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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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疑問と回答。
*
「…ペルソナの歌声?それが、エウリュディケの正体、と…」
俺の提示したデータベースと資料に目を通し、幾月は半信半疑で俺の表情を伺う。
「そうだ」
素気なく答えた俺を見て、幾月はふうむ、と息を飲む。
「しかし、ペルソナが歌を歌うなどとは知らなかった。それは、召喚した人物の意志で歌わせるのですか?」
「さあて、どうだか。分かっているのは、日向二葉の『オルフェウス』と、白石 雪の『エウリュディケ』にはそうした能力があり、本人達も聞いたことがないはずの外国の童謡や民謡、英雄の勳などをそらんじていたようだ」
「凄いな…確かに戦闘能力とは関係ないが、これは興味深い。
日向の石頭などではなく、私の研究所に引き取りたかった逸材だ」
幾月はそう言うと、ばらしたカエルの標本見本でも眺めるようなうっとりした表情を浮かべている。こんな面を見ていると、本当にバラす気満々なのだとよく分かる。
「日向は、少女のペルソナの歌声に研究所の子供達が聞き入る光景を見ていて、何か役に立つかも知れない程度にその歌声を録音していた。その後、少女と最も親しくしていた少年…実の息子、二葉を実験体として『宣告者』を精製している際に、精神安定の一環でそれを流したようだ。素養を強制移植するのに精神崩壊を起こされて、折角植え付けたペルソナが暴走されてはたまらないからな。おそらく適当なクラシックCDが手元に無かったんだろう」
「だが、それが思わぬ副産物を生んでくれた、と」
「そうなるな。他の研究者から精神バイオリズムデータの変化を知らされ、日向はこれを基にペルソナ能力者が最も心地よく感じる音、ひいてはペルソナ能力使用時に効率を上昇させる音声の波動を抽出。それの発展系として、このペルソナ能力者洗脳プログラムは完成した」
「特別製のヘッドギアから直接その波動を放射し、その波形や出力値を変化させる事でペルソナを遠隔から能力者本人を介し召喚させるプログラム…ひいてはペルソナ能力者本人までをも支配する波動放出装置とは…いやはや、何とも恐ろしい…」
幾月はそう言いながら肩をすくめて見せるが、口元の笑みは隠しきれない。
「そうさ、こいつは恐ろしい代物だ。…これを見たら、良く分かっただろう?」

俺はノートパソコンのディスク内の最奥にしまい込んだデータを呼び出し、クリックする。
パスコードを、入力する。

画面にメディアプレーヤーが立ち上がり、古ぼけたビデオの画像が浮かぶ。

最初に映っていたのは、ヘッドギアを着けぼろぼろの白衣を着た白髪交じりの少年。
俯いて、表情は伺えない。
上部からの俯瞰画像。かつての、桐条地下実験用の戦闘ブースを思わせる作り。
おそらく、二階部分・研究室からの映像。安全な、強化ガラスの内側から撮影していたのだろう。
少しズームアウトし、少年の周囲を映す。
そこには、怯えた風の少年二人と少女一人。
彼らは手枷を嵌められ、首には脳波計測用の首輪を付けられていた。

「(さあ、これから試験を開始する。君たちは私たちに反抗した。規律を乱し、愚かにも脱走を企てた裏切り者だ。だが、もう一度チャンスを与えよう。私は慈悲深いからね)」
「(嘘吐き!)」
「(もう何日もご飯食べてない!勉強も出来ないし、喉もカラカラだよ!反抗すればロンギヌスでお仕置きするくせに!)」
「(僕たちの事騙したんだろ!本当は、悪の秘密結社の手先か何かなんだろ?もう騙されないぞ!)」

言動から察するに、実験の末期の映像だろう。子供たちの食料すら事欠いていたのは記録に残っていた。
最後まで生き延びた子供達数人は、空腹を紛らわせるために大量に倉庫へストックされていた制御剤を飲み続け、その副作用で後日搬送先の病院で亡くなっている。

「(うるさい黙れサル共め!!…いいか、これからお前達は私の最高の息子とペルソナのみと使って戦ってもらう。勝てば自由にしてやろう。だが、負ければ…ペルソナをもらうよ?)」
「(分かった…どうせ相手はあのフタバじゃないか。手加減しないで、ギタンギタンにしてやるよ!!)」

日向の挑発に、少年達はいとも簡単に応え、ペルソナ同士での戦闘は始まった。
きっと、少年達は自分たちが正義で絶対負けないとでも思っていたのだろう。だが、それは漫画やアニメの中だけの話だ。

日向の手元が映し出される。
時計の文字盤を模した、1から12のローマ字数字の入ったツマミが付いた、金属製のリモコン。
ひょいと画面が上を向く。
日向の、醜悪なにやけ面がアップで映し出される。その横顔は、オモチャに熱中する子供そのものだった。

「(さあ、最初は『魔術師』のペルソナだ。ドヴェルガーしょーかーん)」
「(アーーーウーアー アー  アイーー … アアアア …!)」

日向が「1」に合わせてツマミを回すと、画面が少年達の闘技場に固定される。
奇声を上げて、フタバ少年の身体が前後に傾いだかと思うと、頭上にどす黒い漆黒のオーラに包まれた黒い仮面のオルフェウスが現れ、足先まで具象化した瞬間、すぐに細かな黒い結晶に再分解し始めて、みるみるうちに絵本に出てくるコボルトの姿を形成する。
フタバの身体が前後左右にぐらぐらと揺れる。まるで、腕前の酷いマリオネット劇のような危なっかしい、いびつな動作。
頭上に現れた小人の仮面は放心したかのような知性の無い脱力した表情で、半開きの口に両目は開いただけの黒々とした孔が浮かんでいる。
フタバもまた、涎を垂らしたまま焦点の合わない瞳でよろよろとペルソナにひきずられるようにしてやっと立っている有様だった。

「(さあ!今日は斧で頭をかち割ってやれえ!あははははは!!)」
だが、見かけに反し、フタバのペルソナは凶暴性を剥き出しにして容赦なく眼前の子供達を襲った。

「(おおおおお、いいぞおおおお!よおーし、次は『戦車』のペルソナだあ!)」
中世の騎士が今にもバラバラになりそうな甲冑で具象化され、手当たり次第に強烈な剣撃を繰り出し子供達を八つ裂きにしていく。
逃げまどい、降参を叫ぶ少女の頭上に、かくかくと動き回る甲冑の一撃が振り下ろされ、辺りに血が飛び散る。

「(うーん、次は『節制』程度にしておくかなあ?…いやいや、やっぱりここは『刑死者』で行っておこう!)」
「(アー… ああ  ウーアー アアアアア!!  アアアアア アアアアアアアアアアアアアアアアア !!)」
白目を剥いた少年の頭上で、溶けかけた獣と絞首用の縄を持った女神の幻影がオーラの内で絡み合い、解け合って、獣の顔が腹から出た状態で具象化される。無様なスライムと化した女神と獣が、悲しげに狂った咆吼を上げて少年の頭上で猛り狂い、聞くのも辛い叫び声を上げて膨張していく。日向はと言えば、さっきから終始笑い続けている。

「(あははははあはっははははっは!またミックスレイドに失敗してるぞ!だから出来損ないは駄目だと…あははははははは)」
「(アー… ウーアー アー  アアーアーア …)」
半端な召喚で混ざり合った合成ペルソナが哀れな子供達をすりつぶし、あどけない姿を跡形も残さず肉片に変える。
全てのエネミーが消え去った後、獣は口元にほの白く光る小さなタロットカードを三枚咥えていた。
カードを獣の顔がぺろりと飲み込むと、糸が切れた人形の如く、フタバはその場にくずおれた。

「(よーしよしよし、これで一気に三つのペルソナの素養が手に入ったぞ!…おい、後であれを片付けておけ。いつも通りに椅子にくくりつけておけよ)」

フタバは泣いていた。
白目を剥き、理性を失い、もはやほとんど己の意志を失ってなお、
父親の罵倒とあざけりに泣いていた。













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