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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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愛した者の真実。
*
すっかり背中まで冷え切って、蒼白になっていただろうと思われる俺の顔を見て、フタバは「さむいの?」と首を傾げ、その場に腰を下ろしたまま動けなくなった俺の肩に、誰の物とも分からぬ黄ばんだ白衣をかぶせる。
「はい、どうぞ。これで、おじちゃんもさむくなくなるよ。そしたら、おとうさんのおてつだいしてね」
フタバは、にこにこと笑っていた。笑っていた。
「おうちにかえったら、おかあさんとおふろ入るんだ。それでね、おとうさんといっしょにあそぶの。ぼくサッカーのゲームがいいな」
「…やめろ、やめろ、やめてくれ…」
「だからねおじちゃん、おてつだいして。ね、おじちゃん…」

全身がこわばり、動けない俺の足下を、フタバはぎゅ、と掴み擦り寄って来る。
柔らかく細い少年の指が、肌が、突き刺さるように冷たかった。

「おとうさんと、おかあさんと、ぼくのおともだち…おともだちはね、きっとおとうさんがぼくのためにつくってくれたんだよ…。
だって、おかあさんとおんなじほくろがあるもん。
…おとうさんね、ぼくのことすきだって。
いってくれたの。
ほんとにいってくれたんだよ。
うそじゃないんだよ。
だからこんどは、おかあさんつくってくれるんだ。
おかあさんができたら、きっとぼくのおはなしきいてくれるよ。
もうぼくをひとりにしないで、ずっといっしょにいてくれるんだ。
そしたら、おじちゃんにもいっぱいおはなししてあげる。だから、だから…」

フタバは笑っていた。微笑み続けていた。
からからに乾いた黒い瞳を見開いたまま、
愛らしい笑顔のまま、俺に追いすがり、その手を放さない。
愛らしい、ハキハキした口調で、満点の甘え方で俺に狂気を懇願する。

何故だろう、俺は泣いていた。
もはや泣くこともできなくなった少年の代わりをするように、俺の両目からは焼けるような涙が止めどなくこぼれていた。
ごめんな。
こんなになるまで放っておいて。
こんなに傷つくまで見つけてやれなくて。
俺は、お前を探してた。
でも、それは、お前を助ける事で救われたかっただけなんだ。
研究も日向も止められず、お前の母ちゃんを死なせて、挙げ句俺を信じて付いてきた仲間まで騙すようにしてこんな薄汚い仕事に引きずり込んだ。
俺は最低だ。
最低の人間だ。

気付くと、俺は冷え切っていたフタバの身体を力任せに抱きしめていた。
フタバは最初こそきょとんとして為されるがままだったが、すぐに身をよじって俺の腕から外れようとする。

「あっついよ、おじちゃん。はなして…」
「すまん、俺だ。全部、俺のせいだ。すまん、本当にすまん、ごめんな…」
「…なんで。なんでおじちゃんがあやまるの…?」
「……いいんだ、俺が悪いんだ。お前は悪かない。だから、もういい。もういいから…ここからでるんだ…」
「…だめだよ。だっておかあさんが…ねえどうしたのおじちゃん、おじちゃんなかないで…」

そこで、あの地下室での記憶は切れている。
次に目を覚ました時には、既に屋外キャンプのテント内で寝かされていた。
堂島達が俺を助けてくれたようだったが、皆一様に表情は暗かった。
俺が一週間眠り続けている間に検閲した、別館内部にて残されたVTR映像や監視カメラの映像を解析し終え、暗い研究の爪痕を見るだに疲弊しきっていたからだ。

その編集した映像を見る前に、俺はようやく愛した女性の本当の最期を知らされた。
日向葉子は、爆発事故の数日前に、既に亡くなっていたのだ。

*
フタバに付き添い、ガラティアと共に深夜遅く彼女の自宅に辿り着いた金森は、その場で妙な気配を察したガラティアとこんな会話を交わしたという。
施錠もされておらず、生臭い匂いのたちこめた部屋に数歩入るなり、ガラティアが二人の入室を制したのだ。
「金森さま、ここに人の気配はありません。しかし、部分的にそれらしきものの存在は感知いたしました」
「部分的?それどういう事?」
「部分的な人間のパーツが、ここに残されているものと判断できるからであります」

ガラティアが指差していたのは、台所にあった大型冷蔵庫だった。

金森は中身を確認しなかったそうだが、後日、それが事実だったと正式に判明した。しかし、桐条の手で情報は改ざんされた。

そのすぐ後、研究所の追っ手が迫り、逃走を続けていた三人だったが、執拗な追跡を振り払うため、金森は自らが囮となりガラティアにフタバを託した。
ガラティアは攻撃で深手を負いながらも追っ手の車両を奪い、ムーンライトブリッジへと逃走。そこで爆発事故は起こった。
後部座席で気絶していたフタバを最後の力で車外に出すと、ガラティアはそのまま折り重なった車の下敷きとなり、完全に破損した。

たったひとり、取り残されたフタバは最初こそペルソナを喚びガラティアを救おうとしたが、何も出来ず、惨状のただ中に取り残された。
不安におののいていただろう少年を、もう一人の「娘」が捉え、今度は有無を言わせず重い足枷を背負わせてしまった。

ガラティアに搭載し、破損時に砕けた「黄昏の羽」の欠片を用いて、ガラティアの姉妹機「アイギス」はデスの力の一部を欠片に封印し、封印として足りない器を補うために、偶然居合わせたフタバの精神へとデス本体を封印。力を分散して封じた欠片も同時に少年の胸元へ無理矢理埋め込み封印し、彼女もまた機能停止した。

爆発事故による最初の影時間が終わった後、対シャドウ兵器の存在を隠蔽するため、容姿が酷似していた事から、港区各地で事故直前に目撃されていた「ガラティア」の存在を「日向葉子」に置き換え、ムーンライトブリッジでフタバと共に事故に遭い亡くなった事にしていたのだ。
桐条の爆発事故という一大スキャンダルの前に、街角の小さなアパートで起こった惨殺死体の記事は、瞬く間に紙面から消え去り、直に忘れられた。












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