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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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最初から予想外。
*

「あああアンサー・アンサー全国大会っ!イン!四国ーーー!!」
「現役クイズ研究会を返り討ち企画!はーじめーるーよっ!!」

半ばやけっぱち気味に叫びながら、二人並んで出て行った会場で最初に視界へ飛び込んできたのは、百八十度全てを埋め尽くす人の山であった。二人がぎょっと目を剥いた瞬間、インカムから放たれた声の余韻が消えぬ間に「うおおおおおおお!!」と怒号のような観衆の歓声が辺り一帯にこだました。

「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!」
「アンサー庵だっっ!!」
「マジもんかよーーーー!!ぜってーパチモンだと思ってたのに!!」
「すっげーーー!!ネタに釣られて正解だったぜ!!」
「いーおりーん!!」
「フェリーで来たって聞いてたけど、ホントにクイズ番組に復活するのーー?!」
「こっち向いてーー!!」「アンアンだー!」「アンアン来てるー!!」
「隣の子は彼女かー!?」「写メ!写メ撮らないと!!」
「早押し見たいぞー!!」

あ、あれ?

その時、庵の背中に熱線で発汗するのとはまた訳が違う、ねばっこい冷や汗が背中にどはっと湧き出した。
いわゆる背筋ゾクゾクの瞬間真っ青状態である。
無論のどかも同じであるが、彼女の目には庵は非常に楽しいベテラン司会者の如く写っている。

イコール気付いていない。

勿論、庵も気付かれないように紅潮硬直しかかる頬の筋肉を必死に口端で引き上げている。
彼女の手前、気付かれたくない男心の為せる技であるが、目は笑っていない。
目尻は下げるが笑っていない。
引きつりMAX心臓ばくんばくんである。

未だかつて、充分に準備した状態での芸能活動でこんなに緊張したためしはない。

今日、俺パイロットのコスプレで良かった。
顔に不釣り合いなくらいにでかいレイバンで顔が隠れるから。
心の底からそう思った自分が情けなくも恥ずかしい。
彼女だって、今日はキャビンアテンダントのコスプレで恥じらいを堪えて立っていると言うのに。
しっかりしろ俺、と思うも足が、膝が軽く笑っている。
二年のブランクが早速おでましである。

だがしかし。
そこはかつてテレビを沸かせた元クイズ王様のプライドと惚れた女を守るためである。理性総動員で、素数を脳内算出しながらにこやかに手を振る。
困ったときには素数だ。
素数を胸の中で数えるとざわめきが鎮まる。数字はステキな鎮静薬。

2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41…。

…つくづく、心底好きで芸能活動やってる奴の気が知れない。
俺には、向かない世界だと庵はしみじみ思った。

改めてぐるりと見回し、予想の右斜め上・遙か彼方まで人人人で埋め尽くされた広場の惨状に、のどかはおろか庵さえも気を呑まれて絶句する。
老若男女…多少同世代の若者が目立つが、概ね年齢層もばらけた来客がアンサーアンサーとかいうマイナーなクイズゲームのイベントに暑い中待っててくれてたのかと思うと庵は不思議と温かな心境になった。

胸が熱い。

と、同時に歓声を重ねて耳にする度、妙な違和感が腹の底からむくむくと沸き上がって庵の脳裏にちらつく。

この人たち、何で俺の名前叫んでいるんだ!?
しかも、待ちかまえていたかのように!?

前日土曜日も、開催が危ぶまれていたため「イベント続行するぞ」という告知を会場周辺でのチラシ手配りとネット上のサイト隅で流しただけ、ましてや庵が司会を務めるなどサイトにもチラシにも書き込んではいなかったのだ。
むしろ規制して出さないよう出せないように徹底的な情報規制を敷いたはずであったのに、これは一体どうしたことか。

一方、先に舞台へ出ていった二人の背後、緞帳の裏では大学生四人が会場の様子を目の当たりにして硬直していた。
四人並んで口ぽかーんである。

「お、おいこれなんだよ…」
「知らないですよ大輔さん…って、どういうこと?告知はあくまで庵に名前伏せてスペシャルゲストってだけにしてたはずで…」
「しかも、ネットでも手配りのコピーチラシにも名前書いてなかったはずなのに、どうして」
「知るか!…くそっ、内部スタッフかレオナの会場スタッフから口コミでばれたのか?にしても人の数が尋常じゃねえし」

おろおろあわあわと口も足もガタガタに震え上がりそうな緊張の中、庵は会場に出てスイッチが入ったのか、内股で既に会場の空気に飲まれて棒立ちののどかに代わって「こんちわーーーーーーー!」と場を取りしきり始めていた。
再び、怒号のような「こんちわーーーーー!!」の応戦。足の裏から腹の底へ響く、独特の大歓声がのどかを更にうろたえさせるも、庵は「大丈夫」と言う代わりに力強く頷いた。

この数千・へたをすれば万いっていそうな人垣を前に、庵はのどかのため必死で己を奮い立たせ、マイクを握りしめ、全然余裕ありげにファニーな笑顔全開で拳を振り上げる。半分はやけくそであるが、顔には出さない。むしろ、鉄壁鉄仮面の営業スマイル全開である。
習性とは恐ろしいもので、小学生時代の生放送の経験が庵に必死に警告を発し「無音とフリーズはダメ・無音とフリーズはダメ・無音とフリーズはダメ…」と脳内アナウンスを繰り返し、無理矢理アドレナリンに火を点ける。

やるしかない。やるしかない。俺がやるしかないんだ!!

理由は後から考える。
今は、イベントを成功させるしかない!
それしか、道はないのだから!!

【8月3日・さあ始まりましたよ・続く】












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