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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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九州男児の意外な特技。
*

その日の夕方。
夕食時に庵とネムの姿はなく、微妙な沈黙が支配する中粛々と卓上のおかずだけが消えていった。

庵の突然の外出について、茜は「迷惑がかかるかも知れないから」と敦たちには口をつぐんでいた。
もっとも、主人の繁は事情を理解しているようで、何も言わなかったため、三人も改めて聞き辛い格好となってしまった。

そしてもう一つ。

「兄ちゃん、これー」と、ネムの双子の妹であるアコが持ってきたチラシ裏。
そこには、敦は見慣れたクセのある文字で、力いっぱいこう書いてあった。

「家出します。追いかけてこないください。兄ちゃんのバーカバーカ」

…いつもネムが使っているリュックごと姿を消したため、本格的にどこかへ出て行ったのだろう。
文面を読んで、敦はあれこれと焦るよりも、頭をがっくりと垂れた。
気疲れを感じたのだ。

屋敷では不思議な沈黙が屋内中に滞っていた。

一つは、敦に一喝されたネムの動向のせいである。
もっとも、これには敦もだが、父親の繁もさして気に留めていない様子である。
近所は向う三軒両隣りとでも言うか、親戚縁者も多い土地のため、家に帰れなくてもどこか適当な家に押し掛けてふて寝でもしてるんだろうと思っている。
聞けば、こういう書き置きを置いて出ていくのもこれが初めてではなく、敦も「誘拐されるほど馬鹿でもないですから」と、不安げではあるもののおっとりと構えていた。
「世の中が物騒だか何だか知らないが、あいつもちったあ兄貴のありがたみを知った方がいいね」とは繁の談である。

それよりも、気掛かりなのは茜の持ち込んできた「見合い話」の方、である。
普段の快活さとは対照的な茜の陰鬱な横顔、庵の謎めいた動向、そして「嵐」。
不親切な連想問題のような状況下において、断片的にしか事実に触れられていないQ研+1名の大学生三人組は、夕食後再び奥座敷で額を寄せあっていた。

「茜さんは?」
「もう休まれてるみたいです」
「そっか…」

座敷内を沈黙が包む。
特に、敦がいつになく塞ぎ込んでいるのが晶も大輔も気にかかっていた。

「敦、弟さんが気になる?」
「…え?あ、いえ、そんなことはないです。あれもいつもの癇癪ですから」
「ホントか?なんか元気ないぞ。
…まあ、俺らも十分迷惑かけてるからあんま言えないけど」

「そっ、それは違います!僕、皆さんに来て頂けて本当に嬉しかったです」

「そう?なら良いんだけど。
…敦、無理強いはしないけど、言いたい事あったら僕らに気軽に言ってくれればいいからね。何だか、昼から様子がおかしいよ」

「へえ?!そ、そうでしょうか…い、いえそんな事ないですよ全然」
あははは、とぎこちなく笑う敦に、他の二人は首を傾げるばかりであった。

「兄ちゃーん」
微妙な空気が漂う奥座敷に、突如からりと障子を開けて、敦の妹アコが入ってくる。

「あれ?どうしたのアコ」
「栗お兄ちゃんのお使い。で、遅くなったけど夕方に行ってきたよ。これでいい?」
そういうと、大輔に小さな紙包みを手渡す。手の平サイズの小さな包みを開くと、中から愛らしいお手玉が三つ、薄手の白い和紙にくるまれていた。

「お使いって何です?大輔さん」
きょとんとしている敦と晶に、大輔は「ちょっとな」と床の間をチラリと横目で伺う。
「…うん、これで十分だろ。後で供えておくよ。ありがとな」
「んーん。お兄ちゃんたち全然わかんないから、イライラしてただろうし。きっと喜んでるよ」

「…何の話?アコちゃん」
首を傾げる敦に、アコは大輔と顔を見合わせ、にやりと微笑む。
「ないしょ!それじゃあね、栗アタマのお兄ちゃん」
「栗じゃねーって。まあいい、早く寝ろよ」
「うん、おやすみ~」

ぴしゃり、と障子が閉まった後、良く分かっていない二人を尻目に、大輔はそそくさとお手玉を床の間に安置されている和紙のおもちゃ箱に納め、正座し柏手を二度叩くと、深々と頭を下げた。

「…」
「…」

「ん?どした?…何だよその目は」

「何、やってるですか?大輔さん…」
「お前の家の守り神さんに、持ってきたぞっつって挨拶してたんだけど」


「…もしかして、座敷わらしさん、ですか?」


「まあな。もっとも、俺も鹿児島のじーやんみたくはっきりとは見えないけどさ。
…昨日から枕元で言うんだよ。
お手玉をさっきの女の子の友達が黙って持って帰ったらしくて、一個じゃ遊べないから買ってきてくれって。んで、ちょいと頼んだんだが…」

座敷に微妙な沈黙が走る。
…どことなく、気配が増えたような、ひんやりしてるような…。

敦と晶が珍妙な面持ちで顔を強ばらせていたためか、大輔はぽつりと「また今度説明してやるよ」とだけ言い、そのまま床に入ってしまい、その晩はお開きと相成った。

…もっとも、幽霊の苦手な晶のたっての希望も有り、奥座敷でその晩眠った敦は、生まれて初めて自宅に居ると言われていた座敷ワラシの足音を枕元に聞き、まんじりともせず夜明けを迎えたのであった…。

【7月21~22日深夜・晶戦慄・敦金縛り・大輔爆睡・ショート先輩は別室で熟睡】












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