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空白の一ヶ月事件:概要1

当事者Aと部外者D、当時を回想する。
*

「二年前に亡くなったんだっけ、庵の父親」
「はい。交通事故でした。でもその前からずっと…」
二人の間に、重苦しい沈黙が漂う。
それを語る際に、避けては通れない暗い話題が、二人の脳裏をよぎる。

二年前の大事件。
それはテレビ局も巻き込んだ大スキャンダルだった。

「安佐庵・空白の一ヶ月事件」と一般的には呼ばれてるそうだが、
正式な名称は「アカデミッククイズ八百長事件」…という。
ただ、この名称を放送元である大日本テレビが敬遠したがっている節もあり、報道では前例が用いられていた。

番組開始時からスタッフと共にアカデミッククイズのクイズ構成を取り仕切ってきた名司会者・福盛留吉の老齢による番組降板に際し、総合司会を任された新司会者が新しいプロデューサーとスポンサー側とで結託し視聴率稼ぎのために行ったとされる、複数校へのカンニング疑惑。

当初は予選会で目星を付けられていた、アクの強い…いわゆる、テレビ受けしそうなキャラ性の高い学生がいるチームへ有利な便宜とカンニングを図ったとして、一部週刊誌へすっぱ抜かれたのが始まりだったが、その後、テレビ局の見解で驚くべき発表がなされた。

「これを一部週刊誌へと情報を流したスタッフが、職務怠慢を理由に解雇された事を逆恨みし捏造した全くのデタラメ」と当初は繰り返し伝えていたものの、他局取材陣による度重なる追求で、遂に疑惑の渦中にあった新司会者・朽崎亘理(くちさき わたり)が重い口を開いた。

疑惑を認めたのだ。しかし、そこにとんでもない追加情報がなされた。

「こちら側から意図的にカンニングを行ったのは一校だけ。

 …優勝校の相仁第九高校のみ」だと。

三連覇の偉業そのものが捏造であり、これは元々福盛アナ時代から続いていた悪しき慣例に仕方なく従っただけだと言う、涙ながらの弁明で世間の評価は朽崎に対する評価は一気に良好へ転じた。
折しも、当時福盛アナは局を退職しフリーになる直前であったため、「大日本テレビから出て追求から逃げる気ではないのか」と、この情報を裏付ける要素として世間に受け止められてしまった。

福盛アナは勿論弁明し、言語道断だと一喝した。

彼はアカデミック以前のウルト●クイズの司会も担った大ベテランであり、クイズ番組が局の看板であった頃からフェアプレーを好み、参加者と親しく接する一方で人生や背景をドラマの一部のように捉え、着色の無いドキュメントのように描き出す事を好んだ。
カンニングや捏造は彼のもっとも嫌う部分であり、その点をスタッフにどれだけ徹底して厳命していたかは、後に古参スタッフの多くが証言している。

しかし、朽崎の手回しは非常に手際良かった。
親が大手広告会社の理事である事を良いことに、権力をバックにマスコミへと有利になるよう便宜を図り金で手回しをしておいたのだ。
その結果、相仁第九高校を唯一嫌疑から庇ってくれた福盛アナは失脚し、半ば追い出される形で大日本テレビを出る事になり、一時期出入り禁止の措置までとられたという。
当時は心ない声に混じって「あれだけ局に貢献したアナをこんな形で…」と局の姿勢を疑問視する声も既に出ていた。
が、予想以上の世間やマスコミの厳しい指摘や苦情に対し、局は急ぎダークなイメージを払拭し決着をつけたかったのであろうと思われる。

無論、相仁第九高校の三人=チーム「トリプルA」に対しても世間の目は厳しくなった。
庵はもとより、晶も勿論その被害に遭った。

言うまでもなく、出自の件である。週刊誌はここぞとばかりに悪辣に書き立てた。

「元愛人の子」「厚顔無恥」「親と同じで小狡い狐」…。

目に痛い大見出し。
それが朝教室に行くと開いて自分の机の上に乗せられているのだ。
学校内だけでなく、登下校中も周囲から視線を感じる。
それも好意的なものでなく、汚物を遠目から見て嫌悪するような目。
いきなり背中を誰かに蹴られたり、腐ったトマトを投げつけられたり。
ひそひそと誰かが道ばたで話しているのを見るだけで寒気がした。
当時参議院議員であった晶の父は、インタビューされてもいつも通り飄々とそしらぬ様子で庇ってくれたが、それが逆に申し訳なかった。

晶は元々線が細い。
そのために身体も鍛えていたが、とうとう精神的に参ってしまい、神経性の頭痛や目眩で倒れてしまった。

庵も、晶と同様の目に遭い、様々な嘘半分悪意半分なデタラメばかりの悪評を暴露された。
彼も又、彼女に最悪の形でフラレた直後に、追い打ちを掛けるかのようなマスコミの仕打ちに打ちのめされたようだ。

捏造された天才。
小学校時代から、カンニングで優勝していた偽クイズ王。
視聴率低下を食い止めるために、過去の功績から庵が舞台裏で局に打診されチームを作り、三年前から仕込まれていたヤラセだと…。

同じクイズに出ていたはずの、相仁第九高校以外の他県参加高校チームのメンバーは一様に沈黙。
学校側の多くも体面や世間の風評被害を恐れ、マスコミに関係ない一般生徒すら触らせないように報道規制を敷く高校さえあった。
志を共にしたはずの、同年代・同級生たちからも援護は無く、まさしく孤立無援状態に晒された頃。

そして、遂にメンバーの一人が、それを事実だと告白。

阿古屋海人。

彼は、朽崎と並んで涙ながらに謝罪会見を開き、他の二人に早く罪を認め謝罪すべきだと訴えた。
その席で、彼は庵の事を特に罵り、「あいつは嘘つきだ」と並べ立てた。

庵は、既に天才ではなかったというのだ。
現に高校二年の秋に「ライブラリ」が見えなくなったと大きく騒ぎ立て、これ見よがしにテストで酷い点数を取った事を明かしたが、その理由は「今まで勉強もカンニングでどうにかしていたからだ」と暴露した。証拠も既に押さえてあり、必要な際にはそれを公開するとさえ言った。
証人もおり、既に数人証言を承諾していると述べ、これで大勢は決したかに思えた。

その日の深夜、庵は晶の家を尋ね、体調の優れない晶を見舞って縁側からこう叫んだという。

「必ず真実をみんなに伝える。そのための証拠を持って帰るから待っててくれ」と。

それだけを親友に言い残して、彼は姿を消した。
それから一ヶ月後、異例の速さで緊急特番が組まれた。

「アカデミッククイズ 捏造を暴く! 朽崎アナVS天才?少年安佐庵!」

事態の収束を図るテレビ局にたった一人対決する天才少年…と言えば聞こえはいいが、実質、彼が天才かどうかを見定める、いや、そうでないのを暴露し糾弾する魔女裁判じみた生放送番組。

ところが当初一時間の予定が、押しに押しまくって朝九時から午後2時半までと、「終了まで生番組をやる!」と明言した大日本テレビで延々と、しかも皮肉な事に、大日本テレビの見解をひっくり返し、局の暗部を抉る内容で空前の高視聴率をマークし、真っ昼間ながら30%以上の高視聴率を保ったまま、お茶の間に放送され続けた。

これもまた、安佐庵の伝説であり、後に彼が「アカデミッククイズの英雄」と言われるゆえんとなった事件のクライマックスである。

しかし、それと同時に、今まで取り上げられる事のなかった彼の私生活…とりわけ家族との関係が浮き彫りとなり、彼の父親が事故死するまで、庵への心ないマスコミ取材が及ぶ遠因となった事件でもあった。

【回想03へ続く】












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