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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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密談。
*

高速道路を抜けて国道に入る間に、ミゾレは雨になり、いつしか止んでいた。
「後小一時間程度で着きますよ」
いつも通りの丁寧な口調で、窓の外を見たまま幾月が呟く。
「いやはや、渋滞に巻き込まれるなんて、ついてないな。
でも、夜にはホテルに到着しそうで、ほっとしました」
「………」
黙り込んだままの俺を横目でちらりと見やって、幾月はぽつりと囁く。

「影時間になるまで待とうなんて、思ってはいませんね」
「………」
「…無駄、ですよ?
それまでに、貴方の選択をお聞かせ頂きたい。
私も雇われ理事なのでね、そうそう時間の融通は利かないのですよ」
「…」
心の中で舌打ちし、窓の外へと視線を逸らす。

「(主任同様、甘い人だ…)」
幾月は、平常心を装う隣人を眺めてひっそりとほくそ笑んだ。

*

迎え入れられた都市郊外の三つ星ホテルのスウィートルーム。
窓はカーテンできっちりと閉め切られ、周囲の部屋にも人の気配を感じない。
ほぼ、この階は貸し切り状態という訳か。
用意周到過ぎて嫌になってくる。
「…さて」
コートを預け、ジャケット姿になった幾月は備え付けのチェアへ優雅に腰掛けると、膝を組みベッドの縁に腰を下ろした俺に目線をよこす。
「お答え願えますかな?考える時間は充分あったはずです」
「…その前に、二人と話をさせろ。成瀬は無理かもしれんが、榎本とは連絡が取れるだろ」
「承知しました」
先程、少年の拘束写真が収められていたものとは別の、黒いケータイ電話を取り出すと、すました顔でボタンを押し、耳元に当てる。
「…私だ。彼は、いるかな?」
数十秒の沈黙の後、幾月は腰を下ろしたまま、黙って俺にケータイを差しだした。
重い腰を上げて受け取ると、すぐに耳元へ当てる。
「榎本」
「(ど、…堂島さん?!)」
相変わらず、テンパって声がうわずっている。
だが、声色はそう疲労していない。ひとまず、安心した。
「どこだ」
「(あ、わ、わかりません…なんか、廃墟みたいな…)」
「ペルソナは」
「(すみません…さっきから頑張ってるんですけど、出なくて…首の裏がやけにちくちくするんで、きっと制御剤を…)」
「なるほどな。で、成瀬は」
「(わかり、ません…ご、ごめんなさい、ホントにごめんなさい…こんな事になるなんて、思わなくて…)」
「構うな。とりあえず、生きてるんだな」
「(は、はい。ぼくは、平気です、だけど…)」
「成瀬の息子は諦めろ。自分の事だけ考えてともかく反抗するな。お前は弱い。自覚してるな?」
「(は、はい…そんなハッキリ言わなくたって…)」
「あぁ?」
「(あああああ、すみませんすみません…ハイ、自分だけでいっぱいいっぱいです…身を守る事だけ、考えます…)」
「それでいい。…直に、終わるから待ってろ」
「(ど、堂島さ…?)」
…一方的に通話を打ち切ると、俺はケータイを幾月に返し、奴と向かい合わせのチェアに座った。

「…何が知りたい」
「…それは、こちらの要望をお聞きいただける、と考えてよろしいのですね?」
幾月の表情に、今日初めて血色の通った笑顔が浮かぶ。
つくづく、いい面の皮をしてやがる。

「勘違いするな。俺は協力しない。
…だが、お前の欲しがっていた最後のピースとやらの、詳細を教えてやるくらいは出来る」
「ほほう…それで、手を打とうと?」
「だが、その前に成瀬の息子の顔を見たい。あれが今どういう状態なのか、直に俺のペルソナで探ってみない事には、話が進まん」
「…?」
どういう事なのか分からず眉をひそめる幾月の眼前に、俺はいつも肌身離さず持ち歩いていたノートパソコンを見せる。
「…全ての答えは、この中にある。そうだな、ちょっと長い講義になるが構わないか?」
どさっ、と力任せにパソコンを卓上に降ろすと、幾月はびくっ、と反射的に身を逸らせた。

その襟首をネクタイごと掴むと、不意を突かれた間抜け面の奴に眼前に引き寄せ睨み付ける。
「!!……」
奴が引き付けでも起こしたような渋面になったのを見て、俺の口元には笑みがこぼれた。
「…安心しろ?手出しはしねえよ…なあに、影時間までには、全部話終わってる…」

幾月が一瞬にしてどっと冷や汗をかいて座り直すのを見て、俺は少し満足した。
そうだ、それでいい。
畏れすら無くしたような人間に、このデータに触る資格など無い。
俺は腹の中で煮えたぎっていた思いを鎮めると、スーツケースからパソコンを取り出し、静かに起動させた。












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