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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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心の向こうと障子の向こう。
*

台所で駆けつけ三杯冷たい麦茶を飲み干し、再び氷水をたっぷりと満たした桶を抱え、頭を冷やそうとゆるゆる元居た奥座敷へと戻ろうとしていたその時。

「敦、丁度良かった」
廊下ですれ違いざまに晶に呼び止められ、敦ははたと我に帰る。

「…ほえ?晶先輩?」
「どうかした?ぼーっとして…もしかして、気疲れしてるのかな。ごめんね」
「ああ、いいえそんな!ところで、どうしました?」
「いや、庵がいきなりちょっと出てくるって言い出して。数日立ったらここへ戻ってくるからそれまで茜さんを頼むって」

アカネサンヲタノム。
何故か、自分の中でもう一度、反芻する言葉。
奇妙な胸の泡立ち。ささやかな苛立ち。

「えっ…あの、でも、何でいきなりそんな…」
「分かんないんだそれが。戻ったら言うの一点張りで。君のお父さんは良いって言ってたけど」
「それなら…」
自分は反論出来ない。
一家の主人が良いと言ったのなら、息子の自分が反対は出来ない。
…疑問と疑惑は大いに残るが。

「大輔さん、起きてる?具合どうなんだろう」
「うーん、だいぶん良さそうでしたけど」
「そっか。お父さん、僕が話相手じゃ張り合いなさそうでさ。
起きあがれるなら庵の代わりに来てくれないかなーと思って。代わりだなんて失礼かもしれないけど、多分僕より詳しいだろうしね。ちょっともう、ついてけなくって」
「庵先輩は?」
「お父さんと庵が随分ディープな話してて、とりつく島もないから下へ麦茶もらいに行ってる間に茜さんが部屋に来たみたいで、さっきから一緒に庭に出てケータイで別の誰かと話しこんでる。それで、様子見に行ったら玄関へ急いで自分の荷物持っていっておいてくれって。僕はパシリじゃないんだっていうのにね、もう」
むー、と頬を膨らませてはいるものの、その通りにしてやっている晶の世話焼きな性分を見て、敦はふと「晶先輩はシロだな」と思った。
何がシロかはさておき。

「ええと、その、あかn…」
「ほんと、僕何やってるんだか…って、何?敦?」
「あ、いえ、すみません。じゃあ、すぐ奥座敷に戻りましょう」

「ああ、いいとこに」
戻ろうと振り向きざま、今度は背後から大輔が寝癖をつけたまま現れたため、敦は思わず悲鳴を飲み込んだ。普段の三割り増し程度逆毛になっている大輔は、見なれない黒縁の分厚いレンズが嵌った眼鏡姿で敦の硬直した面持ちに「?」と眉をひそめる。
普段だったら、彼特有の眼力と迫力で蛇に睨まれたカエル状態にでもなるのだが、微妙に似合わないインテリ系丸眼鏡の厚みと野暮ったさが、彼のいかつさを幾分軽減しているようである。
…しかし、一見するとガリ勉の買い出しのような見栄えである。
更には寝癖+ジャージ姿のせいで三浪中の浪人生みたいだが、言ったらきっと睨まれるだけでは済まないので自重する。

「どした?」
「い、いえいえ何でも。で、大輔さんは…」
「いや…俺のウエストポーチ知らないか」
「ポーチ?ああ、ずっと腰に提げてた」
「そう、あのナイロンポーチ。あれがあのゴリラ女に吹っ飛ばされてから見当たらないんだ。あれの中、貴重品色々入れてたから無くすとまずいんだが…」

ええっ、と敦と晶は顔を見合わせる。

「財布とかですか?」
「いや、財布は尻ポケットに入れたままだったし、この通り、メガネもセーフだ。ケータイが一番やばいか。
後は…まあ、色々だ。しっかし、何で俺の持ち物ばっかりなくなるんだか…」
「まだ見つからないんですか?コンタクトケース…」
「見ての通り、だ」
「どーしたもんかな…まあ、とりあえず奥座敷に行きましょうか。晶さんも御用事があるそうなんで」
「あの中探し尽くしたはずつもりなんだが…分かった。俺よりお前達の方が目も利くだろうし、見つかったら教えてくれるか」
「いーですよぉ」

…と、何の気無しに座敷へ戻った三人が、からりと開いた障子の向こう。

そこに佇む人影に「…お前は!!!」と敦は思い切り眉を吊り上げた。

【「お前」の正体は次回に続く】












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