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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

アン大クイズ研究部絶賛活動中。
*

翌日。
案の定、冷蔵庫に詰め込まれたゼリーが邪魔になり、上の棚から順番にゼリーを掴みナイロン袋に放り込むと、講義前に別棟のサークル部室へ向かう。
がっさがっさと無駄に重くかさばった袋に辟易しつつ、サークル棟一番奥の「クイズ研究部」とマーカーで小さく書かれた札の下がった部屋へ入る。

中に入るとむん、とした熱気。
朝一番なのに、中は既に夏真っ盛りの蒸し暑さか。
雑然と置かれた長机、雑誌、クイズ用問題集の束。
捨てられてないお菓子の紙くずが詰まったゴミ箱の脇に、目当てのものがあった。

「よし、詰めるか」

部長の夏彦がディスカウントショップで値切りにねぎって引き取ったという二千円の小さな冷蔵庫。
メイドインインディア、冷凍庫無し、保冷スペースのみのくすんだ白いプラスティックボディというシンプルなものだが、これでも結構な量が入る。
中を覗くと、庵が入れたっぽい未開封のカルピス缶が一個だけ入っていた。
そろりと奥へ押しやり、晶はおもむろにナイロン袋へと手を入れた。

*

「…で、冷蔵庫の中にゼリーがたんと詰まってたという訳か」
「そういう事です。講義の後に立ち寄るつもりだったんで大丈夫かと思ったんですが、一応メールしておけば良かったですね」
「いや、構わんさ。一番見つけたら危なそうな奴が、まさか手を付けずに置いておいたんだから」
意外だったがな、と、夏彦はアンデスメロンジュレのアルミパックを開きつつガッハッハと豪快に笑う。
言われた当人…庵は机に突っ伏したままぶー、とむくれっ面である。

「悪いな、遊びに来た俺までゴチになって」
「いいですよ大輔さん。ここんとこ頻繁にウチの部室へ来てたし。五・六個持ち帰っていただいて構いませんから。むしろ、その方が有難いですし」
マジか、と大輔はヒュウと口笛を鳴らす。
四月以降、自分の主催していたサークルが潰れてしまったため、大輔は「敵地調査」と称して時々授業の後にアン大のクイズ研に遊びに来るようになっていた。今日も一日授業無し・午前中バイトの帰りでふらりと立ち寄って、メロンゼリーのご相伴に預かっている。
「寮の連中にもちょっと持って帰ってやるかな…あいつら万年金欠だし」
「優しいね大輔さん」
「人として当然だ安佐。美味いもんはみんなで食うもんだ」
「ですね~。このゼリー本当に美味しいですぅ!晶先輩有り難うございます~」
「そこまで喜んでもらえると嬉しいかな。味はまあ、千●屋のだからね」
美味しい美味しいと、感激しきりで頬が緩みっぱなしな敦に、臨席の庵が「美味いか?」とぼそりと呟く。

「美味しいですよ?メロンゼリー」
「マスクもプリンスもアールスもみんな美味いぞ!」
(庵除く)四人全員が別々の味を選んだため、一口ずつ部長権限で試食して回った夏彦の顔に満面の笑みが浮かんでいる。
こういう顔を見ると、改めて持ってきて良かったなと思う晶であった。
既に「ぬるくなる」と言われたにもかかわらず、手元に全5種類を1個ずつキープしている部長殿に、貧乏性を垣間見る部員+ゲスト一名。

「しかし…安佐、お前なんでメロンが嫌いなんだ?」
信じられないと言いたげに眉をひそめる大輔に、庵も「何でメロンが美味いのかわかんねえ」と眉をひそめかえす。

「メロンきもいお」
「だから何が」
「安佐、お前舌が肥えすぎてるんじゃないのか?」
「まっさかぁヒゲ先輩!俺、メロン以外なら何でも食えるし。
…まあ、きゅうりとかウリもちょい苦手だけど。ああいう水っぽい味のが苦手。
メロンは更に口に入れた時の感触がやばい。ぐちゃああ、ってなるアレがきもい。
しかも水っぽいのに甘いのが最高にきもい。結論まずい」
「わからねえ」
大輔の率直な一言が、その場にいた庵以外全員の思いを代弁する。
「メロンなんかこの世からなくなればいいお」
「まあまあ、どうせ一人でぶーたれるだろうと思って、一応これ買ってきてあげたから、これでも食べてなよ」
「おお、それはウチの購買名物ハッピープッ●ンプリン!やっぱマブダチ、分かってるぅ~(*´ω`)」
見かねた晶が差し出した掌ほどもある巨大なプリンの上蓋をバリバリと開けて豪快にほおばる庵に、全員苦笑をこぼす。
「何が可笑しいんだよ!」
「いや、平和だなーと、思って」
「だな」
「ですよねー」
発足から早二ヶ月、クイズ研究部は取り立てて目立った活動もなく、まったりと雑談で消耗される日々がゆるゆると続いていた。

【続く】












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