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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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先行する思いを胸に。
*

行動に理由も解もない。
ただ衝動があるだけだ。
こうしたい、ああしたい。それだけが先行して止まらない思い。

船が着岸し、船腹側面のガラス戸に可動式の桟橋が渡される。
ガラス戸が開くなり周囲の客を押しのけ、驚く船員の脇をすり抜けて、まっすぐにタラップを駆け下りる。
その先で彼女は、呆然としたまま頬を紅潮させて立っていた。

ピンクのキャミソールに揃いのスカート。
可愛らしい花柄のサンダル。
胸元に先程まで掲げていたボードを抱いて、こちらをじっと見つめている。

頬が一瞬で燃えるように熱くなる。
出てこない言葉がまどろっこしくなって、その場で足踏みをするのを止めるともののついでと庵は改札機をまたいで飛び越えた。

有り余った勢い。
そのまま身を任せて、飛び込むように思い切り彼女を抱きしめた。
ぎゅっ、と感じるあたたかで優しい体温と感触。
汗の引いた肌の感じが、艶めかしくてドキドキする。
力一杯きつく抱きしめた腕の中で、彼女は身を硬くしてじっとしている。

彼女の形。彼女の温度。息の感触。
全部記憶していたい記号の集合体。

何でこの人の形状はこんなに愛おしいのだろう。
解けない問題も、解けないままでも愛せる喜び。
このままでも、飛び上がるほどに嬉しくなる気持ち。

…息を吸う。吐く。吸って。吐いて。
人心地ついて、はたと我に帰る。

東京でも、ここまで大胆なことしたことないな俺。

そこまで気付いた時、彼女の鼻先が目につく。次に、きょとんとした彼女の視線とぶつかった。

「・・・」
「・・・」

パッ、と飛び退く。
途端、頬から顔中へ広がるように頭全体が一気に熱を帯びた。
やらかしたよ俺またやったよ俺、と思う前に、彼女は顔を真っ赤にしてはにかんだ笑顔を見せた。

「・・・い、庵くんこんちわっ!」
「・・・こんちわ!」
「・・・お、おつかれさまっ!!」
「いっいっいきなりゴメン!」
「いっいえそんなっ!別に!大丈夫ですっ!」
「・・・」

お互い顔真っ赤で口が開いたまま、「あはは」「へへへ」と妙な笑みが口の端からこぼれて消える。くすぐったい。
締まりのない顔を出来るだけ引き締めて、きちんと背筋をただして、のどかと正対する。

「えっと…庵君精算は?」
「車で来たから、もう済んでる」
「あっ…そっか」
一瞬目を丸くしたのどかだったが、つとめて冷静に答えた庵の言葉で落ち着いたようである。逆に間が出来て、庵は次の言葉を言い淀んでまごまごと頭を掻く。

「えっとあの、来ました」
「あ、うん、お疲れ様!他のみんなは車?」
「う、うん。えっと」
「うん」
「こんちわ」
「こんにちわー…てへへ」
「てへっ」

「あのー…」
近寄りがたい二人の空気を読んでか、非常に言い辛そうに船員が声をかけてくる。
「申し訳ないんですけど、乗車券の確認を…」
「あっ…あ、しまったな。全部ヒゲ先輩に渡したまんまのような気が」
「ええっ!?どうしよう、私みんな探してこようか?」
「その必要はないよ」
港前のロータリーから急いで来たらしい。晶は、はいこれ、と船員に乗車券を確認してもらうとハリセン片手ににやりと微笑む。
「庵君自重」
「はーい(´・ω・`)ごめんな晶」
「いいよ別に。それとそこ、他の乗客の方の邪魔になってる。みんな空気読んで君の背後で動けなくなってるし」
「はうあっ!!うわっちょっすみませんすぐどきますから!!」
「はいよろし。この人後でまとめてしばきますからねー。皆さんごめんなさいねー」
庵が顔面真っ赤で飛び退くと、乗客は全員が全員優しい笑みを浮かべて「セカチューの影響かねえ」「映画の撮影みたいだったわねー」などとひそひそと通りすがりに囁きあっては降りていく。数名「どっかで見た事あるっけー?」などと言っていたが、庵も晶もそしらぬふりでそっぽを向いて誤魔化す。
その間、ゆでだこ状態で隅っこに小さくなる庵とのどかの姿に、晶はひたすら「面倒くさいなあもう…」と正直じれったくてむずむずする唇を尖らせた。

【7月31日夕方・丸亀港到着・他の三人は港前ロータリーで待機中・続く】












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