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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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夏の予定とラーメンとリモコン。
*
「今年の夏は、みんなどうするのさ」
クーラーのリモコンを独占して夏彦に渋い顔をされている庵の問いかけに、大輔は「俺は地元帰るぞ」と即答する。
「博多?鹿児島?」
「とりあえず、お袋の店手伝わないといけないから、一旦博多に帰って盆には鹿児島かな」
「豚骨ラーメン屋なんだってな。うまそー」
「うまそー、じゃなくて美味い、だ。
ウチのラーメンは九州で一番美味いぞ。贔屓目無く、な。
もし福岡来る事あったら、博多駅から近いしいっぺん行ってみるといい。名物おかみのラーメン伯楽っていったらタクシーの運ちゃんみんな知ってるからよ。こっちの駅前支店もいいけど、博多限定の超濃厚スープ食ったら並の豚骨じゃ満足出来なくなるから。麺はバリカタでいっとけ」

「凄い自信だ…」
「しかしそこにそそられる」

「ラーメンかあ、俺も駅前の伯楽良く行くんだよな。兄貴も出張でこっち来た時は絶対寄って帰るって言ってたっけか」
結局、持ち帰るまでもなくメロンゼリー5個を平らげた夏彦はどこか物憂げに天井の煤けたシミを仰ぐ。
「先輩はどうするんすか?やっぱりこっち残って研究です?」
「そうしたかったのはやまやまなんだが…法事で七月に一旦神戸に戻らにゃならん。そのついでに、リクルートもそろそろ考えんとならんのでな。地元企業と去年から色々研究関連で付き合いが出来てるんで、今年はがっつり帰省して研究半分就職活動半分、姪っ子の世話ちょっとってとこかね」
「へー、意外だ」
「そういうお前はどうなんだ?安佐。
…つか、リモコン返せ。設定温度25度は低すぎだコラ」
「28度ぬるくて頭が沸騰するとです。リモコンは死守するであります」
背面から冷風が直撃するせいか、白衣を肩から羽織って背筋を震わせつつ、リモコン奪取しようとする夏彦の手を、庵はするりと避けて得意げに鼻を膨らませる。

「庵は今年も帰省しないの?」
晶に問われて、庵は「そのつもり」とリモコンに視線を落としたまま答える。

「帰る理由も無いし。
それに、もう夏休み直後にはバイト先で一週間限定フェアに向けてみっしりシフト組まれてるから死にそうになってると思う。今年は『灼熱のチゲ鍋祭り』だって。短期バイトの教育係よ俺。しかも厨房極熱。絶対脳天沸く。ハンパねーわ絶対…。
あ、食べに来るか?サービスするよ」

「モツ鍋フェアじゃねーのかよ…俺もラーメン屋は短期のバイトに教えてから帰省だな」
「美味しそうですね~チゲ鍋~…」
一人まったりと会話に聞き入っていた敦は、晶に尋ねられると「実家帰りますよ」と答える。

「七月に入ると実家は生酒の出荷がピークで猫の手も借りたいくらい忙しいですし、昨日くらいから、弟が「いつ帰る?」って電話催促してくるんで、帰らないとまずいだろうなーって。バイト先の和菓子屋さんにも、その旨もう伝えてます」
「まさか、お前とバイト先一緒になるとは思わなかったが」
「僕もびっくりでした~」

その後、和菓子屋「餡庵」にめでたくバイト採用された敦だったが、バイトの先輩として大輔がいたのである。たまに立ち寄る夏彦も気付いていなかったが、どうやら白帯帽+黒縁眼鏡のせいらしい。大輔は近眼のため普段こそコンタクト使用だが、三つかけもちしているバイト中、レンズが熱気で曇るラーメン屋以外はビン底のような分厚い眼鏡姿だという。
「大輔さんの接客姿、ラーメン屋はともかく和菓子屋想像出来ない」
「うるせえな安佐、俺はこれでも優良アルバイターとして結構有名なんだぜ」
「すっごい和菓子屋の店長さん褒めてましたよ~。一時6つかけもちしてたときも全然接客態度がぶれてなかったって」
「6つかけもちって…一体何でそんなにお金が必要だったんですか…」
ぎょっとする周囲に、大輔は珍しく口ごもる。

「うっ…まあ、それは…まあ、色々あったんだよ」
「何か匂うな」
「安佐うるせっつってんだろうが!いいだろ別に!…つか阿南、お前弟いたんだ」
「あ、はい。弟と妹の双子と、一つ上に姉が」
「お前長男?見えないな…」
「何ででしょう、よく言われますぅ」
「弟っぽいもんな、なんか性格のまったり具合が」
「えーそんなあー」
不満げに口を尖らせる敦に、一同まったりと和んだ笑顔を浮かべる。

「安住はどうするんだ?やっぱ帰省か?」
何の気無しな夏彦の問いに、不意討ちだった晶は「え?」と言ったまま押し黙ってしまう。

「え…あ、ああ、その…未定、です」
「何だ、釈然とせんな」
「あーそれは…ちょっとはっきり分からないんで、パスです。すみません」
歯切れ悪く、苦笑いを浮かべる晶の横顔を、庵は黙したままそっと横目で覗きこむ。
ほんの一瞬、彼の横顔に虚ろな陰が落ちて消えたのを感じて、庵は「あ」と誰にも聞こえない小さな声で呟く。

なるほど、昨日の兄貴が何か余計なお小言でも言ってたかな。
晶の家の内情と共に、自分の家の事を思い出し、庵も一瞬プチ憂鬱に落ちかけるもぐっとこらえる。

「…ん、まあ、晶はレポート済んだらまったりひと夏のバカンスでもしてればいいことよ」
「バカンスねえ…そういや安佐、お前アン女の彼女と上手くいってるのか?」

「まっ、まだ彼女じゃねってば!!」

大輔にフイを疲れて唐突に大声を出したため、一瞬部室内がしんと静まり、次の瞬間どっと笑いが起こった。

「バカ、動揺しすぎ」
「庵先輩耳まで真っ赤ですよう」
「うるさいうるさいよ二人とも。…つか、ヒゲ先輩まで何ニヤニヤしてんですか!!」
「お前、わかりやすいなあ」
「余計なお世話っす」
「で?じゃあ今どこまでいってんの?」
「うっさいっすよ大輔さん!…その、こないだ買い物一緒に行った。手は繋いだ。夏休みに入ったら香川遊びに来てね♪…とも言われた、けど」

おおー…とにやついた顔で囃す大輔に、庵は歯を剥いて拳を突き出す。猿の威嚇まんまじゃんと晶が突っ込むとイーッと歯を見せてむくれっ面で腕組みしてふてくされてしまった。

「うんうん、健康的で何よりだな」
「いっそ、本当に香川に遊びに行ったらどうですか先輩?」
「チゲ鍋祭り済んだら考える。そんときは敦君も連行してやんよ」
「そ、それは無理ですってば!(四国は行ったことないから一度行きたいですけど)」

「(僕も出来れば夏に杏奈さんともっと親しくなれたら…!)」
「(そういや安城杏奈…帰省すんのかな…それなら、地元で遊びに誘えねえかな…)」

それぞれの思惑を胸に、初夏の午後は雑談と共にゆるやかに過ぎていった。

【続く】












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