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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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共同戦線。

*

「…庵、きっとお父さんの事、気にしてるんだと思います。自分のせいで父さん死なせて辛かったって、言ってましたから…」
「…そうか。じゃああの事故は、本当だったんだな…」
「…はい。でもそれは裏を返せば…庵は、お父さんの事、好きだったって事ですよね…それって、きっとケンカはしてたけど、父を慕っていたって事でしょう?
だから、余計にお母さんやお姉さんに罪悪感を感じているのかも知れない…自分が目立った事しなければ、父親も周囲にワアワア言われもしなかったし、あんな事故、もしかしたら起こらなかったかもって。
…事故は、庵が悪いんじゃない。
悪い偶然がたまたま重なってしまっただけだったのに…」

「…」
大輔は俯いたまま、黙して目を伏せる。
少し考え込んでいるようだ。

「あれからずっと、庵は実家から逃げ続けてます。
まるで、自分の過去から逃げるみたいに」
「………」
「時折、ふさぎ込む事も少なくなかったんです。ここ半年で、見違えるように良くなりましたけど」
「だから、お前心配なんだな」
「…はい。正直なところ、二年前に、マスコミにバッシングされてる中、庵が一人証言と証拠集めに出て行った時でさえ、僕は心配でした。
もし途中で心が挫けたら、庵は割と思い詰めるところがあるから良からぬ事考えやしないか、とかって。
時々、不定期に来てたメールや電話が来る度安堵してたのを覚えてます。
こっちからかけても、庵は集中してる時は全く電話に出ないし」
「それは、確かに心配にもなるわな」
「それとまあ、自分の事もあって。…ま、いつもの思いつきだけなら、新潟行ったら得心して帰る気になるでしょうし、それまで付き合おうかなって」
「ではもし、そうでなかったら?」
「…それなんですよね。まあ、妙な気起こさなければそれで良し、です」
「ふうむ」
腕組みをしたまま、大輔は腫れぼったくなった瞼を開け、車内灯を仰ぐ。

「やっぱ、着いてきて良かったかもな」
「え?」
意外な大輔の言葉に、晶は思わず(静まり返った車内にしては)大きめの声を出してしまし、慌てて自分の口を塞ぐ。

「いや、最初は気のせいかと思ってたんだけどさ。…あいつ、時々妙に明るすぎたり、ふとした瞬間に表情がのっぺりしたりしないか?」
「え、それは…」
そうかも知れない。思い当たる節はある。
だからこそ、付いてきた晶は心中どきりとなる。

「だから妙だなって。
記念大会の時は、もっと普通にバカだったよなー、とか思ってさ。
やっぱり何かあったかなとは感じてたんだ」
「………」
「…何つうかな、俺そういうの駄目なんだ。
放っておけないっていうか。
俺も昔色々あってさ、そういう時支えてくれたのが学校の先輩だったり鹿児島のじーやんだったり、そういう周りに誰か理解者がいたから立ち直れたっつうか…」

「大輔さん…」

「だから何つうかまあ、気のせいだったらいいんだよ別に。
ただ単にバカに付き合って日本一周に連行されましたで。
でもさ、俺お前等と正直もっと腹割って話出来るようになりたいんだよな。…お前等のいる部室行くの、楽しいけど、微妙に話題とか気ぃ使っちまうし」

「…」

「行き先も行き先で、新潟行くって言うから、妙な縁まで感じちまうし。
…あそこ、ちょっと因縁があるし、ちょっと会いたい奴もいるしでさ…

…って、何泣いてんだよ安住おいコラ」

堪えきれず、ぐすぐす涙腺を緩ませる晶は「安住じゃなく晶でいいれふ」と鼻声でそっとティッシュを取り出し、音を立てぬよう鼻をかむ。

「あー…じゃあ晶。泣くなって。な?」
「ひゃい」
もう一回、今度はぴひー、と少し音を立てて鼻をかむ。
鼻から息の抜ける変な音に、お互い顔を見合わせてくっくっくと笑う。

「だせえよ」
「すみません。…有り難うございます」
「いいって。…しかし、お前も気苦労が絶えないな。大変だろうに」
「いいんです。好きでやってる事だし、ああ見えて庵良い奴だし」
命の恩人だしね、という言葉は飲み込んで、ゴミを袋にかたづける。

「…お前のとこのヒゲ部長は、庵の事色々知ってて勧誘したのか?」
「…入部後に二人きりの時に話を聞いたら、一年の時に勧誘に来た際は、大輔さんと同様に庵の事を気に掛けてくださってたみたいです。
でもって、庵の才能を惜しいと思ってたらしくて『気晴らしにでも入ってみないか?』とまで言ってはくださったんですが、当時は疑わしかったんで謹んで辞退させていただきました。
…思い返せば、あの時入ってたらもっと早く庵元気になってたかも知れないな。
授業受けてる時は割と平然としてたけど、帰ったら時々妙な行動が目立って。

朝気がつくと僕の隣で床にごろ寝してたりして。
何してるのって聞いたら、むっつりしたままお腹空きましたって。

幼稚園児みたいに。

そういう日は食べさせてあげると安心して帰って、数日は授業サボって自分の部屋で電気消したままずっと布団にくるまって蓑虫になってたり」
「…結構、鬱だったんだな」
「だから、一年半で随分良くなったんですよ。クイズゲームとサークル始めてからはもっと。部屋には相変わらず僕のご飯目当てに来ますけど、目に見えて明るくなりました。…それネタにして、笑い飛ばせるくらいにね」
晶がそう言うと、大輔は声を殺して笑った。

「ならいいさ。あのヒゲ部長、見かけによらず気が回るみたいだし。
…問題は敦か?あいつ、ここだけの話、天然で地雷問題踏みそうで怖いんだけど」
「あー…」
それは薄々晶も感じていた。
実際、何度か釘を刺した覚えもある。

「空白の一ヶ月事件」以降、アカデミッククイズファンの一部に庵の熱狂的なファンが生まれ、今も根強く存在すると聞いている。
敦はそこまで行き過ぎていないものの、盲目的に庵を慕っている節がある。
また、雑学好きで何でも知りたい、知っておきたいという貪欲な知識欲も強い。
庵の事を無邪気にあれこれと詮索して、庵の心の傷に触れはしないかとヒヤヒヤしていた事も、なかったとは言い切れない。

とはいえ、それを一番肌で感じているのは庵だろう。
その庵が行きたいと言って敦の家に向かっているのだから、きっと問題はないはず。
晶はそう判断していた。

「庵が行きたがってるし、本人も分かってるでしょうし」
晶がそう言うと、大輔も「それならいいが」と、それきり追求はしなかった。

「そろそろ丑三つ時ですね。明日に備えて、今日はもう寝ましょうか」
「だな。…あいつもグッスリみたいだし、俺も明日…いや今日か。今日の昼には先輩に電話だ。頭シャキッとさせておかないと」
目を閉じる前に、庵の座る後方座席に、二人は視線を向ける。
庵は口を開けて、シートに深々と身体を休めてグースカ眠っていた。
なんとなく、真面目に議論してきたせいか、ちょっとむかついた。

「…これで、単なる思いつきとかだったらマジで腹にグー入れてやろ」
「…その確率の方が高いですよきっと。…まあ、僕も分かった時点でハリセン出しますけど」
だな、ですね、と互いに確認し合い、大輔と晶は遅い就寝についた。

【新潟編に続く】












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