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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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思わぬ邂逅。
*

「みんな、お待たせ!」
今日は清楚な白のサテンシャツにスカート姿の麻美が、シャンパンゴールドの新品セダン助手席から颯爽と舞い降りる。
どうみても一つ○が多そうな高級車に、一同「おおっ」と息を呑む。
流石、大手ビール企業のお嬢様。

「ちょっとむさくなってるかと思ったけど、何だか爽やかじゃない!しかもほんのりセッケンの香りがするし」
ビール搬送のトラックに便乗してきた庵たちよりも、一足先に電車で名古屋入りしていた麻美は、ヒゲそりもバッチリな四人の姿に満足げである。
「トラックの運ちゃん、みんないい人ばっかでさ。さっきも行きつけの格安温泉施設に連れてって貰って、そこで仮眠後朝風呂いただいた訳さ」
「なるほどねー。名古屋はモーニングが充実してるから、朝食もバッチリかな?今日のお昼はパトロンがいるから、豪勢なお食事にありつけるわよ」
「パトロン?」
「そう、今日の運転手さん兼、どこかで見た顔のナイスガイよ」
意味ありげに微笑む彼女の背後から、慌ただしく金ぴかセダンのドアをバタム、と閉めて「すまんすまん」と大柄な影が小走りに近付いてくる。
その男の顔形に、一同「あ」と頭上で豆電球が閃く。

「いよう!」
腹にずしん、と来る体育会系な挨拶と爽やかな笑顔に、一同反射的に「はっ、はい!」「おはようございますっ!」と大声でお返事。
四角い顔に、二の腕からも分かる筋張った筋肉質の体躯。クールビズ仕様の七分袖シャツにスラックスのサラリーマンスタイル然な男。
整えられた角刈りは落ち着きのあるダークブラウンに染めてあり、僅かに蓄えてあるあごひげと相まって大人の男の魅力をいかんなく醸し出す。
磨き込まれた黒い革靴を踏みしめて現れた笑顔の似合うヒゲ男の面差しに、庵達大学生四人は全員ともが同じ人物の顔を脳内でだぶらせていた。

真夏の太陽とは真逆の、カビくさい実験室にこもりきりな無精ヒゲの白衣が目に浮かぶ…。

「…ヒゲ先輩?じゃ、ないですよ、ね?」
「ヒゲ先輩?…ああ、ナツの事か!」
庵の疑問符に、クールビズの男は豪快にガッハッハと笑いながら掌を振って違う違うと答える。

「ほぼそっくりだから間違えても仕方ないわよね。…この人は、安藤典生(あんどう のりお)さん。私のすぐ上の典子姉さんのダンナ様、兼、私の義理のお兄さん。そして、夏彦さんの実のお兄さんよ」
「ええっと…もしかして、安藤先輩の言われてた、社会人のお兄さんでしょうか?確か神戸におられるとか聞きましたけど」
「敦君正解!今日は名古屋出張のついでに神戸までレンタカーに乗って帰るそうだから、みんなを乗せてってくれるって」
「マジっすか!これ絶対高級車だし!」
「いいんですか?有り難うございます!!」
思わぬ朗報に、「いやなんのなんの」と、ヒゲ先輩の実兄=典生は爽やかに歯を見せて笑う。

「仕事のついでだからな、便があって良かったぜ。
…という訳で、夏彦の兄、典生だ。よろしくな!お前さんたちの話は弟から聞いてるぜ。クイズ研究会やってるんだって?」
「そうっすよ!大輔さんは瀬賀大だけど、他の俺等は同じ大学でクイズサークルやってます。でもってヒゲ先輩がリーダー」
「らっしいなあ。あれがリーダーとか、ガラじゃねえと俺は思うがね」
「んなことないっすよ~」
謙遜すんなって、とまたも豪快に口を開けて笑う典生の視線が、三人の脇に動く。
「俺は元、だからなあ」と侘びしげに呟く大輔の顔を、典生、何故かまじまじとつぶさに見つめる。

「どうしたんですか」
「あ、いや何でもない。後でいいか…」
一人ぶつぶつと呟いて、「ところで」と話を切り替える。

「クイズ研究ってくらいだから、ただの大学生とは違うよな?」
「と、言われますと?」
首をかしげる一同に、典生は懐のカードケースから一枚プラスチックカードを引き出す。

「あっ」
それは、普段から見慣れた「アンサーアンサー」のICカード。慣れた手つきで典生はそれをくるくると指先で回す。

「どうだい?ひと勝負していかねえか?…俺が出張毎に行きつけにしてる穴場なゲーセンが、この近所にあるんだなこれが」
「ええっ、本当ですか!」「お兄さんもプレーしてたんですか!?」
問われて、典生は照れくさそうに苦笑いを浮かべて頭を掻く。
「実は、ナツ…弟がやり始める前から既に内緒でやってたんだよこれ!あんまり小遣い突っ込んでると思われると恥ずかしくてさ、言えなかったんだが…聞けばあいつも随分やりこんでるみたいだし、お前達もレベルが高いと自慢げに話をしててだな、これは是非店内対戦せねばと思っていた次第なのさ」
「それはもう!」
「是非!」
男達は、一瞬で分かり合った。
互いに互いを見つめ合い、目と目で意志を確認しあい確信と共に互いに頷きあう。

「よし!」と威勢の良い掛け声と共に、カードを懐に仕舞うと典生はパン、と柏手を打った。

「決まりだな!全員で俺を『カモ』に出来たら、ランチは高級ひつまぶしの店に連れてってやるぞ!勿論、俺のおごりでな!」
「マジですかー!」「よーっし、俺超頑張る!久々に本気出すっ!」「わーい、また先輩の本気が見られますぅ!」
「い、いいんですか?」
一人周囲の熱気に困惑する晶に、典生、即座に「いいんだよ!」と不敵にニヤリ、と口の端を曲げる。

「そう簡単には勝たせてやる気はねえしな!さ、行くぞ行くぞ!その代わり、お前等全員カモったらガソリン代出させるからなー!覚悟しとけよおー?」
んなははは、と余韻たっぷりの笑顔を残し、颯爽とセダンへと足を速める典生の背中にぞろぞろと庵たちが付いていく中、そんな友人達を眺めながら、きょとんとしている晶の耳元に、麻美がそっと近付く。

「晶君も結構自信家ね」
「そ、そんな事は」
「だって、勝つ自信があるから、典生おじさんの懐具合を気にしてるんでしょ?」
「うぐっ…」
それは、確かにその通りである。
しかも、幼馴染みは世間様にも知れ渡った正真正銘の天才、だ。
伊達にクイズ研究を謳っているつもりもないので、一般の趣味程度で遊んでいる人よりは強い自負がある。
だからこそ、手加減がいるのかなー、なんて思ったりもしていたのだが。

「多分、ゲーセンについたらちょっと後悔するかも」
「えっ、それどういう事です麻美さん」
「ついてからのお楽しみ。さ、私達も行きましょ!」
私も遊びたいし、という麻美の含んだ笑みに、若干の不安を感じる晶であった。

【現在地:名古屋城前駐車場・ヒゲ兄とヒゲ先輩とは五歳違い・そろそろゲーセンも開店時間】












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