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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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フェリーを待ちながら。
*
2008年7月31日。
本日も晴天。

深夜中に台風四号は瀬戸内・四国沿岸から近畿地方をかすめ太平洋沿岸へと抜けていった。
台風の尾が残していった吹き返しが海面に白波を立ててはいるが、それも次第に落ち着きいてきたようだ。
むしむしと足から熱波が沸いてくるような真夏日よりは、このくらい風が吹き抜けている方が過ごし良い。
休憩がてら、鷲羽山の駐車場で大橋をバックに車内でいただきもののおにぎりを全員腹に収納した後、台風の後始末に追われる街を横目に海岸線をひた走る。
午後二時を過ぎて、アーサー大クイズ研究部らの面々を積み込んだ車は現在岡山県玉野市の沿岸部を追い風に乗って走り、そろそろ四国行きのフェリー乗り場へと到着する頃合いであった。

*

漣が聞こえる。
遠い音。
潮の音。
幸せだった頃の音。

夏休みに晶の別荘へ遊びに行くのが楽しみだった。
そこへ行けば、前日まで大嫌いな野球の合宿があっても、打撃のフォームに対する父の叱責を浴びるように聞かされてげんなりしてても、一晩で元気が回復した。のびのびと過ごせる、大切な空間。
テレビに出ていた頃も、あの夏休みだけはどんだけ短くても数日休みをもらって児島まで電車で出かけていった。
友達と朝から晩まで波打ち際を駆けずり回って過ごす、親の干渉の無い広々とした世界の片隅で昼寝する喜び。
思い起こせば、俺はずっと親の目を気にして生活してたんだと思い知る。

嫌な子供。つくづくそう思う。
計算高いって、嫌われるよね。

「庵、着いたよ」
「うん」

漣が聞こえる。
あの日聞いた音の向こうに、彼女が待っている。

*

鼻をつく、潮の匂い。
空気はからっとしてるのに、気温が上がってるせいか。
児島の山頂から見た時は気にならなかったが、台風が去って暑さもすっかり元通り。
空に輝く太陽に顔をしかめる。
一歩外に出ると、潮風があって丁度良い暑さである。
車から降りて、フェリー乗り場の岸壁際を見下ろすと、びっしりとフジツボ。
波飛沫でぞぞわっ、と一斉にうごめくフナムシの群。
うわぁ、と口をついて出る可笑しな感嘆。
気持ち悪くはないけど、自然の造形のグロテスクさが何とも言い難くて、そしてどこか懐かしくて。

フェリー待ちの間、車内から降りて待合室に入っていたクイズ研究部+αの面々はぼんやりとめいめいの時間を過ごしていた。
一時間前に、児島下津井からの瀬戸大橋の姿を見て感動しきりだった敦は、更なる感動を求めて周囲をフラフラと歩き回っている。
日本海の海岸とそう大差なく庵は思っていたが、当人曰く「海の色からして全然違いますよぅ!」と鼻の穴をめいっぱい広げて力説された。
確かに瀬戸内は内海だから、潮の循環とか入り組んだ特性なんかもあって他の海岸線と雰囲気違うかもなあ、と一人納得して敦が岸壁沿いをふらりと歩く様を眺める。気もそぞろに海を眺めていると、言いようのない憧憬と高揚が胸を包んでいた。

待合室の中では、三人がジュース片手に話を咲かせている。
「あちらについたらどうします?」
「香川っつったら気になる名前の店舗がすぐ近くの商店街になかったか?ほらあれ、『まるG』。ちょっと寄っていこうぜ」
「そりゃあいいなー」

まったりとした時間の流れが、愛おしい。
もう来ない、時間の連なりをダラダラと過ごせる喜び。

「あ、船!」
こっちに来てるっぽいですよぅ、と観光客まんまな後輩の指差す先に、遠くフェリーの鼻先が陽炎に揺れて見えた。

【7/31日昼・宇高国道フェリーを使います・片道一時間程度の船旅・続く】












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