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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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台風一過。
*

安住家での朝は雨戸を全て開く事から始まった。
水気を吸い、湿り気で幾分重く渋くなった木戸をガラガラと力一杯押しやるように明けて回ると、暗かった室内に朝の光がさんさんと差し込む。
台風が過ぎ去った後の、もやはおろか雲一つ無い濃厚な青空が天に広がる光景を一同はひととき手を止めて静かに見下ろす。

高台の頂にある屋敷から見下ろす岡山市街の朝。
鬱蒼とした木々の下に覗く、みっしりと肩を寄せ合う家々の屋根。
補修のためなのか、ところどころに青いビニールシートに人影も。
住宅街の向こうに見える旭川の太く緩やかな流れ、橋向こうには市街地のビル群が雨露後のせいか随分と光って見える。
熱された空気は未だ水気を多く含んで肌にまつわりつくが、吸い込む空気は清々しかった。

いつかテレビで見たスペインの空みたいだ、と晶はぼんやりと思っていた。
日本は湿気が多いからいつも空は霞んで見えるけど、外国は空気が乾いてる分空の青もくっきり見えるんだと、兄から聞いた気がする。
これは多分本当だろうなと、縁側のへりに立ち尽くしたまま空に見入っていると背後からパン、パン、と手を叩く音が聞こえた。

「はぁいはいはい、ちゃっちゃと済まそうぜ。朝飯食ったら、次はお掃除お掃除!」
蒸し暑かったせいか、タンクトップにジャージ、首にはタオルという非常にラフな姿の兄による指揮で雨戸をひとまず片付け家を開け放つと、食卓からの呼び声。よく冷えた麦茶、炊きたての御飯にみそ汁・だし巻き・アジの開きという純和風な晶母手製の食事を有難くいただきつつ、ニュースで台風被害と動向をチェックする。

「断水とかしなくて良かったですね」
「電気も通ってるし、ライフラインはセーフだったみたいだね。県南もさっき回復したみたい。夜通し停電だったって」
「で、今は台風どこだ」
「紀伊半島へ抜けて熱帯低気圧になったって」
「とすると?」
「あっちで雨が降って、後はおしまいってとこかな。早明浦ダムが貯水率一気に80%越えたって。すげえなオイ」
「こないだまで30%切ってたそうですよ。そこは良かったわねぇ」
後は被害が増えなければいいんだけどね、と晶母はおかわりをよそいながら心配ですねえ、と呟く。
「今のとこ、岡山は大した被害は報告されてないし、香川のアーケードとかも比較的軽傷で済んでるっぽいな」
「これならダムも残りの分が流入しつくせば100%近く行くんじゃないかな?ののちゃんちも安心だね」
「だなー。香川のうろん楽しみだなー…」
「(やっぱり大輔さんは麺類か…)」

「おーい、醤油取ってくれ」
「何にかけるんですか先輩?…えっ、だし巻きにかけるんですか?そのままのが美味しくないです?」
「えーっ?俺はかける派なんだが。かけないのか?」

「僕はかけませんよ」
「俺も無しだな」
「僕は普段ソースです」

「え?」
「え?」
「…え?敦、今なんつった?」

「えっ?…えっえっ何でみなさんそんな顔するんですかっ?!…えええっ?!」

しばしの団らんと談笑。
その傍らでその光景を微笑ましく眺める晶母の横顔があった。

【7月31日・美味しい朝・日本の朝・続く】












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