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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

*

シガユニバース新潟・(即席)アンサーアンサートーナメント結果

1位:アンアン(庵)十段
2位:ダイちゃん(大輔)プロアンサー 87万パワー
3位:アカネ(茜)八段

晶は三回戦、敦は二回戦敗退、陰善と麻美は準決勝敗退。

優勝者の庵には、景品としてビッグうま●棒&ポテチセットが贈呈されましたとさ。

「これで旅のおやつも完璧(*´ω`)」
「まだ帰らないの?!」
庵君はまだまだやる気満々のようです。

*

午後五時過ぎ、阿南酒造前。
本宅裏手に軒を構える酒店の駐車場。

新潟到着時に乗せてもらった白ワゴンの隣には、何故か長距離トラックが三台。
中にはビールの詰まった段ボールを満載し、車体側面には「関西方面行」の太文字が。

店の前には社長衆三人=茜父・敦父・そして麻美母の朝比奈社長。
既に商談の一切まとまり、彼らも帰途につくのであるが、その前に若者たちを送り出すつもりのようである。

「んじゃ、お世話になりました」
「おお、元気でな」
敦父の繁にしっかり御礼の挨拶をのべ、旅支度を調えた三人の男+ライダースジャケットの女とノースリーブワンピースの淑女。

「おじさん、本当にお世話になりました。後日、改めてまたお伺いしますので」
「誠に、誠にウチの杏子が世話になりました」
背筋を正して一礼する茜とやじろべえの如く頭をペコペコ下げまくる茜父に繁も冷や汗混じりに「当然のことですから」と恐縮する。

「私も随分庵君にお世話になっちゃったわね」
満足げに微笑む母親の傍らで、麻美も手荷物片手に帰り支度を済ませている。

「麻美、あなたも一緒に北海道来ればいいのに。姉さんたちも今なら帰省中だわよ」
「ううん、お盆は典子姉さんと神戸で過ごすのがいつもの夏だから。母さんの方こそ、来てくれたら父さん草場の影で喜ぶのに」
「…ふう、仕方ないねぇ。無理言って日帰りでもねじ込んでおくよ。お前の気になる相手も顔見ておきたいし」
「ちょっと、今ここでそれを言うのお!?…っとっと、こほん、何でもないからね」
「麻美さん顔赤いよ」
「これは日焼けよ庵くん、そうよね?そうと言いなさい」
「おおう、怖い」
珍しく一瞬取り乱した麻美であったが、ほんのり頬を染めたまま咳払い一つでささっと居住まいを正す。

「で、御礼の代わりと言ってはなんだけど、これから西に向かうんでしょう?母さんにその旨伝えたら本社直送のトラック便に乗せてもらえるって。今そこで待機してもらってるから。一人一台、助手席に便乗してってね」
「ありがとーです社長」
「いいえ、このくらいは融通が利くからねえ。四国行きの便は昨日出ちまってたけど、まあ途中まで乗っていったらいいさ」

「ん?四国?」
「お前、四国に向かってるのか?」

特に目的もなくぶらり旅かと思っていた晶と大輔に対し、途端、庵の顔面が不自然に微笑んだまま凍り付いた。

「…なーるほどねー。読めた。僕読めました」
「俺も分かったかも知れないぞ晶。まあ連想超人のお前にアンサーは任せるけど」

何となく身を強張らせている庵の耳元に、晶そっと近寄り小声でぼそりと呪文を唱える。

「のどかさん」
「ぶっ」

「よしせいかーい。…って、なら何でさっさと四国に行かないのかなあこの子は!」
どう考えても逆方向の進路に、晶が怒鳴ると庵はもじもじと宙にのの字を描いて言い淀む。

「あれじゃない?『私…来てもいいって言ったけど、そんなに鼻息荒くして来られて、後でお友達に噂とかされると恥ずかしいし…』って言われるのが嫌だったとか」
「何で藤崎●織を知ってるんですか麻美さん?」
「基本じゃないの大輔君。それに見てごらんなさいよ、あの天才青年の赤面。
図星どころか梅干しレベルの真っ赤さじゃない」
「とっても酷いっす麻美さん、俺をいじめて楽しいんですか?!…俺だって、ちっとどころじゃなく色々考えるんですよ!」
男の純情ってのは結構傷つきやすいんですよっ、と声高に主張する庵に、麻美クールアイズでしれっと更に一言。

「その割には食欲がっつりだった気がするんだけど?寿司とか寿司とかウニとか」

「ほほー!ウニとな」
「ウニねえ」
「とびきり生きの良い天然物のウニ他、新鮮魚介類のお寿司にジンギスカンも食べてたわ。夜はがっつりゲーセン三昧」
途端、男二人の目の色が変わる。

「よし庵君、僕らが色々と四苦八苦してたときの君の食生活を問いただそうか」
「一人だけ北海道の幸堪能とはけしからんな。当然、敦やここのおやっさん含め手土産の一つもあって然りなのだろう?」

「当然でごぜえますお代官様」
庵、慌てて鞄の底から包装された菓子箱を取り出す。

つ【白い恋人】(12枚入り)1箱

「…これを全員で一枚ずつとかかな庵君」
「その通りでごぜえますお代官様。予算の都合で」
「ウソつけゲーセン行ってるくせに!てめえそこに直れ、ロイズの生チョコパシってこいや!」
「大輔さんひでえ!こんなクソ暑い中に生チョコとか極悪だっ!しかももっかい鉄の塊に乗れっての?!ひとでなし!訴えてやる!」

「騒々しいですね…まあ、元気で何よりですが」
「でも、これもあと少しなのかと思うと何か変な気分です」
見送りについてきた陰善に、敦は感慨深げに呟く。

「お前はついていかないのか?敦」
「茜さん…」
言われて、敦は俯き言い淀む。

「家の仕事がありますから」
「それなら、ネムの奴がやるって言ってたぞ」
今までそしらぬふりをしていた父が、つるりと口を開く。

「何だか知らんが、やる気みたいだ。
…もし行くなら今のウチだぞ。絶対、後で気が変わるだろうからな」
父の口元に、うっすらにやり、と笑みが浮かぶ。
「そんな事ないもん」
物影から小さい影が覗いたが、すぐに店の奥へと引っ込む。
家に帰ってから、ネムはずっと家の中に入ったきりであった。

「敦、四国行ったことないって言ってたよな」
大輔と頬のつねりあいをしていた庵が、ふいに腕を外して敦の方を見やる。

「瀬戸内海、見たことないのか」
「いえ、その…広島の宮島へ小さい頃に子供会の行事で行ったことがあります。だけど」
「だけど?」
「瀬戸大橋、見たことなくて」

ふーん、と庵は鼻を鳴らし「それなら」と言葉を続ける。

「なら、一緒に来る?」
「えっ」
「小遣いは自分でどうにか出来るならな。まあ、決めるのはお前だけど」
「えっ、でも僕は…」
答えを決めかねて言いあぐねる敦の背中を、茜が軽く小突く。

「茜さん何するんで…」
「何迷ってるんだよ。行けばいいじゃん」
「ええっ?」
「顔どころか、全身至る所に書いてあるぞ。いいなー旅羨ましいなーって」
「で、でも…」
「思う時に進んだ方がいいって。言いたい時に本心言えないのは苦痛だぜ?今回の事で骨身に染みたボクが言うんだから間違いないだろ?
旅なんて思いつきでいいんだ。ボクなんか、バイクに乗りたくなったらいつでも旅に出てるしな」
「…それで、いいんですか」
「いいんだよ。いやむしろ、それがいいんだって」

一瞬の逡巡の後、敦は「いいですか?」と庵に向き直りおそるおそる問いかける。

「いいって何が」
「いえその…ついて、いっても」

「嫌な奴は誘わないと思うがな」
「僕もそう思うかな。でしょ?庵」
「そらそうよ( ´ω`)」
敦の顔に、これ以上ない笑顔がこぼれたのを見て、その場にいた全員がやさしい微笑を浮かべていた。

「ほんなら決まりだね。名残惜しいがそろそろ日も傾いてきたし、敦も含めて出発しようぜ」
「だな」
「移動はどうする?」
「どっかに2ケツすればいいんじゃね?」
「あっあの、僕じゃあ荷物急いでまとめてきま…」
庵達が出て行かぬ間にとおろおろする敦の背後に、ぬうっ、と大きなスポーツバッグを抱えたネムが再び姿を現す。
ネム、と驚いて名前を呼ぶ兄の目の前にぞんざいにバッグを置き捨てると、そのまままた奥へと駆け去っていく。

「ネム…」
敦は見てしまったのである。
ほんのり、ネムの目が真っ赤に染まっていたのを。

「中身は姉ちゃんが整えてくれてっから安心だろ」
「お父さん…」
「行ってこい。これも立派な社会見学だ。…そう言っておけば、お前も真面目に遊ぶんだろう?」
「…有り難うございます、お父さん」
敦は、深々と父へ頭を下げた。

*

「それじゃあ、先に名古屋で待ってるわね」
「あいよ」

トラックに乗り際、電車で先に目的地=トラックの出荷先である名古屋=へ向かう麻美に手を振られ、庵が一台目のトラック助手席へと乗り込もうとした矢先、「おおそうだ」と敦父がそっと袢纏のポケットから小さなDVDケースを取り出し庵に手渡す。
その表面をマジマジと見つめ、庵の緩んでいた顔元がスッ、と引き締まる。

「これ、見つかったんだ」
「ああ、ちょっと骨が折れたがな…画質は最大限良くしておいた。大事にしなさいな」
庵は手渡されたケースへ感慨深げに視線を落とし、ぎゅっと大事そうに胸におしつける。

「おじさん…ありがとね。ホントにありがとね!」
「いいやなんの。こういうのなら、いつでも俺に言いに来なさい。力になってあげような」
「うん、マジで嬉しい俺、ありがと!」

「(庵先輩、どうしたのかな…?)」
車の物影から偶然庵と父のやり取りをみかけた敦は、よく意味の分からぬやり取りに首を傾げる。

「敦、良かったな」
背後からにっこり微笑む茜に声をかけられ、敦は思わず背筋を正して俯く。
「ボクもこれから愛車で帰宅だ。父は電車だから、方向合ってたら後部座席に乗せてやれたのにな」
「えっ、ええええっ!」
後部座席の甘い響きに、耳まで真っ赤に染める敦に茜は「バーカ、意識しすぎだって」と一笑に付す。

「でも、お前なら別にいいかもな。腹に手回されても、やな感じしなさそうだ」
「きょ、恐縮です…」
「旅から帰宅したら教えろよ。その日に合わせて父と訪問しに行くから」
「え?」
「ついでに、休みが残ってたら近場へ走りに連れてってやるよ。…夫婦芝居の礼代わりって言っちゃあなんだけど、スカッとして、いいもんだぜ。ダメかな?」
「………いいえ、喜んで!」

「それじゃあね、大輔君、晶君」
「それじゃな、陰善」
「お世話になりました」
男同士、固く手を握りあう。

「九州で、彼に会ったらよろしくね」
「ああ。…ちゃんと、伝えておく」
言いながら、互いに交わす視線の奥で、大輔と陰善は互いに言葉に出来ない感慨と三文芝居に苦笑していた。
それすらも、今は心地よく、何となく面白くもあったりして。

「いいですね、大輔さん。僕も庵を四国まで送ったら、九州まで付いていこうかな」
「そうするか?大歓迎してやるよ」
「仲良いね二人。旅の無事を祈ってるから、元気でね」
もうカード無くしちゃダメだよ~、と笑う陰善に、大輔は無言で微笑み返した。

三者が四者になり、四者四様に、同じ場所へ。

【→次回チェックポイント 名古屋】












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