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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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果物詰め合わせとスイカの足音。

*
「おおっ、目が覚めたのか。ほれ見舞い」
視線が合うと、互いに目が細くなる。
大輔さんの突きだしたコンビニ袋の中には、瑞々しいカットフルーツの大きなパックが一個。
「やった、フルーツ盛り合わせ!…って、メロン混じってるお」
「うるせえワガママ言うなっての!…横にどけておいたらいいだろ?いちいちうるせえなぁ」
「えー(´・ω・`)だって俺メロン嫌いだって言ってたのにー」
「自分の不摂生で倒れておいて良い言いぐさだなオイコラ。仕方ないだろ?こういうカットフルーツだと嫌でも入ってるっつうの。んな事言うなら口にアンデスメロン一玉突っ込むぞゴルァ」
「すみませんですた( ´・ω・`)ボンショーリ …あ、リンゴ入ってら。ラッキー」
「庵先輩、リンゴ好きなんです?」
「リンゴは俺大好物だよ。こういうフルーツ盛り合わせだと入ってないこと多いのに、嬉しいなあもう(*´ω`*)」
赤いプラスチックの串をつまんでプスプスとリンゴだけ先に口の中へ放り込む。優しい甘味と軽い歯ごたえに至福なひとときを感じて頬が緩みっぱなしである。

「食欲あるなら平気みたいだな。顔色真っ青だったから、みんな心配してたんだぞ安佐」
「申し訳ないであります。くだもの美味しいです」
「ほいほい。で安住、医者は何て?」
「一日安静で大丈夫だろうって。点滴効いたみたいですし、それと…」
晶が何か言いかけたところで、廊下の方がにわかに騒々しくなる。
バタバタとスリッパをならす足音。どっすどっす廊下を揺する重たい足音。
遠く壁の向こうから聞こえてくる話し声が徐々に近付いてきて、その声が誰の者なのか即座に脳みそが弾き出す。

この、聞き慣れた、馴れ馴れしい声、は…。

「あき君あき君」
俺の焦りが即座に伝わったようで、隣に座る晶も口をへの字に曲げたまま固まっている。

「うん庵。僕も聞こえた」
「えーっと黙っててくれるんだったよな先生」
「その予定、だった、はずなんだけど…」
僕的にも非常にピンチなんだけどこの展開は、と晶まで顔に縦線が入ってるのが目に見えて分かったのだろう、敦が「どうしたんですか?」と首を傾げたその時。

「いおりっ!!」
ばあん、と豪快にドアが開いて巨漢の熟女が姿を現す。

きょどってくるくる回る黒目がちな目に団子っ鼻。
おちょぼ口には女心を込めたどぎつい真っ赤な口紅。
相変わらずの厚化粧に、ぐるぐるの天然パーマ。
胸にブランド名がでかでかと入った安物の三枚千円Tシャツに色の褪せたズボン。
そして衣服がぴちぴちになるほどにむっちりした肉付きの良すぎる体格。
…ああ、一年以上見ない間にまた太ったぞこれは。
お腹サイズがスイカLサイズからスイカスリーLサイズになってやがる。
…またダイエット失敗したと見えるな。何やってんだか…。
目の前に突然現れた珍客は、小太りどころじゃないメタボな丸っこい身体を揺すって「んまあっ」と大袈裟な声を出す。

「庵あんた…ちょっと倒れたって本当なの?!この子たちはおともだ…あら晶君もいたのね!ひさしぶりぃー!」
「ああっと…ご無沙汰、してます…」
辛うじて愛想笑いを浮かべる晶に「また格好良くなってぇー!」と息子そっちのけでニコニコと身体をくねらせる…我が母、艶子。御年52歳。
そろそろ還暦近いんだから、非常に自重してほしい。色々と。

「おばさん、どうしてここに」
「いやあそれがねぇ、今日たまたま先生の所へお薬取りに来たのよ。ほら胆石の薬。町の病院じゃあ車乗っていったら遠いじゃない?最近はガソリン代もバカにならないし、先月からこっちで同じ薬もらってるって訳よ。そしたらたまたま、そこの大きなお兄さんにおぶられて、どっかで見たようなツンツン頭が入っていくじゃないの!それで気になってまさかまさかと思って訊ねたら先生そうだって。教えて貰っちゃったのよぉ」
ヒゲ先輩を指差しながら、くねくねと鬼の首でも取ったかのように武勇伝気取りで事の子細を語る母に、我ながら顔が紅潮する。

どうせ訊ねたレベルじゃない。断言出来る。
しつこく聞いて回って、相手を根負けさせたんだろう。
…これだからおばちゃんは嫌だ。
オカンの勢いに全員ポカーンとなってる背後で、オカンの巨漢に隠れそうになりながら申し訳なさそうに先生がそろりと入ってくる。

「あっ、先生…」
「すまんねえ晶君、折角の秘密の旅に水差してしもうて」
先生はぽりぽり後ろ頭を掻きながら、「まあ、そういうことだから」とオカンを指し示す。

「ええっとそういう事って…」
「奥さんに言ったら、二・三日と言わず泊まっていけと。ついでに…志津さんにも話しておいたとさ」
「あー…」
やっぱりそうなるよなあ…と晶が天を仰ぐと同時に、俺もまたがっくりとうなだれる。
うちのオカンと志津さん=晶の母親は仲良し過ぎて、ほとんどの情報がツーカーでダダ漏れな間柄。
…つまり、俺が倒れたせいで、お互いにスルーしたかった場所に強制チェックポイントが設置されたってか。

…最悪すぎ。

「どうせ台風が来るんだし、やり過ごす間ちょっとばかり親孝行するくらいいいだろう。志津さんにも一番の薬になるだろうし」
「志津さん喜んでたわよ~。明日には床から起きあがれそうだけどお迎えのお支度が全然だって言ってたから、今晩は晶君もウチに泊まっていくといいわ!他の子たちも晩ご飯とお布団用意してあげるから、心配せずにいらっしゃいな!台風来ても屋根飛んだりはしないと思うんだけどねぇ~、ちょーっと、狭いけどまあ、それは勘弁ね」
巨体を小さく見せようと肩をすくめて手を合わせる仕草が何とも暑苦しい。
Tシャツ脇の汗染みを見つけて、体感室内温度が更に増す。…何故に、オカンという生き物はこんなに体温もテンションも高いんだか…。

「…」「…」「…」「…」「…」
男だけの涼しい室内に、何とも言えない微妙な空気が漂う。

「………はあ」

「車玄関に動かしてくるわあ」と、非常に嬉しそうにゆっさゆっさ身体を揺すって去っていった親の後ろ姿に、思わず深い、深い溜息が口から吐き出された。

【7月29日夕方・庵の自宅へ強制直行・続く】












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