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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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昨夜の始末。
*

「あらぁ、おはよう!良く眠れたかしらん」
「おはようございます。遅かったですね大輔さん」
のほほんと台所で朝食をいただいていた晶は、やっと起きてきた大輔に庵母特製モーニングをすすめようとポテトサラダ山盛りのボウルを持ち上げかけたが、大輔はニコリともせず、山のような唐揚げやチキンナゲットの山に目もくれず、「庵は」と強い語調で聞いてきた。
「どうしたんですか?大輔さ…」
「いいから。庵はどこだ。まだ上か?」
「は…はあ。さっきトイレ行ってまた上がりましたけど」
「そうか。メシはあとでもらう」
そう言うと、大輔は挨拶も無しに二階へとスタスタ上がっていってしまった。

「どうしたんでしょう、大輔さん…」
「さあ…」
階下の困惑には気にも留めず、大輔はノック無しで「庵!」と庵の自室のドアを思いっきり開いた。

「うひゃあっ!…って大輔さん!?何ですかノックくらいしてくださいよ!このエッチ!スケベ!」
「男同士で何がスケベだバカ!!」
Tシャツを脱ぎかけていた庵は、肩のところまでシャツを捲り上げたままおっかなびっくりで大輔に言い返すも、理由の知れない激しい剣幕にそのまま硬直してしまう。
大輔はと言えば、庵の裸になった背筋を見て、あからさまに顔をしかめた。

「昨日寝汗凄かったから着替えようと思ってたのに…今すっごい汗臭くないです俺?」
「別に。それより庵、背中どうした」
「へっ?」
「痛まないのか」
「えっ?いや、そういえばジンジンするような。ムカデに刺されたかな?腫れてます?」
それともブヨかなー俺んち田舎だからぁ、と愛想笑いを浮かべる庵に、大輔は真剣な顔つきのまま「いや」と低い声で呟く。
「…手形がついてる。しかも青タンになってやがる」
「…えっ」
庵が動揺したのを見て取って、大輔の顔つきが険しさを増す。

「昨日、悪夢にうなされてなかったか」
「何で、それを…」
「悪い。信じる信じないは勝手だが、友人として一応伝えておく。…俺は、『見える』タチなんだ」
「それって」
「そう…幽霊とか、お化けとかが、だ」
マジすか、と呟いたまま、庵は目を見開いてポカンと大輔を見つめる。その目の奥で、身に覚えがあるのか恐怖が微かに揺れているのが大輔には見て取れた。
捲り上げたTシャツをひとまず元に戻させると、大輔は「背中向けろ」と庵に促す。

「先輩、俺何かその…憑いてるん、ですか」
「かもしれん。だから陽がある内にまじないしといてやる。安眠出来るようにな」
「まじない?」
「この『見える』体質、鹿児島の父方の血なんだ。
家は代々岬の見える高台にある小さな祠を祀ってる。そこの神様のお世話をしてる関係で、「天羽」の男衆は厄祓いの役目のためにそういう能力持って生まれるんだと。だから、集落の外に出る時は口伝で最低限の防衛手段として祝詞を幾つか教えられるんだ」
「あもう?」
大輔の姓は「穴輪」のはずである。何となく問い返すと、僅かに大輔の顔元がくすんだ。

「…オヤジの姓だ。
オヤジ、博多のオカンに一目惚れしての入り婿だったから。俺もガキの頃は『天羽大輔』だった」
「え?でも…」
「随分前に、死んだ『ことになった』んだ」
「え」
庵が詳しく問い返す間もなく、大輔は矢継ぎ早に言葉を継ぐ。

「多分生きてるんだろうけど…神隠しにあった。俺が鼻垂らしてた頃に。それで今はオカンの姓名乗ってる。それだけだ」
「…」
「分かったな?今お前が置かれてる状況。頼むから、しばらく神妙にしといてくれ」
「…はい」
庵が身を強張らせたと同時に、大輔は庵の背後で印を組み、物々しく口を開いた。

「タカチホノ アマツガミガイラセルワダツミニ チランノミサキノ ハゴロモサマハゴロモサマ アモウノイエノコ マモラセタマエハゴロモクダサレ…」
すう、はあ、としばらく同じような呪文と深い呼吸の音だけが聞こえてくる中、庵はじっと身を硬くして息を詰めて終わりを待つ。

「はいっ!!はいっ!!」
バシッバシッ、と二度続けざまに肩を手刀で交互に叩かれ、庵は「あいって!!」と思わず飛び上がって振り返ると、大輔は静かな顔元で手を合わせ、深々と深呼吸をして一礼していた。

「いいいい痛いっすよ大輔さんっ!!不意討ちにしてもきついですってば!!」
「ほい、済んだ。悪いが、仕上げの祓いはいつもああなんだ。肩腰背中、どっか違和感あるか?」
自身、肩を揉みしだきながらもスカッとした表情の大輔に問われ、庵は肩を回してその違いに「あ」と目を丸くする。

「…・・・・あれ、何だかとっても軽くてスッキリ」
「良し、ひとまず成功だな。羽衣さまに感謝しろよ」
「羽衣さまって、さっき大輔さんが唱えてた」
「そう。さっき教えたウチの祠に鎮まってる守り神様だ。天女様だそうだぜ」
きっと杏奈さんみたいな美人だったんだろうさ、と大輔は一仕事終えた開放感で満面の笑顔を見せた。

「じゃあ俺メシもらうから。お前も悪い事は言わん、しっかり食べて寝ろ。身体が弱ってると、幾らまじないしてやってても効果が半減する」
「うっ…了解しますた。俺も行きます。着替えたら降りますね」
「そうしろ。じゃあ、先に行ってる」

大輔の足音が階下に降りていくのを聞きながら、庵はベッドの縁に腰掛けて薄ら寒いものを感じていた。

「大輔さん、分かってて自分の父親の事、話したのか…?」

庵はそう思うと、限りない後悔と寒気に襲われて己の肩を抱いて、身を抱えるようにうずくまる。

昨日見た悪夢。
それは父親の最期の瞬間の夢だった。

【7月30日朝・おはようございます・その頃坂道では・続く】












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