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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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「さて、聞きたい事があるんだけど庵君」
「小難しい話をする前にだな晶君」
「はいはいなーに?」

「…グリコーゲンが尽きますた」

「はいはい…(どんだけ燃費が悪いんだか…)」

*
「まんぷくですた。ごちでーす」
「はいよろしいおあがりで」

一時間後。
理由不明なまま(庵の来訪が知れていたため?)人の山で混雑しきっていたゲーセンの混乱を解消するため、一旦お開きとなり近場のファミレスでまったりする庵ご一行様の姿が。

「でもってまたファミレスかよ」
「そういえば、前にもこんなシチュエーションが春先にありましたねショート先輩」
「あんときも結構食ってたけど、今日は割と小食なんだな安佐」
目の前に並んだ皿の数を勘定しいしい、遠慮しなくていいんだぞと言う茜に庵は「幸せです(*´ω`)」とにっこり歯を見せる。
「それは、来る前にハンバーガーのセットメニュー食べてたからじゃない?」
私も話に聞いてたからどれだけ凄いのかと思ってたんだけど、と麻美はくすくすと笑みをこぼす。

「…ねえ大輔君、そんなに庵君って食べるの?割と小柄な方なのに」
「食う。
ウチの麺屋の伝説メニュー・超特盛豚骨ラーメン煮豚チャーシュー大盛り・ギョーザ・半チャーハン付きを完食したからな。
三十分とかからず余裕で。ぶっちゃけ引いた」
多分お前のバイト先にあるテラ牛丼でも倒せないな、と言われて陰善はうわーっ…と言ったまま口を半開きで固まっている。
その陰善の隣には、さっきから反省しきりで小さくなっている阿南兄弟が慎ましく昼のセットメニューを突いている。

大輔は、ポーチが戻ってきたのに何故か浮かない顔である。
野暮ったい眼鏡のまま、ケータイを弄っている。

現在の会食メンバーは庵・晶・大輔・敦・ネム・茜・麻美そして陰善の八名。
各人の父兄は現在、別所に用意された料亭で早速契約について商談中である。
折角直に顔を合わせる機会なので(朝比奈社長がゆっくりしたいという意向もあり)社長たちとは別行動となり、夕方にお迎えがてら合流する段取りになっている。

「さて、メシ食ったし脳みそも回るよな。教えてくれるか?新巻に送りつけたデータの中身」
ヤキモキしている茜に、庵は氷水をカラにしながら「ああ、あれね」と呟く。

「…その前に、この場にいるみんな、誰にも言わないって約束な」
「どうして?」
「それはだな晶。新巻は一応茜さんの親戚縁者だからさ。
下手をすると茜さんの家にも迷惑かかるかも知れないから。朝比奈社長から折角いい話が来て会社もこれからって時に、水差すような事態は避けたいんだ」
「なるほどね」
「…そんなに、やばい情報なのか?安佐」
眉をひそめる茜に、「残念ながら」と庵も真剣な面持ちで声音を落とす。

「事故米」

庵の言葉に、晶は「事故米?何それ」と眉をひそめる。
庵以外のメンバーも、ほぼ同様の反応を示したため「やっぱ知らないか」と溜息をこぼし、庵はんー、と鼻を鳴らす。

「えっと…どうしよかな。晶が知らないと、俺が全部説明しなくちゃいけないんだよな…ええと、ガット・ウルグアイラウンドでさー

「庵君、グローバル過ぎ。もっとマクロに、もっと手短に」

「えっえっえっと、つまりだな!
…政府が時々海外のお米輸入してるんだけど、その中でカビたり、農薬が基準値以上で食えないお米が出来ちゃうんだな。

それが事故米。

今年の初めに輸入ギョーザから農薬が出て中毒になった事件があっただろ。あんな感じで、食べたらやばいお米を、政府が買い取って、工業用としてだけ使用する場合に限って業者に払い下げしてるんよ。レートは普通の食用米の10分の1程度。超安いんだ」

「………ちょっと待て、まさか、そういう事か?!」
最初に大声を張り上げたのは茜である。

「おお、茜さん流石。連想上手」
お答えどうぞ、と庵の手が茜を指差す。
「いや、ちょっと、待てって。そんな事してたらホントにボク、張り倒すどころじゃ済ませないぞ!」
「お気の毒ですが、真っ黒でした。
…いやマジでね、俺茜さんちの使用銘柄まで一応俺全部調べたよ。
心配だったから。
茜さんちは白。真っ白だったから心配ないよ。俺が保障する。
契約農家さんも、全員クリーンだったからさ」
「そーいう問題じゃねえっつうの!!消費者舐めすぎだっ!!殺す!権太のオヤジぶっ殺す!!」

「ちょっと、どういう事なんですか茜さんっ!?」
今にも店を飛び出して新巻酒造へ殴り込みに戻りかねない茜の鬼の形相に、たじたじする敦へ庵が「敦君質問です」と涼しい顔で問いかける。

「はい何でしょう先輩」
「お酒って、何で作る?」
「お米です…って、え、でもそんなまさか」
「日本酒を造る際に、お米はどういう処理をかける?」
「ええ?精米しますよ。お米は、削れば削るたびに美味しいものが作れ…あっ」
細い目を丸くする敦に、庵は声のトーンを落とし、周囲を窺って卓の中央で囁くように答える。

「うんそう。新巻さんさ、事故米使ってたんだ。

悪いところは削っても、残留農薬は消えないっつうのに。
しかも数年前から、社長主導で。新巻の子会社に米粉加工業者があって、そこへ指示出しして買い付けから精製までさせてた。

しかも、自社だけじゃないぞ。
それを国産ブランド米と偽って安価で米粉を使う業種の会社や店舗に業務用として販売してた。元々の単価が安い上に、酒造にも使用して粗利でボロもうけ。
その工程は全部社内で一括管理してたから、ばれない自信があったんだろうけど、俺に見つかったのが運の尽き。やろうと思えば、ボタン一発で警察とマスコミ各社へ、さっき渡した封筒内の情報リーク出来るように、もう段取りはつけてる」

「信じられない…」と敦は半ばあっけに取られてぼそりと呟く。

「だって、僕らだって消費者ですよ?!なのに、そんな他人様の口に入るものを、そんな危険な素材で賄ってたなんて…!」
肩を震わせる敦に、「それがまっとうな思考だと俺も思うさ」と庵は真剣な面持ちで答える。

「ただし、さっきも言った通り、これが知れたら絶対に風評被害が発生するだろうな。
酒造だけでなくて様々な業種で騙された会社もまた被害を被る事になる。
そうなったら、たとえ被害者でも『質を見抜けなかった二流』と最悪の場合烙印を押されかねない。
そうならないよう、ちょっと新巻さんにキチンと落とし前付けてもらうために、建前として三ヶ月の猶予を与えた。
本当はいつでも突き出せるけどまあ、相手もそこまでバカじゃないみたいで今朝から製粉工場を含め全社営業を止めてるみたいだし、今のとこはこれで一段落かな。後は、荒巻本社が流通先へのフォローと事後処理に乗り出してくれれば一ヶ月足らずで充分だろう。

それが済んだ頃合いを見計らって警察に教えてあげればいいよ。
身銭切らせてからでないと、また繰り返すだろうし。だから、逆にその間、茜さんのお父さんにはしっかり新巻と縁切りをアピールしてもらっておいて」

「…なるほど、それで腑に落ちた。父さんの尋常じゃない怒り方が気にかかってたから。お前、そこまで良く一日で出来たな」
ちょっとどころじゃなく見直したぜ、と照れ笑いを浮かべる茜に、「自分の事だけじゃなかったからさ」と庵は珍しくクールに答える。

「ご飯が安心して食べられないと、俺も日々の喜びが失われる訳で。新巻は一人で沈没させればいい。もし俺が何もしなくても、いずれ天罰が下るさ」
「…安佐、有り難う。ボク何て御礼言ったらいいか…」
「いいのいいの。なんつっても今回の最大の功労者は、敦君ですから」
唐突に話を振られて、一人沈んでいた敦は「へ?」と口をポカンとして周囲を見回す。

「僕ですか?…僕、結局あんまりお役に立てなかった気がするんですが…」
庵先輩が一番働いておられたみたいだし、さっきもキレてあんな事なっちゃうし、としゅんとなる敦に「何言ってるんだよ」と茜の明るい激が飛ぶ。

「たまたまとはいえ、お前がボクをかくまってくれてなかったら、今頃ボクは権太と祝言させられて共倒れになってたとこだぜ!しかも、新巻に対してまっこうからタンカ切ってかばってくれて…お前、見かけによらず結構しっかりしてるんだな。見直したぜ!」
「えっ…そう、ですか…てへへ」
褒められてあからさまにでれっとなる敦に、晶と大輔は顔を見合わせてにやっと微笑む。

「押しかけておいてなんだけど、無下にせず受け入れてもらえるのって、嬉しいもんだよ。敦のお父さんにも、感謝だね」
「お前、オヤジさん見習って、もうちょっとしっかりしろよ。…まあ、すぐキレる俺が言っても説得力ないけどさ」
「はっ、はい!僕、もう少し普段でも自己主張出来るよう、頑張ります!」

「(既にキャラ立ちは)」「(ばっちりなんだがな)」
そう思ってはいても、何だかいつもより嬉しそうな小動物系細目青年を前にして、何となく言えない一同であった。

「ところで、もう一つ疑問があるのですが」
「何?敦」
「陰善さんと、大輔さんが知り合いだったって事です」
八百長でなくて、真剣勝負だったことは二人から聞いて納得済みの敦ではあるが、別に腑に落ちない点があるようだ。

「どこでお知り合いになられたんですか?東京と新潟だったら、正直ゲームセンターだけでは顔を合わせる事もないと思うのですが…」

「ああ、それか」
「それは…」

言いかけて、陰善はちらりと壁掛け時計を確認する。時間は一時十五分前。

「ちょっと、時間が足りないかも知れないね。移動しながらでもいいです?」

みんなお待ちかねだ、と呟く大輔に「それは君もね」と、心中で陰善は囁いた。

【そろそろまた移動・続く】












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