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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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鏡写しの煉獄。
*

おじちゃん、どうしたの。
…え?ごはんどうしてたのって?

だいじょうぶだよ。ぼくはいいこだから。
…ちがうの?でもほんとうにおなかすかないよぼく。

だっていいこだから。

…ひとりぼっちじゃないよ。
おともだちがずっといてくれたから。
いっしょにほんをよんだり、べんきょうしたよ。
だからぼく、いいこにしてなかないでいられたんだ。

もうすぐね、おとうさんがおかあさんをつくるんだよ。
ぼくね、そのおてつだいをするんだ。

…ちゃんとおてつだいがんばるよ。ぼく、いいこだから。

…ねえ、どうしたのおじちゃん?おじちゃん、おじちゃん…?

*

日向は、己の能力を賭して、シャドウ研究を極め、とある「欲望」を満たそうとしていた。
その内容については後述する。

そのため、未知の魔力であるペルソナも同時に研究し、手がかりを得ようとしていたようだ。
何より、何でも言うことを聞く被験体がすぐ調達できた事もあって、日向は己の予想を信じ研究に没頭した。

だが、目に見えた成果は現れない。
それよりも明確になったのは「ペルソナの能力では、死者の蘇生は限りなく不可能に近い」という絶望的な結論だった。
蘇生させたい者の肉体も無く、しかも死後何日も過ぎ去った死体には、蘇生魔法も効果を為さないことが分かったからだ。
それならばと、シャドウの「時に干渉する能力」に関する研究も途中で行き詰まり、日向の思考は袋小路へ追いつめられていた。

何故だ。何故上手くいかない。何故自分の願いは叶わない…。
パトロンの老経営者からも「不老不死」の方法を毎日のように催促され、日向は焦っていた事だろう。

そんな中、フタバのペルソナ能力に劇的な変化が起こる。
小さな恋人からもらったペルソナで、何倍にもパワーアップし、怒濤の急成長を見せる息子。
奴の目に、誇らしげに笑う息子はどんな風に見えていただろうか…。

日向は、フタバが新たな能力を得た経緯を知り、ふと閃いた。
何と自分は頭が良いのだろう。
これなら自分の願いも叶うし、あのくそ忌々しい「息子」にも分相応の重罰を下せる。
日向は、己の頭にだけ浮かんだ、全く確証のない、端から見れば論理の破綻した、まさしく幼稚園児のような発案を、実行に移した。

「おとうさん、今日はどうしたらいいの?」
無邪気にそう問いかける息子を、日向は有無を言わさずさるぐつわを嵌め、拘束具で手足を縛り、泣き叫ぶフタバを小さな椅子に縛り付け別館最奥のラボへと閉じこめた。その後毎日ペルソナの制御剤を注射し、自らの意志でペルソナを召喚できなくなったのを確認すると、日向は「実験」を開始した。その部屋は全面鏡張りで、裏はマジックミラーになっており、間近から部屋の様子が伺える仕様になっていた。
そこから、日向は室内の惨劇を覗き込んでいたのだろう。嬉々とした笑みでも浮かべながら。

その後、「使い道の無い」子供から順番に、フタバの元に連れて行っては、フタバの目の前で、ペルソナを剥奪した。
裏ルートから極秘裏に仕入れた「ロンギヌス・コピー」と呼ばれる、ペルソナ抑制機器を応用した代物で、日向はペルソナを奪い取る機械を精製すると、それを用いて子供達が育てたペルソナをどんどん奪っていった。
この「ロンギヌス・コピー」は槍状の細長い物質だったらしい。フタバと向かいあわせにされた子供の背後から、部下の研究員に命じて、情け容赦なく切っ先を突き立て、頭上に陽炎の如くふらふらと浮かび上がったペルソナを、「ロンギヌス・コピー」に吸引し取り込んだ。
槍を突き立てられた痛み以上の、精神の一部を力尽くでもぎとられる事で子供達はあらん限りの声で叫び、泣きわめき、抵抗しようと暴れた。しかし、どれだけ苦痛の中「もう一人の自分」で抵抗しようとしても、「ロンギヌス・コピー」の持つペルソナ封印能力に阻まれ、皆最後には力尽きた。
ペルソナは心の一部。それを奪われた事で、子供達は皆一様に精神が不安定になり、また一部の者は精神異常を起こした。
それが回復せぬ間に、影時間となるのを見計らって子供達を想像できる限りの残虐な殺害方法でなぶり殺しにし、その「恐怖」や「苦痛」「憎悪」の感情を餌にシャドウを集め、終いには集めたシャドウの餌代わりに、幼児の手足を生きたまま裂いてシャドウの器内に投げ込んだ記録まで残っていた。
子供達から引き剥がしたペルソナは、同じく「ロンギヌス・コピー」を用い、フタバの胸元に突き立て力を逆流させる事で無理矢理流し込んだ。

子供を自分と同じく縛り上げ、ペルソナを奪い、なぶり殺し、その後奪ったペルソナを移植する。
この全行程を、20回、フタバは全て間近で見続けた。20回人を殺めた槍を突き立てられ、憎悪の結晶となった仮面を植え付けられた。

日向は、実験の直前に、子供達にいつも同じ言葉を口にしていた。
「これから君はプレアデスの星になる。でも心配する事はない。君の能力は、この施設で一番優秀な私の息子に受け継がれるからね」

この言葉が、どれだけフタバと子供達の心をかき乱したか。
全身を震わせながら必死に首を横に振るフタバを尻目に、日向はラボが一望できる監視室に、またある時はマジックミラーの裏から口元にうっすらと笑みをたたえ、実験の様子を眺めていた。

ある子供は、親とグルになって皆を殺したのかと罵った。
ある子供は、訳も分からぬまま、白目を剥き泡を吹いて精神崩壊した。
ある子供は、思いつく限りの罵倒でフタバをなじり「お前のせいだ」と叫んで死んだ。
ある子供は、フタバと笑って「バイバイ」した後、息のある内に繰り返し電気ショックを浴びせられて炭になって死んだ。
ある子供は、脱走し損ねて連れてこられ、無言でフタバにツバを吐きかけて死んだ。

僕を強くするために。僕のペルソナ能力を極限まで高めてみるため。
それだけのために。
目の前で皆殺されて死んでいく。

「刑死者」のペルソナ能力を植え付けられた頃、フタバの精神は既に度重なる殺人の光景と、日に日に募っていく他人の「ペルソナ」を辛うじて抱えてその身に宿す事だけで精一杯になっていた。
ユキの時と異なり、己に悪意と敵意を抱いた者のペルソナを強制的に幾重にも宿され、内からこだまする己に対する罵倒と、自分自身の罪の意識でフタバは潰れかかっていた。

オマエノセイダ。オマエノセイダ。オマエノセイダ。オマエノセイダ。オマエノセイダ。オマエノセイダ。オマエノセイダ。オマエノセイダ。

ヤメテ。ユルシテ。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ…。

誰一人助ける事の出来ない自分を責め、ペルソナを維持する代わりに伴う精神的苦痛、そして回を増す毎につのる激しい頭痛も重なってフタバは毎日涙が枯れるまで泣いていた。
どうして。
どうして、お父さんはこんな事するの?
悪い奴を倒すために、ペルソナ使いを集めたんじゃないの…?

そんな風に、自分を信じ追いすがるように見つめる息子に、日向は言った。
「フタバ、フタバはママが好きかい?」
フタバは頷いた。
「なら、我慢しなくちゃいけないよ。だって、フタバのペルソナ、オルフェウスの力を極限まで強化して、ママを天国から連れ戻してもらおうと思っているんだから。…知っているね?オルフェウスの物語を。いいかい?今は過去を振り返らず、ただママを取り戻したいと思って私の言う通りにするんだ。でないと、オルフェウスのように最後の最後でママは帰ってくれなくなってしまうよ。…心配いらないさ。フタバが天国とこちらの世界を行き来出来るようになれば、いつでも皆に会いに行けるだろう?それとも、フタバはママが帰ってこなくていいのかい?…フタバのせいでママは死んだのに」
驚き、首を振るフタバに、日向は畳みかけた。
「おや、違うって?…いいや、違わないさ。お前が悪い子だったから、ママは死んだんだ。お前は生まれついての悪い子だ。こうして悪い事ばかり呼び寄せる。お前が悪い力を呼び寄せるから、今までの実験は失敗したんだ。…そうだ。本当は皆助かるはずだったのに、お前が一人嫌がるから、皆死んだんだ。分かるか?ママと仲が悪くなったのも、実験が上手くいかないのも、皆お前の引き寄せる悪い力のせいだ。これは間違いない。私が言うんだから絶対だ。分かるね?…ママや死んでいった皆に謝らなきゃいけないのはお前だろ?フタバ?…ほら、お前が一番強く望まなければいけないのに。なんて頭の悪い子だろう!きっと、お前が強くなりたいと望んだから、他の子みたいな強いペルソナが欲しいと思ったから、ユキという子も死んだんだ。お前が殺したんだ。その次もその次も絶対そうだ。お前が強くなりたいなんて思ったからこうなったんだ。全く、なんて罪深い子供だろうか」
フタバが顔を真っ赤にして泣いていても、日向は口撃を止めなかった。
「それなのに、せっかく贖罪の機会を与えてもお前は全てをフイにしてしまうばかり!ここまで馬鹿だとは思わなかったよ!…だが、私はお前を許すよ。お前は私の最高の息子だ、これからは、私にきちんと協力してくれるね?」

フタバが辛うじて頷くと、日向はにやりと笑ってこう言った。
「よしよし。これで、お前もグルだ。二度と私に逆らうな」
フタバの表情が凍り付くのを見て満足すると、日向はフタバの胸元を愛おしげにさすってその場を離れた。

その時、既に、フタバの内に別なる力が覚醒しつつあることを日向と研究員たちは知っていたのだ。
フタバの胸元の奥深く、いつの間にか植え付けられていた力の結晶_黄昏の羽の欠片。
その奥に胎動する、いかなるシャドウをも圧倒する、濃厚な「死」の気配。
日向は、その力を得る事に執心していたのだ。

「さあ、今日からはまた新たなペルソナの素養をお前に与えてやろう」

お前の内に住まう、「宣告者」への生け贄を_。
日向の日記は、死の数日前まで、その言葉で締めくくられていた。












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