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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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※どうも使用していたブログテンプレートの表示がおかしいので、暫定でブログテンプレートお試し中。あれ、気に入ってたのにな…|ω・`)



予定と噂と計画と。
*

安藤家では大層な歓待を受け、大学生たちは多少驚きつつも家に上がるとすぐに馴染んで、夕食はうち解けた座談会となった。
今日の夕食は神戸牛らしいぞお、と典生に聞かされていた大学生たちは車内でにわかに色めきたっていたが、その「神戸牛の…」の後に続く単語が「…合挽ミンチコロッケ」だと聞くやいなやがくっ、とずっこけて、典生の妻であり食卓係である典子夫人から「贅沢は敵!」と叱られたり。
もっとも、全て手作りのコロッケを口にするやいなや、彼らは一様に「美味い!」「手作り最高!」「イモ最強!」と連呼し典子夫人を絶賛の嵐でほめちぎった。事実、典子のコロッケは安藤家の定番食であり、典生が時折連れ帰る後輩たちの腹を満たす時にも多用される大人数向け料理であり、典子の五指に入る得意料理であった。典生も満足げに「ウチのかみさんの味はこのマンション内でも頭一つ飛び抜けてらあな」と誇らしげにビールを傾ける。今日は娘の紀香もこねるのを手伝ったらしく、キツネ色に焼き上がった俵型の中に混じって星やハートのコロッケが盛り皿の下から出てきては「のりかが作ったのよ!」と娘さんがことごとく主張し、場を和ませるのに一役も二役も買った。

食事後に通されたリビングは八畳程度で、他の部屋もみなこじんまりした作りである。
クーラーの効きも良く、しばし敷かれたマット上に着座しまったりと旅の疲れを癒す。順番に風呂に入りながら、皆室内をぐるりと見渡す。
娘さんが中心の写真を飾った小さな額、出張の日程を記したマルバツだらけのカベ掛けカレンダー、折り紙と手書きの絵が描かれた画用紙…子供中心の、ごく普通の家庭の風景。
そうした何気ない日々の積み重ねが、透かして見えてくる。
優しい狭さ。この家全体に、確かな優しさと温もりが宿っているようだった。

「何だか懐かしい感じ」と呟いたのは、風呂上がりでマット上にくつろぐ庵である。
全員汗ばんだ身体を湯船で洗い落とし、ジャージに短パン姿で寝床となる居間の上でクーラーの冷風にクールダウンされている最中だ。
もっとも、冷気27度は庵にとって大いに不満なようではあるが。
…狭い中に複数名の男が籠もっている状況は見るからに暑苦しい。
そして実際ほんのり暑い。汗くさい。
食卓も扇風機が回っていたものの、揚げ物後に加えて今日も真夏日だった神戸の夜である。室内は空調有り無しで天地ほどの熱気差になり、この室内からトイレに向かって一歩廊下に出ると途端にむん、と屋内の夏特有なこもった暑苦しさが全身にまとわりつく。
風呂上がりで折角汗臭さも抜けているというのに、寝る前までに汗まみれは勘弁なため、皆クーラーの部屋から動かないのである。

「…こっちは結構暑いんですね」
少し前にお風呂をいただいた敦が、火照った顔のままぼんやりと天井に呟く。
車内でも最初こそ元気が良かったが、到着してからは一転疲れたのかずっとこんな調子である。

「敦君敦君、このくらいの熱さで参ってるようじゃあ瀬戸内の夏は乗り切れんよ」
「ふええ…が、頑張ります。でも正直大学町よりはマシですから…」
「こんなので参ってたら夏の九州だと溶けかねんぞ?」と大輔が苦笑混じりに呟くと、敦も「想像したくないですっ!」と首を振ってみせる。

「さて庵。ここで先輩の手伝いしたら四国行くつもりみたいだけど…どうするの?電車?フェリー?」
カバンの中を整理していた晶に声をかけられ、庵はマットの上へと跳ね起きて鼻の穴を膨らませる。

「そこなんよね晶君。
瀬戸大橋を豪快に体験するなら新神戸から電車乗って岡山駅で瀬戸大橋線のマリンライナーにでも乗ればいいけど、ゆっくり瀬戸内体験するなら宇野線に乗り換えて港からフェリーなんてのもいいよね。金額はトントンくらいだし、どっちしようかなって」
「うわあ、どっちもステキですね先輩!」
「ヒッチハイクじゃいつの事になるか分からないもんね。頑張って稼いで、早く香川に行ってあげないと~」
「何だか言葉にトゲがあるなぁ晶」
むー、と照れくさそうに唇を尖らせる庵に対し、晶も大輔も敦もどこかニヤニヤと生温かい笑みを浮かべている。
「ええー?気のせいじゃない?…僕は君を送ったら金刀比羅宮にでも行って、先に九州へ向かうから」
「あ、俺も行く行く。大会は目立たないように見学するつもりだけど。アンアン元王者に会いに行くぜ!ねー大輔さん、裏口とかで対戦申し込めないかな?」
「出来るんじゃね?」
随分とそっけない物言いの大輔に「ホントに~?」と庵はへの字に口を曲げる。
大輔は大輔で、どう切り出したものかと悩んでいるとは、他の三人は知るよしもなく。
「晶もその腹づもりなんだろ?」
「まあ、それもあるかなって感じ?僕も無目的に動くよりは大会こっそり見学して長崎にでも行こうかと」
ははーんなるほど、と庵はにやりと微笑む。

「杏奈さんか」
「さーてね。杏奈さん、実家は大したことない風に言ってたけど佐世保で一番古いアンティーク専門店してるって聞いたんだ。こないだ会ったとき、そこで休み中はお手伝いしてるって言ってたから会いにいくつもり、なんてね」
「聞き捨てならんな」と、大輔すかさず割って入る。
「お前いつの間にそんな話を」
「えー?それはまあ(庵とのどかさんのお付き合いで)時々杏奈さんに会ってましたし?」
それとなく親密度アピールする晶と、大輔の間に目に見えぬ火花が一瞬はぜって消えたようで、一瞬、敦は寒くもないのに身震いを起こした。
「ほほーん、なるほどなあ。まあ、正確な住所も知らないで空振りになっても知らんが」
「大丈夫ですよ大輔さん、僕もその点ぬかりはないですから。…ちゃんと杏奈さんのケー番は控えてますし」
「い、いつの間に!」
あからさまに動揺した大輔に、晶珍しくケータイ片手にニヤリとしてやったりな余裕の笑みを浮かべて見せる。

「おうおう、仲いいなあお前等!俺も混ぜろよ」
丁度風呂から上がったばかりの夏彦が、Tシャツジャージ姿でガチャリとノック無しに入ってくる。
「先輩茹でたてですね。顔真っ赤」
「風呂は熱いくらいでいいんだよ。ほいこれ」
そういうと、指先まで真っ赤になった手の股へ挟み込んでいたソーダアイスバーをひょいひょいと、慣れた手つきで配る。
「ったく、俺抜きで面白い事始めやがって、むかつくねえ。で?何なんだ47都道府県アンサーってのは」
言葉とは裏腹に興味津々な様子の夏彦に、晶は一瞬ぽかんと口を半開きで首を傾げる。
「何でそれを知ってるんですか先輩?!庵、そこまで先輩に言ったの?」
「いんや、その覚えはないよ。麻美さんづてかな?」
ぎょっと驚く晶と庵に、「ネットで騒ぎになってるってよ」と夏彦がマットへ腰を降ろしがてら答える。
「お前等が新潟で大会に出たときの話題が『5ちゃん』で複数スレが立つくらいの伸びだったって、典子さんが言ってたぜ」
「あーそん時の…せっかくマイナーなゲームだから話題にもなんないって思ってたのに、それじゃあおちおちゲーセンにも行けないよ」
有名巨大掲示板『ネットチャンネル・5hour』、通称『5ちゃん』の名前が出て庵はあからさまに顔をしかめる。過去の恥ずかしいネタ等、ネット上では未だに格好の標的なだけにまだまだ不安を隠せないでいるようだ。
「じゃあ、掲示板に僕らの事が」
「らしいぞ。もっとも、俺はネットなんぞ研究資料の検索以外で使わんからなんともだが、典子さんに検索してもらって見た分には妙な噂も立ってたんで、そこんとこも聞いておきたくてな」
「噂?」
四人の視線が夏彦に集中する。夏彦は神妙な面持ちで、「それがだな」と口を開く。

「今、SIGAがアンアンのキャンペーンしてるのは知ってるな」
「はい、全国回ってアンサーアンサーの宣伝イベントしてるって。確か、アイアイがメインパーソナリティで頑張ってるんじゃなかったです?」
「それに、お前達が出るんじゃないかって」
「えええええ!?」
ほぼ同時に、夏彦以外のメンツ全員が大声を上げた。

「バカ、うるっせえよ!俺んちはカベ薄いんだからさ…で、俺もそれ見て寝耳に水だったから、これは真相を聞いておかねばと思ってさ。第一、安佐はマスコミ嫌いだったと記憶しているが」
「今でも嫌いだよ先輩。俺出ないですよ。絶対テレビはもう出ませんから」
きっぱりと断言する庵に、夏彦も「そうだよなぁ」と苦笑いを浮かべる。
「きっと適当な事言ってるんですよ」と、晶も渋い顔で庵を援護する。

「じゃあ、やっぱり全部噂か。もし本当なら大丈夫かと心配してたが、これで一安心だな。しかし、だったら何で旅なんかに?」
「のどかさんに自然に会いに行くための庵の方便でもがっふ」
つるりと答えかけた晶の口元を、顔を真っ赤にした庵が慌てて塞ぐ。
が、夏彦の顔には既に「なんだそういう事かあ」とニヤけた笑みが浮かんだ。

「お前な、人様に迷惑掛けて建前作る前に、とっとと行ってこいよ!そういう所は意外とチキンなんだな」
「先輩うるさいです先輩。俺のチキン勝率見てからそういう事は言ってくださいっす」
「ほお、言うなあ安佐。俺も久しくゲーセン行ってないが、数あわせなら結構やるよ俺は?」
「先輩エンタと漫アニゲー壊滅的なくせに」
「うるせえよ!あんなの知らなくてもクイズは出来る!」

「ずっと気になってたんだが…アーサー大のクイズ研究部でチーム作らないのか?」
はたからしばらく様子を見ていた大輔が、ふいに口を開く。

「チームって、ケータイのあれか」
「そうっす。同じチーム同士ならジャンルポイントの弱点を補いあえるし、楽しいですよ」
「それなら知ってますけど」と敦が自分のケータイを取り出す。
「…確か、安藤先輩のケータイ旧式だったんじゃ」
「あっと、そこか。割と新しい型じゃないと非対応なんだよなーあのケータイサイト…」
バツが悪そうに舌を出す大輔に、夏彦は無言でそろりと尻ポケットから何かを取り出す。

「あっ」
「それは」
「フラットバンクの最新4G!」
「先輩、買い換えたんですね!」
すごーい格好いいですよぅ、と最新モデルのケータイに無心で喜んでいる敦に、夏彦は若干複雑な笑みを浮かべる。

「いやそれがだな…昨日、チャリで買い物行ったときに運転中に電話してて落っことして割っちまってな。液晶ボロボロで見られたもんじゃねえから仕方なくポイントで買い換えたんだ。今日から使ってるんだが、全然使い勝手が分からなくて不便極まりねえよ」
おそらく店員から勧められたのであろう、非常に薄型な二つ折りのシルバーメタルボディの真新しいケータイをつまんで、夏彦は顔をしかめてみせる。

「あっちゃー、ご愁傷様です先輩」
「うむ、あれはもったいなかった。リサイクルボックスに入れて帰ったが、寿命まで使い切れなかったのは無念だったな…お前等も、ケータイ買い換えの時にはリサイクルに協力しろよ。携帯電話はレアメタルが使われてるから、立派な資源になるんだぞ」
「へえー」と、一同からトリビア的どよめきが上がる。

「でも、それならもしかして」
「うむ、登録出来るようにはなった。で、どうやったらいいんだこれ?兄貴に聞きはしたんだがよく勝手がわからなくて弱ってたとこだ」
おおおっ、と全員片手にソーダバーを握りしめたままながら、ささやかな拍手が起こる。
「先輩おめでとうございます!カード登録は済んでます?まずはそこからですよ!」
「ついでにチームも作っちゃおうぜ!名前考えよう名前」
「じゃあそれ決まったら、安藤先輩がチーム立ち上げ、と」
「待て待てって!そんなにいっぺんに言われても、俺まだ使い方がわかんねえって言ってるだろうが!」
そう口では言いつつも、どこか嬉しそうに弾む夏彦の声を、壁一枚隔てて聞いていた兄は満足げに頷くとそのまま奥の寝室へと引っ込んでいった。

【7月25日夜・この後いそいそとゲーセンへ駆け込む男達五人・今夜は熱帯夜・明日からバイト】












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