ホットパンツのクールな彼女。
*
「ただいまー」
「ああお帰りーアスカ」
疲れた風な、若い女性の声。
晶が気付いて「あっ…」と中腰を上げたのと同時に居間の扉ががらりと開いた。
入ってきた女性と全員が目が合う。
ピンクのタンクトップにデニムのホットパンツ。
刈り込んだベリーショートの茶髪。
庵母とよく似た黒目がちな、だがやや吊り目で顔の作りも強気そうな若い女性。
張りのある豊かな胸元を「ひっ」と一瞬引きつらせて、廊下へと後ずさる。
「あっ………って、アキ君?他誰?って、何これ!誰!ちょっとおかあさーん!!何よこれはっ!」
晶が説明する間もなく台所から女性の大きな声が家全体に響き渡る。
「ちょっと大きな声するんじゃないの明日香!お客さんだよお客さん、さっきメールしただろ?庵がお友だち連れて帰ってきたんだよ!」
「えーー!!知らないし見てないよ!しかもあいつまた連絡無しで…何それ!しかも何あの団体様!ウチは女しかいないってのに何考えてるの?!」
「バカお言いじゃないよこの子はっ!晶君も一緒なんだから大丈夫だろ?あんたみたいな鼻ペチャが要らない心配するんじゃないよ、やっちもない!」
「むかつく!またそうやって、庵には甘いんだから!…ちょっと詳しく事情を説明してよ!」
「あっ、あの…すみません」
「ああ、アキ君?一体どうしたのこれ?折角帰ったらシャワー浴びようと思ってたのに、これじゃあ落ち着かないよ」
「ごめんなさい、実はちょっと事情があって…」
そろっと女二人の言い合いに晶が入っていくのを、他メンバーは居間からそっと耳をそばだてる。
晶が要点だけかいつまんで話をすると、相手も落ち着いたようである。
「じゃあー、庵が旅先で寝込んだのと、台風の間だけって事?良かった~…」
あいついると鬱陶しいんだよね、と暑苦しそうに呟く彼女に、台所から「そんなこと言うもんじゃないだろっ」と母親の叱責が飛ぶ。
「いいじゃない!あいつ全然連絡しないし、年末年始に年賀状も無しよ!?弟っつったらもっと可愛げがあってもいんじゃないのー!?それに庵だってもう二十歳じゃない!おかあさん甘やかしすぎっ!」
「お前がそうやって鬱陶しがるから庵が嫌がるんだろ!?明日香こそもうちょっとお姉さんらしくなさいっ!さっさと着替えて大皿出して頂戴っ!」
「はいはいはいはい分かりましたぁー!どうせ私は就活中ですよーだ!ったく、バイトしてるんだからもうちょっと認めてくれてもいいじゃない!」
「庵の」
「姉ちゃんか」
そう言えば聞いた事あるなあ、と三人顔を見合わせる。
庵自身は全く自分の話をしないが、有名人だっただけあって周辺のプロフィールはある程度知れ渡っていた。
安佐明日香。
庵の二才上の姉。
勉学は平凡で中の中…より少しキレる程度。
勉強は苦手。ただし父親に似て運動神経は抜群。
よく引き合いに出されるが、彼女はいたって普通の知能であり、そのためとかく比較対象される弟の庵とはあまり仲が良くないとの噂もあった。
「(…あれが先輩のお姉さんか…)」
敦はぼんやりとさっき一瞬だけ見た明日香の姿を思い起こす。
…割と寄せて上げてあったタンクトップの豊かな谷間しか思い出せない自分に絶望した。
【7月29日夕方・お姉さんは体育会系・そして玄関にもう一人・続く】
「ただいまー」
「ああお帰りーアスカ」
疲れた風な、若い女性の声。
晶が気付いて「あっ…」と中腰を上げたのと同時に居間の扉ががらりと開いた。
入ってきた女性と全員が目が合う。
ピンクのタンクトップにデニムのホットパンツ。
刈り込んだベリーショートの茶髪。
庵母とよく似た黒目がちな、だがやや吊り目で顔の作りも強気そうな若い女性。
張りのある豊かな胸元を「ひっ」と一瞬引きつらせて、廊下へと後ずさる。
「あっ………って、アキ君?他誰?って、何これ!誰!ちょっとおかあさーん!!何よこれはっ!」
晶が説明する間もなく台所から女性の大きな声が家全体に響き渡る。
「ちょっと大きな声するんじゃないの明日香!お客さんだよお客さん、さっきメールしただろ?庵がお友だち連れて帰ってきたんだよ!」
「えーー!!知らないし見てないよ!しかもあいつまた連絡無しで…何それ!しかも何あの団体様!ウチは女しかいないってのに何考えてるの?!」
「バカお言いじゃないよこの子はっ!晶君も一緒なんだから大丈夫だろ?あんたみたいな鼻ペチャが要らない心配するんじゃないよ、やっちもない!」
「むかつく!またそうやって、庵には甘いんだから!…ちょっと詳しく事情を説明してよ!」
「あっ、あの…すみません」
「ああ、アキ君?一体どうしたのこれ?折角帰ったらシャワー浴びようと思ってたのに、これじゃあ落ち着かないよ」
「ごめんなさい、実はちょっと事情があって…」
そろっと女二人の言い合いに晶が入っていくのを、他メンバーは居間からそっと耳をそばだてる。
晶が要点だけかいつまんで話をすると、相手も落ち着いたようである。
「じゃあー、庵が旅先で寝込んだのと、台風の間だけって事?良かった~…」
あいついると鬱陶しいんだよね、と暑苦しそうに呟く彼女に、台所から「そんなこと言うもんじゃないだろっ」と母親の叱責が飛ぶ。
「いいじゃない!あいつ全然連絡しないし、年末年始に年賀状も無しよ!?弟っつったらもっと可愛げがあってもいんじゃないのー!?それに庵だってもう二十歳じゃない!おかあさん甘やかしすぎっ!」
「お前がそうやって鬱陶しがるから庵が嫌がるんだろ!?明日香こそもうちょっとお姉さんらしくなさいっ!さっさと着替えて大皿出して頂戴っ!」
「はいはいはいはい分かりましたぁー!どうせ私は就活中ですよーだ!ったく、バイトしてるんだからもうちょっと認めてくれてもいいじゃない!」
「庵の」
「姉ちゃんか」
そう言えば聞いた事あるなあ、と三人顔を見合わせる。
庵自身は全く自分の話をしないが、有名人だっただけあって周辺のプロフィールはある程度知れ渡っていた。
安佐明日香。
庵の二才上の姉。
勉学は平凡で中の中…より少しキレる程度。
勉強は苦手。ただし父親に似て運動神経は抜群。
よく引き合いに出されるが、彼女はいたって普通の知能であり、そのためとかく比較対象される弟の庵とはあまり仲が良くないとの噂もあった。
「(…あれが先輩のお姉さんか…)」
敦はぼんやりとさっき一瞬だけ見た明日香の姿を思い起こす。
…割と寄せて上げてあったタンクトップの豊かな谷間しか思い出せない自分に絶望した。
【7月29日夕方・お姉さんは体育会系・そして玄関にもう一人・続く】
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