3373plug-in

ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- --:-- | スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-) |
偶然が重なる必然の上で。
*

数時間後。
俺は寝不足の不快感を紛らわすようにパーラメントをふかしながら、高速バス乗り場の長い列に並んでいた。
すぐ後ろは、さっき同じ新幹線で騒いでいたブルドッグ達が相変わらずキャンキャン吠えている。
最悪だ。

もう真昼はとうに過ぎている。
前代未聞の新システム導入による不具合での大幅なダイヤの乱れは、降ろされた地方都市駅前のビルに流れる電光掲示板でも伝えられていた。
責任者が目の前にいたら、間違いなくぶち殺している。
もし俺の部下だったなら、間違いなく会議室の裏に呼び出している。
誰だこんな脆弱なプログラムを構築した奴は。

…いかん。
イライラし過ぎている。
柄でもない。

「堂島尚貴様、ですね」
ふいに背後から声を掛けられ振り向くと、バス待ちの長い行列を割るようにして、やけにガタイのいい黒服が二人立っていた。
「ある方がお呼びです。偶然、お見かけしたので良ければ途中までお送りしたいとのことですが」

*

何となく、相手の予想は付いていた。
「いやあ~、全く偶然というのは恐ろしいものですねぇ」
桐条お抱えのハイヤーの中で、対面している男は澄まし顔で微笑む。視察と見舞いを済ませこれから港区に帰る所だったという。
だが、「偶然」見かけた俺の為に、ちょっと後戻りしてくれるそうだ。
こちらが黙っていると、奴はお構いなしに何か寒いジョークを言っている。
無視して目を閉じようとすると、まるで雨に打たれた子犬のようないじけた面をしてこちらを覗き込んできた。
「…変わりませんね、そういうクールな所」
「お前の寒い冗談もな」
そう言うと、幾月は首をすくめて見せた。
「そうですか?少しは進歩してると思うんですが」
「十年前と全く変わらんクオリティだが」
「…にべもないお答えですね。成瀬主任以上だな、何でもバッサリ言い捨てる所は」

ハイヤーの中が、しん、と静まる。

窓ガラスを、ミゾレが打ち付ける音がする。

「降ってきたな。いいのか?高速道路が凍結するぞ」
「ご心配なく。スタッドレスですから。それより」

奴の能面に、ねっとりとした笑みが張り付いた。

「ご自分の心配でもなさったらいかがです?」

窓を叩くミゾレの音が、増す。

「…何が知りたいんだ?」
「全てですよ。あなた方、対シャドウ戦闘員チームの内部で封印された生体兵器…『宣告者』の全てを、ね」

*
8年前のあの日。
ほうほうの態で「死神」から逃げ出した後、影時間を抜け、ただ一人成瀬だけがベースキャンプに戻らなかった。
俺達はそれから4日間、あいつを探し続けた。
別館内部で「死神」の気配にあてられ、丸三日ダウンした榎本が復帰した後、再び別館に潜り込み、「死神」と遭遇。他のメンバーが「死神」を惹き付けている間に、俺は榎本一人(一匹か?)を連れて成瀬を探した。

あいつは居た。
別館再奥のラボ内部に横たわり、気絶していたが、榎本のペルソナが生命反応を感知し俺は安心した。
だが、その傍らに、「宣告者」がいた。

「おじちゃんにね、あたらしいおとうさんとおかあさん、つくってもらうんだ」

ラボに入ってきた俺に、「宣告者」は黒いだけの瞳を向けて、目を見開いたまま微笑んだ。

「だからね、さむくなくなるまでまってたの。そしたら、おなかもすかなくなるから」

生者のはずなのに、生命反応すら感じない、シャドウと人間の境界に立った少年。

「おじちゃんもおてつだいしてくれるの?…ちがうの?

 ……だめ、おじちゃんつれていかないで。
おじちゃんにはね、おべんきょうもみてもらうの。
あそんでもらうし、
ほんもよんでもらうんだよ。
だっこも おんぶも ねんねも ずっと ずっと いっしょ。

だめ。

だめなんだよ。

なるせの  おじちゃん ぼくの そばに ずっと いるんだ よ

とっ て いく な ら 」

その笑顔は、どんな悪人の作り笑いも及ばない、壊れた人形の能面だった。

「  しんで、くれる  ?」

首を傾げた少年の背後から召喚された人造のペルソナ。
そのおぞましさ、醜さ…そして哀しさを、俺は一生忘れる事は出来ないだろう。












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://3373plugin.blog45.fc2.com/tb.php/47-4df9d09c

| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。