3373plug-in

ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- --:-- | スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-) |
ツンデレ受験生。
*

一方。
一時間そこそこで順路に沿ってのうどんセット配達を終えてしまい、早々に手持ちぶさたになった大学生+受験生の面々は、最後に立ち寄った土産物屋で休憩がてらソフトクリームを片手に日陰で雑談タイムに入っていた。
国道に面した小さなショップで、八畳分程度のこじんまりした店舗と露地販売が目玉の、まさしくローカルな田舎店。
砂利の駐車場はがら空きだが、この炎天下で日陰無しではさもありなんな状況である。

「うどんソフト意外と美味いね」
「なんていうか、普通のソフトがちょっとこってりしたような味ってだけなんだけど、ここの店のはとろみが丁度いいんだ。型くずれしにくいし、なおかつ食べやすい固さ、っていうのかなぁ。後、毎年期間限定で来る伯方の塩ジェラートなんかもすっげえ美味いよ。ここ、地味だけど揃え抜群なんだ」
穴場なんだよねー、とすっかりうち解けた様子ののどかの弟、ノブはちょっとだけ得意げにお薦めのうどんソフトを語ると、豪快にソフトの頭頂からぱくりと頬張って舐め取る。
「ご当地の味ってその場で食べるからいいんだよなー」
「まあね。でも俺んちのうどん、持ち帰って湯がしても良い線行ってると思うよ。
…あ、オヤジには内緒な。すぐ付けあがるんだからさ」
「はいはい」
ノブとはほんの少ししか年が違わないはずだが、素直になれない口ぶりが幼さを感じさせてついつい年の離れた兄のような口調で返したくなる。

「で、この後何か用事はある?買い物とかあるならついでに買い出しへも行くし」
「いや、ウチは一括で地元の生協や農家から仕入れしてるからだいじょぶ。で、オヤジから荷物の搬入済んだらこんぴらさんまで案内しろって言われてる」
「金刀比羅宮か?そりゃまた何で」
「いやあさ、オヤジが観光案内してやれって。ガソリン代もバカになんないから、ウチの車でそのまま行ってこいってさ。で、俺も丁度受験生だろ?願掛けしておきたかったから丁度いいしね」
にかっ、と白い歯を見せてしてやったりな表情のノブに、まんまと騙されていた大学生の面々は揃って顔を見合わせると「おじさんったら気利かせすぎ!」と苦笑せざるを得なかった。
「用意周到すぎるよお父さん」
展開を予想していなかった晶の言葉に、ノブも得意げに「甘いよ」とソフトクリームへ舌を伸ばす。

「オヤジ、こないだからオカンといっしょに兄さんたちが来るの待ってたからね。そわそわしっぱなしでバカじゃねーのって思ってたけど、こういう事ばっか目端が利くんだよなー」
「いいお父さんたちだね」
「うん、まあ、ね」
口うるさいったらないけどさあ、と要らない愚痴を付け足しながら、ふと、ノブは「あのさあ」と話題を変えて神妙な面持ちになる。

「あの天才って、どんな奴なの」
「ああ、庵?気になる?」
「ちょこっとだけ」と親指と人差し指で小さな四角を作りながらノブは話を続ける。

「…姉ちゃんが、さ。休みの頭からずっと楽しみにしてたから。
こんな事お客さんに言うのも聞くのもナンだって分かってるんだけどさ、…その、良い奴なのかなって。
何となく分かると思うけど、姉ちゃんお人好しの上にあんま考えないで行動するしすぐ文句言うし口悪いし。あれでよく東京でトラブルなんないなーって思うし。でもって単純だろ?…だから」
「弟として、心配してやってんだ」
夏彦に図星を突かれて、ノブは照れくさそうに小声で「そうだよ」と答えて頬を染める。

「怒らないで聞いてくれよ。頭良い奴ってその…イヤミな奴、多いから。
俺、ウチの後継ぐかどうかも決めてないし、ただ勉強好きでやってるだけで進路とかさっぱり考えてないけど、姉ちゃんはそのー…ずっと前から安佐庵の大ファンでさ」
「ああ、知ってる」
「知ってるの?!えっ、ちょっ、…え、全員知ってるって?…っはあー…姉ちゃん何言いふらしてるんだよ全く、ちょー恥ずかしい俺」
「だっていい姉ちゃんじゃねえのさ。それに父ちゃんと母ちゃんも。あそこまで何から何まで気遣ってくれるのそう無いから」
「姉ちゃんに東京の話聞いてから、ずっと期待してるんだぜ。有名人がウチへ婿養子に来ないかなーって」

「もうか」
「期待しすぎだろ…」

「だと兄ちゃんたちも思うよな?でもあんまり姉ちゃんがニャンニャンでれでれ『庵君ちょーかっこいー☆』とかって言いまくるから、すっかりオカンもオヤジもその気になっちまっててさ。昔っからそうなんだよ、姉ちゃんばっか依怙贔屓。息子ないがしろで娘ばっか可愛がってる親ってどうなの?と思うぜ」
ひとしきり家族への不満を言いつのるも、「でもさ」とノブは言いにくそうに唇を尖らせる。
「姉ちゃんも親も、お人好し過ぎっから、俺がしっかり見極めておかないとなーと思って。
昨日から見てっけど、単なる普通のクイズ好きな大食い兄ちゃんにしか見えないし、なんつーのか芸能人オーラ無いし。お兄さんたちって安佐庵の友達なんでしょ?だったら本人いないとこでこそっとどんな奴なのか教えてほしいなーって」
ソフトクリームのコーンをかじって口の中にねじ込むと、「失礼でゴメン」とノブはバツが悪そうに下を向いた。
確かに、まあほぼ初対面の相手に対して口ぶりは失礼極まりない&遠慮無しなのが、そこが余計にいじらしさを感じさせる内容である。
何より興味本位でないのがなんとも可愛げを感じさせるではないか。
普段、食卓でどんな会話が飛び交っているのか透けて見えるような安西家の内情に、大学生の面々は無言で顔を見合わせ、誰とも無く「大丈夫」と互いにノブを励ます。

「見たまんまの性格だよ。のんきだしのほほんとしてるし、異様にマイペースだし」
「でもって大食いだな。エンゲル係数がどれぐらい跳ね上がるかはそこのロン毛ないい男…晶に聞いたらすぐ分かるぞ」
「またまたそんな事言って、大輔さん持ち上げすぎ」
「まあだが、性根は悪い奴じゃないさ。もう、当人は芸能界に興味ないようだが、それでもいいなら婿養子には申し分ないさ」
「そうですね安藤先輩、僕も後輩としてそう思います。とてもさりげなくですけど、気遣いが細やかですし、優しいです」
「ふーん…」とひとしきり大学生の面々から庵の情報を聞き、ノブは幾分わだかまりを残しつつも納得したようである。

「上京するか地元か迷ってたけど、やっぱ地元でいいや」
「あれ、そうなの?東京出てくればいいのに」
「いいよ。姉ちゃんの邪魔しない方がよさそうだしね。それに」
「それに?」

「よろしくな、姉ちゃんのこと。逆に酷い事したら四国巡礼パワーで呪ってやるかんな」

冗談の中にもしっかりと思いを言い放つノブの真っ直ぐさに、大学生たちが目を細めて「勿論」と答えるのとほぼ同タイミングで、唐突にノブの携帯がジャンジャンと着信音を鳴り響かせた。

【8月1日・お兄さんズと高校生・着信したようです・続く】












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://3373plugin.blog45.fc2.com/tb.php/506-8d37baa8

| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。