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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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※カテゴリ細分化しました。岡山と香川を二つへ。あしからず、ご了承くださいませ(´・ω・`)
たまには親孝行でも。
*

縁側でしばらくぶりに普通の兄弟として幾らか近況を報告しあい、その後父がリムジンで出て行くのを見送ると、しばらくは晶にとって平穏な時間が流れた。

青々とした真新しい畳の実家に帰って、初めて安堵する一時。

使用人も台風前で何かと心配だろうからと、今日は早めに帰ってもらったらしい。
友人たちと母と兄と。
そして自分。
障子で仕切られた無駄に広い畳敷きの室内が、まるで今の自分の心境のようにがらんどうに見えた。

茶の間で水蜜をもらって窮屈そうにしている友人や先輩達に足を崩すようすすめると、晶はそっとその場から離れようとする。

「晶先輩、どうされるんですか?」
敦の問いかけに、晶は「気分転換」とだけ答え、そのまま奥へと引っ込んだ。

*

土間になった台所で冷蔵庫を物色していると、既に普段着の和装に着替えた母がそっと物影から顔を覗かせる。こちらが気付くと、とても嬉しそうに足音を立てず近付いてきて、上がりかまちの板間にそっと腰を下ろした。
顔じゅうで笑顔を作っている母の顔に、晶は帰って一応は良かったかなと、ちらっと思い口元に微笑を浮かべる。

「晶さん、おやつ?それなら冷凍庫にアイスありますからね」
「いや、そうじゃないよ母さん。お昼ご飯作ろうかと」
「そんな、いいのに…後でお寿司の出前でも取ろうかと思ってたのよ」
「それこそお気遣いなく。それに、庵に言われたもので」
「あら、庵君になんて?」
母は庵の家ととても親密な関係にある。庵の母くらいしか近所に心を許せる友達がいないせいでもあるのだが…。
それが気がかりでもあったし、同時に親子揃って世話になってるなあと、苦笑混じりになってしまう事実でもあったけど。

「お母さんに、自分が普段お呼ばれしてるようなお食事食べさせてあげなって」
「まあ、嬉しいこと」
だったらお母さんもお手伝いするわよ、と腰を上げようとしたので慌てて固辞する。
「いいんだよ。なかなか家で支度する機会もないだろうし…久しぶりに台所使わせてもらってもいい?良ければ夕食も手伝います」
「あらまあ…お母さんいいのかしら、そんなたくさんしてもらっちゃって」
「僕がそうしたいんですよ」
「まあ…」
そう呟いて母は嬉し恥ずかしそうににこっと笑った。
「じゃあ、ご厚意に甘えさせてもらおうかしら…ここで見ててもいい?」
「ええ。指揮していただければ」
「うふふ」
「兄さんのは特別製にしろよな」
いつから見ていたのか、母の背後に現れた兄の姿にも珍しく上機嫌で「いいですよ」と答えられた。

*

今日のお昼ご飯:五色そうめん

そうめんに細切りのだし巻き卵、ささみ、さやいんげん、煮染めたしいたけ、それと冷蔵庫にあった缶詰の蟹ほぐし身をよそった、ちょっと豪華なそうめんのできあがり。
一家の長代理である聡文のそうめん皿のみ1.5倍ボリューム+プチトマトが乗っていた事で、聡文もご満悦の様子である。
あっさりとした鰹だしが利いた出しづゆで食べれば、ものの五分で全皿完売な勢いである。

「奥さん、やっぱり上手ですね」
麺類大好きな大輔のご満悦なつるつる食べながらの謝辞に、晶はあっさりと「これ僕が作りました」とネタばらし。
おおおっ、とほぼ同時に夏彦と敦も啜るのを止めて晶のしれっとした顔を見つめる。

「あんな短時間で作ったんですか先輩!?」
「そうだよ。割と食材あったらすぐだよね」
「お前、奥で何してるのかと思ってたら」
「まあ、指導は母ですが」
「またそんな事言って、お母さん何にもしてませんよ」
「いえいえそんな」
口振りはそれほどだが、ちょっと誇らしげな晶に三人とも心和む昼下がり。

「晶君、兄さんは夕飯もお前特製で豪勢なディナーを所望するぞ」
「はいはい。大きな牛肉の塊発見したから、肉料理でいいかな?母さんには蟹缶の残りで海鮮卵雑炊作ってあげるよ」
「まあ嬉しい♪」
周囲から尊敬の眼差しを受けて、晶は箸を動かす手を止めると照れくさそうに俯く。
「こらそこの大学生たち、あんまりマジマジと晶君見るんじゃないの。今日は俺の貸し切りのはずだったんだから。後、かしこくもお大尽の邸宅に泊めてやるんだから後で一宿一飯の恩義でみっちり働いてもらうよ?」
「ちょっと兄さん!みんなは僕のお客さんだよ?!」
「冗談、もといちょっと手を借りるだけだ。そんな怖い顔するなって晶…こんだけだだっぴろい家の雨戸、俺等二人で全部閉め切るつもりか?」
「あっ…」
「そゆこと。という訳だから、昼飯休憩の後で、腹ごなしに一仕事頼むね」

その後。
昼食の小豆島そうめんに端を発したご当地夏のグルメ話をしたり、食事と宿泊の御礼前倒しと広い邸宅中の雨戸を閉めて回ったりとで、ほどほどにくたくたになった頃には既に昼四時過ぎとなり、閉め切られた室内では外から聞こえる風の音や雨戸のきしむ音ばかりが聞こえ、徐々に室内の不安は湿度と共に高まっていった。

夕飯もやはり晶が腕を奮い、一仕事の疲労と重苦しい湿気と周囲の雰囲気も和らいで食卓はにわかに活気づいた。
が、比例するように外の風の音が激しさを増すせいで、時折飛んでくる何かが雨戸をしたたか叩いては激しい物音を響かせて「きゃっ」と晶母を怖がらせ、同時に敦の身を竦ませた。甲信越出身で台風にまるで慣れていない敦は、ほぼ台風直下を初体験と言って良かった。
そんな中でも安住兄弟、並びに大輔は慣れたもので、「風強くなってきたなー」「多分どっかのバケツだね」「ゴミ片付け大変そうだなー」と呑気に台風の接近状況を分析しながら箸を運んでいる。
数度経験済みとはいえ、縁遠い山陰育ちの夏彦は周囲を気にしつつも黙って食事を済ませたが、一人敦は安住母の向かい席でオロオロと外の風鳴りに怯えおののくのであった。

【7月30日・台風かなり接近・晩ご飯は千屋牛の煮付けと焼き肉でした・続く】












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