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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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※今日友人がこのブログに時々やってきていると知って普通にびびった管理人です(;´ω`)
Kさん、有難い助言サンクスでした。上にブログの説明追加してみたけど、これで分かるかな?

嵐はスーツを着てやってくる。
*
「ただいまー」
誰もいないと分かっていながら、つい口走ってしまう。
だが、その日は部屋の奥から「おかえりー」と返事が返ってきた。

庵じゃない。この声は。
その声に、うぐっ、と全身が強張ったのが嫌でも分かった。

「遅かったね晶。待ちくたびれたよ」

「何アポもなしに不法潜入してるんですか」
思わず反射的に言い返すと、部屋の奥から「何言ってるのさ」と悪びれもせずに当然と言いたげな返事が返ってくる。
「失礼な。ちゃんと管理人の方にご挨拶して入れてもらったよ。そっくりですねえご兄弟揃ってお綺麗で~なんて言われてさ」
スーパーの買い物袋を台所に置き慌てて寝室のドアを開くと、ついさっきまで二度寝していたベッドの上で優雅に寝そべって雑誌を読む「それ」がいた。

「それ」=僕の八つ年上の兄、聡文(あきふみ)。

黒スーツのジャケットを無造作に傍らのシステムチェアに引っかけ、ワイシャツに黒のスラックス姿、黒豹のように優雅な物腰のモデル然とした男は、ネクタイをラフに緩めてのび太君風ダラダラ読書スタイル(頬杖ついて寝そべり読書)で我が物顔に寝転がっている。端から見たなら、まるで僕の方が兄の部屋へ押しかけてきた世話焼きな弟に見えそうなリラックスモード。
断っておくと、ここは僕の借りてる部屋なんだが。

「何しにきたの、にいさん」
「何ってお前、家族を代表してお前の誕生日祝いを持ってきてやったんじゃないか。
秒単位仕切りのスケジュールをかいくぐってやっと半日休みをねじ込んで来たというのに。
議員先生の秘書は大変なんだぞ」
またそうやってもっともらしい事を言う。
大方、父に言われて僕の様子を見に来たんだろう。
言いたいのはやまやまだが、言葉を飲み込んで「ありがと」とぼそりと呟くと「ん」と気のない返事が返ってくる。

「とりあえず、そうした訳で兄さんは時間が無い。お前とあんな事やこんな事したいが、それもままならぬ身なのだよ。で、夕食もまだだから兄さんは腹がすいた。お前の手料理、そうだな和食を所望するぞ。前回みたくいささか庶民臭いパスタはちょっと侘びしいから、多少手の込んだものを頼む」
「あのね、今日の今にそんないきなり言われても…」
「ああそうそう。誕生日祝いは適当に冷蔵庫へ突っ込んでおいたから、後でたっぷり隣のタヌキに見せびらかしつつ賞味しなさいね。お前の好きそうなものばかりチョイスしといておいた。感涙にむせび泣くがいいぞ。そして兄の胸に飛び込んでくるがいい」
「謹んでお断りします」
にべもなく断ると、兄さんは雑誌を畳みやっとこさ身体を起こして、あからさまに不満げに唇を尖らせる。

「冷たいなあ晶…昔は俺のお膝の上でお人形のように慎ましくしてたというのに。すっかりあのタヌキ小僧に毒されて、兄さん悲しいぞ」
「兄さんが相変わらずなもんだからつい。庵の事、いつも言うけどあんまり悪く言わないでくださいよ」
「何を言う!
あいつが小さい頃いつもいつもお前を毎日外へ連れ出すもんだから、兄さんはお前と遊ぶ時間が少なくなってどれだけ不満だったことか。
お前のほっぺたをもふもふするのが人生一番の生き甲斐なのに」

濡羽色の艶やかな長髪、やや吊り気味の美麗な切れ長の瞳、薄い唇にシャープな横顔、豹の如く締まったボディライン…努力で全てを作り上げてきた自分と違い、何もかもが元から一級品のパーツで揃えられているこの男は、今天から与えられている全ての技量と器量を使って今にも掴みかかってきそうな剣幕で、いかに自分の方が僕の親友より僕を大事に思っているかを力説する。
もはや慣れた光景とはいえ、いい加減自分の立場と年齢を自覚してほしい。

「止めて下さいよ…僕もう二十歳ですよ?兄さんもうすぐ三十路だっていうのに…」
ふう、と溜息ついて背中を向けたのがいけなかった。すぐに背面を取られ、肩越しににゅっ、と手が伸び僕のホッペタをむにむに掌で弄ぶ。
「ああ~気持ちいい!これこれこの感触、何だか白玉団子食べたくなってきたな。晶作ってくれ」
無造作に手を払い除けて振り向くと、してやったりの至福の笑顔を浮かべている…。
はああああ…と大きく大袈裟に溜息を吐いてみせると、兄はニヤニヤにやけた笑みを浮かべている。

むかついた。

「…そんなの、すぐ作れるはずないでしょう?冷蔵庫の中にもなかったと思うけど…」
無視して台所の冷蔵庫を開ける。

一瞬硬直し、口からは「なんじゃこりゃあああ」と素っ頓狂な声を出してしまい、慌てて体面を取り繕う。

ほとんどカラになっていたはずだったのだが。

一段目から四段目まで、みっしりと、フルーツゼリーが詰め込まれている。
某超有名果物屋の特注高級ゼリー。
それが種類ごとに二十も三十も入っている。
しかもご丁寧に、薬味棚をきっちり整頓した上で、隙間無くジュース用のスペースから野菜用ボックスの中にまでゼリーゼリーゼリー…。
種類は数点あるも、全部同じ果物ばかり。

メロン。
マスク・プリンス・アールス・アンデス・夕張エトセトラ…
…理由は見た瞬間に分かった。

「おーい晶ぁ、帰ってき…」
細く、僕の家のドアを開いて覗き込んできた庵の顔が、僕の背後にいるであろう人物を視認して硬直する。
その表情たるや、某図かずおの劇画タッチ風恐怖の相である。

「来たなタヌキ」
待ちかまえていたかのような悪人面のチェシャスマイルを浮かべる兄を見て、即座に庵が扉を閉めたのは言うまでもない。

警戒して当然だ。…庵と兄は、昔から犬猿の仲だった。
兄が僕を独り占めしようと庵にあれやこれやと嫌がらせするので、顔を合わせるとこれである。

メロンばっかりのゼリーもそのためだ。
…庵は、メロンと高い所が何より苦手だったから。
あいつに食わせるな、という無言の圧力。

とはいえ、僕と同じくらい複雑な生い立ちを持つ兄を一概に責められない自分である。
庵もそこら辺は分かっているから、あっさり身を引いてくれたのだろう。
後でフォローしておこう。

とはいえ。
賢いのに変、しかも理由が分からないほどのブラコン、それが_血の繋がりは半分しかない腹違いの_我が兄である。

【続く】












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