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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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暗闇を進む影。
*

おとうさん、おかあさん、ぼくいっぱいべんきょうしてきたよ。
どりるといたし、
おひるねもできたし、
おやつなくてもいいこにしてられたよ。

おともだちといっしょに、ほんもよんだよ。
おともだちは、まだちいさいから、ぼくがよんであげるんだ。

こんどのおともだちは、いいこだからいなくならないんだよね。
そうだよね。

おとうさんは、ぼくがいいこにしてたら、たたかないもんね。
だから、このごろたたかないんだよね。




………
…よかった。

やっぱりそうなんだ。
よかった。

おかあさん、はやく、おきるといいね。
じゃあ、おべんきょうする。ぼくももっとべんきょうしたらおてつだいするよ。

それじゃ、おやすみ、おとうさん。…はい、きみも、バイバイするんだよ。
バイバイおとうさん。またくるね。

*

『前方にシャドウ反応多数。アルカナは恋愛と剛毅、いずれも三体ずつ。こちらの気配に気付いた模様。迎撃準備をお願いします』
「心得た。先手を取る」
『ラジャーっす』

周囲に目を凝らすクピドとギガスの群れの背後を取ると、俺達は畳みかけるようにペルソナを召喚した。
「くらえっ!」
駆け寄りながら頭上でスーリヤが手早く印を切ると、業火が奴らの足下を舐めて掬い取る。
連中が転んだ拍子に、後方から他の三人が休み無く連撃を放ち反撃すらも封じる。
「マハ・ガルダイン!」
黄金のドレスをまとった金色の女神が烈風波を浴びせると、滅さずに残った瀕死のギガスに薄っぺらい狼が咆吼を上げる。
「ジオダイン!」
狗神の電撃を避けて逃げようとしたクピドの前方に、頭上から飛び込んできた堂島が立ちふさがる。
ひるむシャドウの頭上にトンファーで痛烈な一撃を浴びせると、援護しようと矢をつがえた仲間クピドを眼光で射殺し、身動きを封じる。
「消えろ」
般若の面に全身漆黒のレザースーツと鋲打ちベルトに緊縛された姿の出で立ちをした天津神は、手にした日本刀をためらいもせず眼前に震った。
クラオカミの刹那五月雨撃が薄暗い通路一面を切り刻むと、後にはシャドウの痕跡すら残らなかった。

「…どっちが悪役だか分からんな、こりゃ」
皮肉混じりにぼやくと、堂島も「全くだ」と呟いて肩を鳴らした。

この地に住み憑いているシャドウは、正直言ってそう大したレベルの存在ではなかった。
警戒するほどのこともなく、群れを成しているもののみ気をつけて排除していけば難なく倒せる程度のもので、慎重に進んでいた割には腰砕けもいいところだった。

「おーい榎本ぉ、ナビ頼む」
きょとんとしたまま動かないゴーグル犬に声をかけると、奴は予想以上におっかなびっくりな反応をした。
『あ、はい。すみません…いや、なんていうか、僕が今回一番楽してる気がしますね。アナライズも不要な勢いだし』
「いいことだ。さっさと行くぞ」
『は、はい。すみません堂島さん…』

俺達は、既に別館への連絡通路のすぐそばまで来ていた。

「しっかし…いつ見てもワンコにそいつは氷結に弱いです、とか炎が効きません、とか言われるのも慣れんな」
『ええ~…在る意味ショックですよそれ~。先輩ひどいっす』
「なんなら語尾に『ワン』付けてみるとか。そいつは●●が弱いだワン、みたいな」
『却下、パス1っす。いじめっすよ!ひどいっす!…ごにょごにょ…それを言うなら、堂島さんのペルソナはもの凄くおっかな…』
「…なんか言ったか榎本」
『はっ!いや、何にもないです!ごめんなさいごめんなさい…』

「(それは禁句よ榎本君…)」
「(どうみてもSM趣味っぽいよな…堂島さん、やっぱりドSかな?)」

後から榎本に聞いた話ではあるが、皆口にこそ出さなかったが、どうやら俺以外のメンツに堂島のペルソナは予想以上にウケが悪かった…もとい、いかつく見えていたようだ。
ちなみに、俺は単なるパンク趣味だとしか思わなかった。あいつデスメタル中毒だったし、気にならなかったんだが。
それを言うなら金森のフレイアなんぞ、いつのジュリアナ東京だよと突っ込みたくなるようなボディコンなんだがと言うと、榎本に「古いですね」と答えられ、ワン公の頭を張り倒したのも今となっては良い思い出の一つだ。

仕事中は、余裕があるならいつも万事こんな調子で、茶化しながら笑っている横で、平気な顔してシャドウを踏みつぶしていた。
端から見れば、俺達の姿はきっと冷酷な超能力者に映っただろう。だが、そんな薄っぺらい正義感よりも、現実と折り合いを付け向かい合うための冗談の方が、俺達にとっては何より大切だった。

過去は真っ暗、未来も真っ暗。
何も見えてこない暗澹とした現実から目を背け、ただただ俺達は与えられた目的のためにだけ動けばよかった。

別館に通じる連絡通路の鍵を、金森のキーピックで解錠すると、俺達は出来る限り速やかに最深部へと向かう手はずになっていた。
時刻は既に、12時まで10分の余裕を切っていた。

さび付いたアルミ製の分厚い扉を開くと、内側からむっ、と鼻を付くカビ臭さが流れ込んでくる。久しく人が動いていない証拠だ。
通路にたちこめる古くさい空気は予想に反しさらさらに乾いており、全面コンクリートの連絡通路内は打ちっ放しのコンクリートがざらざらの表面をむき出しにしていた。

「さて、と。本陣に行きますか」
そう呟くと、シーサーが動くのを待つ。先導役が最短ルートを割り出さない事には話が始まらないからだ。



…シーサーは、沈黙したまま俺の背後で身を固くして動かない。

「おい榎本?どうした」
『………』
「榎本!」
『………っは、…はい』
声がうわずっている。最初の頃はこんな役に立たないナビもちょくちょくあったが、それにも増して様子がおかしい。

「何してる?時間がねえんだ、早く先導してくれよ」
『………』
「榎本!しっかりしろ!一体どうした!」
『……でき、ま、せん…』
「はあ?」
「どうしたの、榎本君」
「そうですよ、榎本さん。何かトラブルですか?見えないとか?」
俺だけでなく、金森や狗神まで心配そうにシーサーを見下ろす。すると、シーサーは頭を必死に振りながら全身を震わせてその場に伏せてしまった。

『せ、先輩たちは…何も…感じない、ですか…?』
「何が?なんかあったか?」
『ぼ、ぼく…今までシャドウを、色々見てきたけど、こんなにおっかない気配は…ない。引き返しましょう。…手に負えない!無理です!』
きびすを返そうとしたシーサーの尾を掴みそこねると、ゴーグル犬は必死に逃げ出し通路脇の隅っこで動かなくなってしまった。
「馬鹿言えよ!お前が先導しないと、こっから先は全然敵の傾向はおろかマップも把握出来ないんだぞ!?仕事に戻れ!」
『む、無茶言わないでください!僕は分かるから警告してるんです!これは…13番目のアルカナ…しかも、半端じゃない濃度のシャドウです!!おそらく、今まで戦ってきたシャドウとは比べ物にならない存在です!こっこっ…殺されますよ!しかも13番目って言ったら…』

「…死神、だな」
通路の奥を睨んだまま、堂島が答える。

「確か、シャドウの存在は12番目のアルカナまでしか研究されていなかったはず…だとしたら、日向が研究していたのは」
「存在するはずのない、『死神』のアルカナを持つシャドウ…人工的に精製されたシャドウ…『宣告者』…」
「堂島、何か分かるか?」
「榎本ほどじゃない。だが、感じる。…あいつの言う通り、多分気を抜いたら死ぬぞ。…ペルソナを持つようになってから、こんなに強烈な寒気を感じたのは初めてだ…。影時間が近づくにつれ存在も濃くなってきている。俺は陰性だからな…同類は感じやすいんだ。お前ら何ともないのか?だとしても、気がついた時には後戻りできんだろうが」

堂島は、そう言うと足下を見る。
開いた扉の先に、あと一歩で踏み入れられる距離。

「行くか?」

堂島は、俺に問うた。
俺は迷わなかった。

「行く。面白くなりそうじゃないか」

うそぶいて笑った俺を、珍しく堂島は冷めた目で見つめ返すと小さくため息をもらした。

「了解。ならば俺が先導役を代わろう。榎本は分かりすぎて役に立たんだろう。榎本、出来るなら、付いてくるだけ付いてこい。駄目なら帰れ」
シーサーは小さく頭を屈めると、躊躇した後、のそのそと俺達の背後に付いてきた。

連絡通路を渡りきると、手元の時計はすでに影時間を差していた。












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