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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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新しい名前。新しい場所へ。

二週間後。
「あいつ」は、驚くほど早くこの場所に近づいていた。
既に、フタバと同じ施設から救い出した他の子供達は皆、長期の薬物投与とペルソナの使用過多、および劣悪な環境での疲労と病症から相次いで亡くなっていた。
手厚く葬ったのだが、彼らの四十九日を迎える間もなく、「あいつ」の手下が、ここへ到着しそうだという。
こういう時、持つべき者は友と思う。
人里離れた、ネット環境すら不便な辺境地に、桐条内部の最新極秘情報をこっそりリークしてくれる奴がいるのは、心底ありがたい。

「あいつ」は、表向きは俺と同じく「被害者の調査」をしているが、どうも動きが怪しい。
後輩としてしごいてた時代から、笑顔のうさんくさい奴だと思っていたが、どうも本式でうさんくさいようで。

どうやら、「ペルソナ使い」もしくは「ペルソナ適正者」を優先的に確保しているそうだ。
その中でも、噂半分だが、適正なしと判断されるや、いかに幼い子供でも虫をつぶすように殺すらしい。
殺し方も悲惨そのものだ。
薬の人体実験、シャドウの一部を埋め込まれ発狂、もしくは自ら飼育しているらしいシャドウのエサにetc…。
まゆつばは承知だが、笑えない。
前歴者がいる。しかも、奴の徹底した残虐ぶりを、俺は目の当たりにしたのだから。

本社の総帥やらは、あいつの善良な建前や偽善者顔に騙されているようだが、現場の連中まではごまかせない。
もっとも、現場の声、とやらはてっぺんまで届かないのも重々承知しているらしい。
こういう時、桐条のダンナもボンボンだねえ、と嘆かわしくなる。
そんなのじゃあ、愛娘を守れやしねえぞ。
あのヒヒじいさんの狡猾さくらいは勉強せにゃあ、とな。

しかも、「あいつ」は最近、「日向双次郎」の「研究資料」を探し回っている、そうだ。
日向の施設での話は、俺達のチームの人間しか知らなかったはずだし、口外も俺が許さなかった。
誰がもらしたかは、この際関係ない。

「あいつ」は、「フタバ」を、狙っている。
それだけは、間違いない。

「…じゃあ、連れて行くんです?」
病院の前で、元同僚の後輩医師が見送りに出てきた。
「そうするよ。お前さんたちには荷が重いだろ?」
「…ああ、まあ、はあ…」
苦笑いを浮かべている。内心、この施設のスタッフ全員、ほっと胸をなで下ろしているに違いない。
「それじゃ、また薬が足らなくなったら送ってくれ。いつも言ってるが、俺の指定した成分が含まれてるのは外してくれ」
「ラジャーっすよ。本当、変なとこで健康気遣うんだから。それならタバコやめればいいのに…」
「ばーか。それが出来りゃあ俺の30万円貯まるバンクはすぐにパンパンよ」
「あはは、その通りですねえ」
男二人、昼下がりの木陰でげらげらと愉快に笑う。
そう、今日は俺とあいつの門出なんだから、このくらい豪快に行かないと。
「僕も、明日本部に一旦帰社するんですよ。一緒に帰れれば良かったけど、方向反対ですもんね」
「ああ、そうなるか。じゃあ、住所決まったらどこのメールサーバに…」
「おじちゃん」
不安げに、俺のくたびれたコートの裾を引っ張る小さな手。
適当に買ってきた新品のフリースパーカーとデニムのパンツを着たフタバが、俺の方を見上げている。
あれから数日で熱も下がり、やっと元の体調に戻ったようだ。
結局、記憶もほとんど戻らず、感情や情緒もひどく不安定なままではあるが…。
とりあえず、ペルソナに関わる記憶を同僚に催眠誘導で封印してもらい、引き取ることにしたのだ。

「ん?フタバどうした?不安か?」
無言で、フタバはこっくり頷く。
「心配いらねえよ。人生、大抵なんとかなるってもんさ。それと、これからはおじちゃん、じゃなくて」
「おとうさん」
「よし、上出来だ」

昨日、一応まっとうな手続きを行い、俺は、フタバの「養父」になった。
一応ついでに、肩書きも「遠縁の親戚」にしておいた。これなら角も立つまい。

おとうさん、おとうさん。
そう言って、俺に、擦り寄ってくる。
そっと頭をなでてやると、ここに来て、初めて嬉しそうに笑った。

よしよしとなでなでしていると、手提げのナイロン鞄から大事そうに、小さな紙切れを出してじっと見ている。

それは昨日渡した、あいつの新しい、名前。

「成瀬 双葉 なるせ ふたば」

俺の使う事のない名刺の裏に書き付けた、フタバの名刺。難しい漢字ばかりなので、ふりがなも振っておいた。
こちらの都合上、「二葉」を「双葉」に変えたのは内緒だ。
今お役所に流行中の、ペーパーレスな電子戸籍帳なら、ハッキング一つで幾らでもごまかせる。

「なるせ、ふたば」
「そう、それが、お前さんだ。…よろしくな、双葉」
「うんっ」

俺達は、仲良くふもとのバス停まで手をつないで歩いた。
正直未婚で、父親という柄でもない自分が「おとうさん」と呼ばれるのは、変な気分だが。
だが、これ以外すぐに実行できる妙案も無く、他人任せにするには危険すぎる気がした。

後日、俺達が別の田舎に旅立ち、後輩が帰社してすぐ。
この施設で、謎の爆発事故があった。
スタッフ・入院患者全員が、死亡。
患者はともかく、スタッフは、皆影時間に耐性もある。
俺の注意も聞いていたはずなのに…。
この後、俺は自分の予感が間違っていなかった事、
そして「あいつ」をみくびっていた事を、まざまざと痛感する事になった。












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