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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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名探偵ネム。
*
「兄ちゃん」
氷水の入った木桶とタオルを抱えて、廊下をパタパタと急ぐ敦の背後で、待っていたかのように弟の小さな陰が現れる。
その表情は、顔を見なくても分かる。背中に感じる空気がピリピリとちくちくする感じ。苛立って眉を吊り上げてる事だろう。
振り向かず、そのまま背後の気配に耳を傾ける。
「何だい?ネム。お兄ちゃん、今お友達の看病で忙し…」
「あの人たち怪しいよ」
「またそんな事言って。いい加減怒るよ?」
「ホントだよ。証拠ゲットしたもん」
「はいはい…(また適当な事言って…)じゃあ、また後でね。今急いでるから」
「………」
背中にまとわりつくような弟の視線を振り払いたくなって、敦は幾分歩調を早めて去っていった。

*
「これは事件の香りがぷんぷんするな…」
昼食後の昼下がり。
先程縁側の下で見つけた『証拠品』を手に庭をぶらぶらしながら、ネムは自己流の推理を展開し始めていた。

いきなり、何の前触れもなくやってきた兄ちゃんの東京の友達。
そして、次には同じく東京で会ったという女の人。
…胸は小さいが、結構美人だ。
しかも、自分の家と同じく造り酒屋…。


……
………

「…解ったぞ」

兄ちゃんやお父さんが、何一つ文句を言わず、奴らを滞在させる理由。
きっと、兄ちゃん東京であの三人組にたかられてるんだ。

理由は………この「証拠品」=カード、じゃなかろうか。
確か、これはゲームに使う物だと聞いた気がする。
東京に行ってから好きになって、ほぼ毎日プレイしてるとも。
ゲーセンはギャンブル場みたいなとこで、お金を無駄遣いさせるから近寄ったら駄目だって、散々自分には言ってたのに。
きっとそこで兄ちゃん借金でも作って、あの三人組に借金のカタでいじめられてるんじゃあ…。
で、このゲーム用のカードを何らかの理由で取り上げられてる、と。
借金返すまで、これは没収だ。みたいな。…だから、裏面に「封」の字が書いてあるんじゃないかな?

…うーん、しかしこれだけでは理由としてココロモトナイ。決定的な「証拠」…。

「とすると、あれかな…」
実は、こないだ見てしまったのだ。
兄が泣きながら、あの「有名人」だというアホそうな男に「やめてー」と追いすがっていたのを。
とすれば、奴のケータイも証拠品としてゲットしなければならないか。
あの中に、きっと兄ちゃんの「弱み」が入ってるはずなのだ。

で、それをお父さんも知ってて何も反抗出来ないとか…。

待て。それだったら、非常に「ゆゆしき」事態じゃないか!

しかも、あの造り酒屋の女の人は、自分の家も厳しいみたいなこと言ってたような。
まさか、お金欲しさに三人組とグルになって兄ちゃん誘惑して、結婚した途端、借金をタテに三人組を使って僕らもろともここから追い出す算段なんじゃあ…。

「へっへっへ、お前のウチのもの、全部借金のカタにいただいていくぜ!」
「ゲームにはまって、お金返さない君が悪いんだよーニヤニヤ」
「カード没収な。ゲッヘッヘ」
「もう婚約したなら家族も同じ、お前の家のものは僕のもんだ!身ぐるみひん剥いて、むしれるものはケツ毛までむしっていってやるぜ!オホホホ」

脳内で、ツンツン髪の悪魔超人が下卑た笑みを浮かべ、ロン毛魔人が兄に嘲笑を浴びせる。
品の無いタマネギ赤毛猿が涙目な兄を小突いて押し倒し、ショートヘアの結婚詐欺師は筋骨逞しい二の腕で兄にチョークスリーパーを…。

「そっ、そんなことさせてたまるか!!」

思わず、声を出してしまい慌てて口を塞ぐ。
…そうと気付いてしまったなら、自分がこの窮地をどうにか救う他あるまい。
何故か、姉も妹もこの事態の緊急性に気付いていない。
それならばなお、侮られている今のウチに、自分が一家最大のピンチを追い払うしかないではないか!

兄への不満から、ついには使命感へと目覚めたネムは、全身にたぎる正義の高揚に身を震わて拳を握りしめる。

「よーっし、僕が、僕がウチの絶体絶命ピンチをどうにかしてやるぞー!」
「何言ってるのネムくーん?」
いつの間にやら背後にいた妹のアコに、ネムは不必要なほどに全身をびくつかせた。

「うわっ!…って、アコちゃんか。びっくりさせないでよ、今僕は重大な任務についた所なんだ。邪魔しないでくれよなー」
「またあのお兄ちゃんたちにちょっかい出す気?お客さんなんだからやめなよー」

「お客さんなんかじゃないよっ!!
あいつら悪い奴だ。僕はこの目でちゃんと見たんだからねっ」

「またその話?兄ちゃんはじゃれてただけだって言ってたよー。有名人なんだし、兄ちゃんもいつもよりニコニコしてるし、イタズラしちゃ駄目よー」
「ニコニコしてない!あれは笑顔の裏で泣いてるだけだ!僕には解るよ!あいつらは兄ちゃんを脅して…」

「遊んでもらえないからって…ネム君、わがまま過ぎだよ。いっつもそうやって兄ちゃんの自由奪ってるって気付かない?」

「むっ…」

「お父さんも言ってたじゃない。

もうそろそろ、兄ちゃんから卒業しなって。

ネム君が泣くから、お兄ちゃん高校生のクイズ大会一回も行けなかったんだよ?
夏休みだって、いつも仕事のお手伝いで半分潰れちゃうのに、残り半分は全部ネム君が泣くからネム君と一緒。ずっと自分の時間もなくて、お家のために働いてるか、ネム君のお世話ばっかりで、兄ちゃんちっとも好きな事に自分の時間使えてなかった…」

「そ、そんなことないっ!!!」
「そんなことあるよっ!」
間髪入れずに妹が強く反論したため、ネムはうっ、と黙りこくってしまう。

「ネム君、敦兄ちゃんはお母さんじゃないんだよ。
お父さんもお姉ちゃんもいつも忙しいし、敦兄ちゃんしか家の中にいなかったけど、それでももう小学三年生になったんだよ?そろそろ自分で何でも出来るようにならなきゃ」
「う、うるさい!アコみたく友達がたくさんいるやつに、僕みたいないじめられっこの気持ちはわかんないんだよ!
…よし分かった。
見てろよアコ、僕が目に物見せてやるから!
この事件の真相を知った時、絶対に泣きべそかくのはアコなんだからなっ!!」
半ば捨てゼリフ気味な負け惜しみを残し、眉を吊り上げてネムはその場から慌ただしく駆け去っていった。
その苛立った背中に、妹は細い目を一層弱々しく細めて「コナン君の見過ぎだよー…」と溜息混じりにポツリと嘆いた。

【今日の昼食は冷や麦】












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