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ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

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こんぴらさんの夏。
*

翌日。
五人は仕事休みをもらったのどかとノブを交え、改めて真夏の四国巡礼観光を再開した。
…全員が全身筋肉通と疲労の中では、あったが。

流石に八十八カ所を巡るのは物理的にも時間的に無理なので、金刀比羅宮参拝でもしていくか、という話になったのだが。

「…ハアハア…僕、どうやら、相当、金刀比羅宮を舐めていたようで…はううう…」
参道の果てしなく続く階段の途中で、敦は音を上げてがっくりと膝を折り段差に腰掛ける。
昨日、何の気無しに金刀比羅宮見に行こうと言ってノブと晶が相当なしかめっ面に変わった時点で気付けば良かったのだが、既に後の祭りである。

山道の傾斜に沿うようにしてどこまでも伸びる参道の階段、実に1368段。
夏の暑い盛りに、仕事疲れが抜けきらない身体では途中でへばってしまうのも自明の利であった。

僕、チキンで段数聞かれたら絶対ビンゴに出来る自信つきましたよぅ、と弱々しい強がりを吐き出すものの、暑さと筋肉の疲労がもたらすしんどさでぐったりと項垂れる。

「おいおい敦、気合い足りないぞー!ほらほら頑張って登る登る~」
近県の奴なら一度は登りにくる道なんだからなー、とどこか誇らしげに階段を駆け上がっていく庵の姿に、敦のみならず全員がどこからそんな元気が湧くものかとある種感心してしまう。昨日の仕事内容を思えば、一番働いたのは庵のはずなのだが。

だが、そんな元気なメンバーがもう一人。

「庵君待ってよっ!ここ、私でもきついんだから~」
スタスタと庵の後を追って段差を二段飛ばしで駆けていくのどかに、「いやジモッティでも観光客でもきついのは変わらないし」とノブもしかめっ面である。

「ここいらはオヤジの麺も卸してないし、姉ちゃんだって一年に一回来るか来ないかレベルでよくまあホイホイ登れるよなあ…」
既にギブアップする気満々なノブの隣で、「僕もそう思うよ…」と諦め顔な晶がぼやく。
「お社の坂道に比べたら傾斜は緩いけど、段数ハンパねえな」
「お社?」
「ん?ああ、鹿児島の実家で拝んでるお社も相当段数あるんだよ。だから俺はまだ平気だが、敦やばそうだな…大丈夫か?無理するなよ」
肩で息をしている敦の背中を、そっと大輔はさすってやると「すみません…」と敦も申し訳なさそうに頭を垂れる。
「いざとなったら俺が背負って降りるさ。俺も引越のバイトで坂道を冷蔵庫担いで上り下りしたもんだ」
それに比べれば軽いもんさ、と口では言いながら夏彦もかなり汗だくである。顔の発汗が滝状態で暑苦しい事この上ない。
タオルで拭いても拭いても「クソ暑い!」とぼやく口の端を汗が伝ってこぼれ落ちる。

今日は今年の夏一番の真夏日になりそうだ。

「ああ、もう大分上の方に行っちゃったかな…二人」
休憩がてら、他の観光客やお遍路さんを避けるように道の脇に退くと、大学生達とうどん屋の息子は遙か本殿へと上がっていった二人を見やる。

「結局こないだのデートも途中でおじゃんになったし、はしゃぐのも無理ないか」
「ったく、二人で行けばいいのに。逆に気を遣うっての」
「まあまあいいじゃねえか。俺等に昼メシ奢りたいって、庵から言い出したんだしよ」
あいつも良いトコあるんだよな、と夏彦は保護者然として遠くなった山上の影二つを遠く眺める。

踊り場で一旦待って、二言三言話した後で、お互いに笑いあってまた上へ。
足取りの軽やかな事、全く持って元気なことだ。

「明日出るんだっけ?兄ちゃんたち」
「うん、あんまり毎日毎日おばさんたちにご馳走食べさせてもらったら悪いし」
太っちゃいそうだしね、と冗談めかして晶が言うと、「気にしなくていいのに」と、ノブは名残惜しそうに呟く。

「母ちゃんの食事量がメタボまっしぐらなのは否定出来ないけどさ。…姉ちゃん、またおセンチな顔し始めるのかと思うと、いやんなるぜ」
「心配してあげてるんだ。良い弟さんだね本当に」
「ばっ、違うっすよ!ちょっと、乙女チックでキモイ顔されるのが嫌なだけですってば。マジでマジで」
「照れるなよっての」
「違いますってば!」
そう言い捨ててぷい、とそっぽを向くノブの横顔がどこか幼げで、晶は弟が出来たようなくすぐったさを覚えた。
敦も含めて、年下の相手も悪くないものだ。

「もうしばらくゆるゆる行きますか」
「だなー」
頑張る子には、ご褒美が要るよね。
晶はいつまでたっても無垢さが抜けきらない幼馴染みの姿が、彼女の背中と一緒に木陰の向こうに消えるまで、ぼんやりと目を細めて眺めた。

【8月4日・結局全員登頂成功・帰りはお土産タイム・手を繋いで降りる二人・続く】












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