、俺の作った正義の、味方」
「そうなの?でもおかあさんそっくりだよ!すごいねおじちゃん!」
無邪気な少年に止めを刺されて、成瀬は言葉に窮して「ぐう」と唸った。
『…なるほどな』
本家本元の呟きが通信機を通じて成瀬の耳に入る。
「堂島、お前…」
『いや、全くの偶然だ。今気がついた。素性は一応調べていたが…そう結びついているとは思わなかった』
『何の事っすか?堂島さん』
『俺も知りたいでーす』『自分も』『この子、ただ単に研究員の家族じゃなかったんですか?』
通信機を通して、研究室内の騒ぎが透かして見えるようだ。後で何と弁明したものかと成瀬が頭を抱えていると、背後で靴音がした。

「あ、おとう、さん…」
喜びの再会、というには怯えて成瀬の背中に隠れてしまったフタバの姿を見る分には望めそうもない。
蛍光灯の暗がりの中に照らされる、ぬめった広い額と薄い頭髪。
敵意に満ちた表情で顔面を凝り固まらせた日向の姿が、成瀬の階下に広がる薄暗い階段の中腹にあった。

「よう、日向」
「………やっぱり」
「悪いが、お前のかみさんからメールをもらってな。この子は母親の元に返すぞ」
「………だろうな」

背後で小さくなって震えているフタバをかばうように、成瀬とガラティアが日向を見下ろす。
何故だろう、微妙に話が噛み合っていない気がする…。

「何故子供を閉じこめた」
「…えさ」
「…餌?」
「…お前を呼ぶための、えさ」
「…??」

やはり、意味がわからない。

「………やっぱり………やっぱり………やっぱりおまえ、だったんだな…」
「はあ、何を言ってる?この子に暴力と監禁でペルソナ能力の使用を強要したのはお前だろうが!」

「……ちがう。………そいつの、おやは…………おまえ、だったって、ことさ………」

その時の、日向の相貌が崩れる瞬間が、成瀬は目に焼き付いて離れない。彼の醜悪な姿は何度も見ていたし、それが脳裏に浮かんでむかむかした事もたくさんあった。だが、その顔は、成瀬に対する何よりも強烈な、底の無い嫉妬に身を焼く男の相そのものだった。欲しい欲しいと望んだ者を、真に手に入れている存在への限りない憎悪と憎しみ。それは、悲劇を呼ぶ緞帳の幕開けを告げる、道化の哀しさを思わせた。

階下と通信機の両側で、同時に多数の足音が周囲になだれ込むのを感じて成瀬は血の気が引くのを感じた。

「………悪いが、上に密告させてもらった。君の部下だった幾月君を覚えているかな」

『な、なんですか?!』『何の用だ!!』『うわああ!!』

「…あいつは数年前に別の部門に出て行った。もう関係ない」
「だが、彼は知っていたよ。君らが裏でこそこそと何か楽しい計画を立てていた事をね。…自分が混ぜてもらえないんで、いつか仕返ししようと思っていたそうだ。…彼も、僕も、同じだ。どうして相手にされないのか…」

日向は笑っていた。
フタバは、そんな父を見て、泣きながら叫び声を上げていた。

舌打ちしている暇もねえな。
迫り来る気配を察し、成瀬は事態の深刻さを悟ると、振り向かずに叫んだ。

「ガラティア!金森と一緒にこの子を連れて逃げろ!後の指示は金森に従え!任務を終えるまで絶対に戻ってくるな!」
「了解です。マスター、必ず帰還致しますので、くれぐれもお気をつけて」

成瀬の背後で非常ドアが力任せに開く音がした。
にやにやと笑ったままの日向の背後には、全身黒ずくめのSP達が銃を構えて何十人も姿を現した。

「…悪いが、俺もこのままハチの巣にされる気はねえぜ?」
ここを通す訳にはいかない。その覚悟だけを握りしめ、成瀬は久方ぶりに自分の異能の力を解放した。

*

どのくらいの時間だったのか、力の使いすぎで倒れるまで、成瀬はただひたすら戦い続けた。
その日未明、一名とペルソナ搭載型アンドロイド初号機・ガラティアを除く、対シャドウ兵器開発第二チームスタッフ全員が桐条警備班によって捕捉、施設の一部に軟禁された。それから数時間後、半日も経たぬ間に、あの爆発事故は起こったのだった。












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