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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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真夜中の雑談。
*

日にちを跨ぎ、7月31日深夜。
奥座敷で就寝中であった敦は、豆球も消えた暗い室内で突然目を覚ました。
物音が酷い訳でもなく、おトイレでもなく。
室内でも一番奥まった安全な部屋に寝かされているはずなのに、寝る前から気分が落ち着かなかったせいかもしれない。

雨音は未だに激しいようで、遠く激しく水が家屋や地面を叩く音が聞こえる。
風は…落ち着いてきてる、のだろうか。いや、やはり激しい。
断続的に甲高い風の唸りが聞こえて身が強張る。

落ち着かない。
どうしよう、目が冴えてきた…。

就寝前。
通された和室二部屋にきちんとしつらえてあった寝床二つ。
案内した聡文がさっそく晶に「今日はここで一緒に寝るんだぞー」とセクハラ始めてハリセンでひっぱたかれていたのも衝撃的であったが。
結局、聡文は自室、他は今晩も一部屋二人の割り当てで眠る事になり、昨晩と同じく晶と眠る事になったのだが、十時半の早い消灯後、隣室の夏彦と大輔の部屋からは早々に高いびきが聞こえて「二人とも剛胆だなあ…」と敦は床の中でもそもそしつつ驚嘆していた。

良くこんな暴風の最中で寝られるなあと思うが、台風被害が毎年大きい鹿児島育ちの大輔は「別に?」とあっさりしたもので、晶も「岡山は中国山地と四国に挟まれてるから、そんなに被害出ないよー」と慣れきった受け答え。夏彦は「外に出なければなんともないだろ?」と至極もっともな一言を。
豪雪や吹雪には慣れっこだが、やはりちょっと勝手が違うみたいだ。
「台風来て興奮してる小学生みたいだぞー」と大輔に茶化されて、そのまま「大丈夫ですよっ!」と粋がって就寝したはしたが…やはり、緊張しているようである。それに加えて、昨日庵先輩の実家、今日は晶先輩もとい大臣のお家で宿泊である。気が昂ぶってもおかしくないと思うのだが、それは自分だけなのだろうか?

電話越しに「にいちゃーん、吹っ飛ばされたらダメだよーぉ」と弱々しく心配していた弟の反応が至極まっとうに聞こえていたから困る。
ネムなんか、泣いて止まらないんじゃなかろうか。

そんな事を考えていたら、しっかり覚醒してしまったようである。柱の古めかしい鳩時計に目をやると、まだ二時前であった。

「眠れない?」
「ほえっ」

唐突に話しかけられ、素っ頓狂な声が口から飛び出す。
こちらに背を向けて眠っていた晶だったが、どうやら起きていたらしい。
そのままの体勢で「不安だよねぇ」と、苦笑混じりながら優しい声が続く。

「は、はい。すみません起こしてしまって」
「いや、何となく眠れなくて。実は君が起きる前からうっすら目は覚めてて」
「そうだったんですか…やっぱり、落ち着かないんですね、先輩も」
「台風のせいじゃないよ?いや本当に。小さい頃なんか、台風が来て暴風警報が出たら休校になるから、夜間に通過する日は次の日ばかり気になってたな。どうせウチは大丈夫だろうって思ってたし。その代わり、朝のニュース見てああやっぱりもう注意報解除されてるなーって、ダラダラ登校の準備を始めるって訳」
「そんなだったんですね、先輩も」
「そうだよ」

晶がゆっくりと身体を仰向けに起こす。その横顔が、何故か青白く見えてどきっとした。

「聞き流してくれるかな」
「何でしょう?」

「僕さ、父に釘刺されたよ、ぐっさりと」
「え?」
「跡継げって。兄さんはそのために鍛えてるって。僕の支えになるようにって。…馬鹿げてるよね。ホントに」
「えっ」

敦はああ、うう、と言葉を飲み込んで押し黙る。

「え、でも、そんな…」
一瞬フリーズした思考を呼び戻しても、脳内の辞書は真っ白である。
いきなり、「将来の展望を危惧する先輩にかける言葉」を検索しろと言っても、知らない事項を脳内に求めるのは酷というものだ。しかしそれでは彼の善良な心情が落ち着かないのである。
硬直したまま言葉を失っていると、晶は優しく「聞いててくれるだけでいいよ」と呟いた。

【7月31日深夜・台風通過中・夏の夜長は始まったばかり・続く】












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