トクするイケメン。
*
「あー、では今回もセクシー路線は見送りでいいか?お前達」
「すみません、相手の良い所取りなんですけど一つ。
頭に乗せる帽子類なんですが、魔法学園さんみたくお花とか乗せてみるのは一考の価値ありかと思われます。プルメリアの花飾りも受けが良かったですしね」
「あれはグルメ班の自信作だったもんねー」
「男性女性兼用で苦労したよなー」
グルメ班のイヴとケイトがひそひそとおしゃべりする横で、ピースケの提案は続く。
「ウェスタンハットだけじゃなくて、もっと凡庸性が利く新規デザインの参考にするのはどうかと。そうすれば、タワーの景品やスペシャルマッチでも目新しさが出るのでは」
ようやく出た建設的な追加意見に、マーティもふむふむと得心し頷く。
「ふむ、なるほどな。衣装・小道具試作品担当のグルメ班としてはどうかな?副議長。頭に据え付ける型の花飾りは」
「そうですねぇ、通常のお花型では茎部分が細く針金では中々耐久性が出せないので、出来たら一度作ったら破損しにくいデザインのものがいいですわ。また、マッチング画面上であまり高さがあるものは上部に見切れてしまうから採用できないので、二点を考慮したデザイン案を出来たらまたエンタメ班デザイナー部から提出していただきたいのだけれど」
「え~~…またこっちへデザイン丸投げかい?勘弁してほしいな」
僕はマッチング出勤率高いのにさー、とエンタメ班のハントはあからさまに難色を示す。
ようやく顔のめりこみから立ち直ったボンドも椅子を戻して着座し直すと力強く同意を示す。
「だよなー!何でか俺とハントは最近出勤回数が多い気する!デザイン請けてもいいけど、その間もっと他の班にマッチングフォローしてほしいぜ」
「お黙りアインシュタイン」
「キュリーさんがお怒りだボンド。頑張って四位になってきてくれ」
「ええっ!?俺!?俺だけなのハント?!丸投げか!?丸投げなのか!?つか何でそんなに今日はカリカリしてるのキュリーさん!?」
「…いいですよね、デザインだけしてればいい班の方々って…ウチは他の班から提案されたクイズ形式をどうやって実用化させてシステム実装させるか毎回毎回悪戦苦闘してるっていうのに…こないだのプレッシャーやダウトだって何度オフライン上でテストプレイしてバグ修正してたか全然理解されてないみたいですし…」
「キュリー…泣くな、それが俺達の仕事だろ?」
「分かってます、分かってますけど、私ここ一週間以上「四人奪取」の調整で毎日二時間しか寝てなくて…その上マッチングのヘルプに入ってたけど、今日鏡見たらお肌ボロボロでクマ出来てるし…みっともないから会議も出たくなかったのに…これで不採用になったらお家に引き籠もって秘蔵の「呪怨・厳選恐怖画像シリーズ」鑑賞で心を慰めるしかないですぅ…グッスン」
「キュリー!泣くなって!他の連中だって死に体で頑張ってるんだ!きっと来年は予算増えるから!最新機器導入してもらえるから!な!」
「は、はい、エリオンさん…ぐすっ」
何も言えねえ。
ボンドは顔をしかめて絶句しかけるも、ここで立ち止まってはダメだと己を奮い立たせる。
「よ、よし俺が次はすっごいいいデザイン描いてやるって!そいでもってプログラムとか簡単なクイズも考えようぜ!俺も一生懸命頑張って考えるからさ!」
それを聞いて、女性陣から一様に「えー」と冷めた反応が跳ね返る。
「ボンドさんは最初の水着案からしてエッチなのでダメだよねー」
「しかも出してくる衣装デザイン案ださいしなー!お花のデザインでチューリップが許されるのはぁ、幼稚園児までだよなー!!」
「…なんか、俺さっきからフルボッコにあってない?ひでえ、ひでえよー…」
グルメ班女性陣にくそみそな言われようをされ、頭が机にめりこみそうな勢いでしょげるボンドの手元に、ウェルズはそっとビスコを差し入れる。
その隣で、ハントは涼しい顔で微笑んでいる。
流石はもてもてロン毛軍団、女性陣に敵を作らない所作だけは糸目と並んで見事なものだ。
「気のせいだよボンド。じゃあ、また僕がデザイン案請け負うからその間マッチング交代してね」
「はーいハント君」
「ハントはセンスいいから、すっごい期待してるぜ!」
「楽しみにしてるわよ」
「勿論!期待しててね。良ければ、また近くのカフェで意見もらえるといいな」
「オッケー!」
「おいおい、会議でナンパは禁止だぞー」
ひたすらキザな言動が許される同僚にそっと唇を噛むボンド、そしてマーティの取り成しで和む会議の傍らで「ハントは要領良くていいなあ」とひっそりと思う、不器用なロン毛のアレキサンダであった。
【ロン毛無双・その頃糸目は・続く】
「あー、では今回もセクシー路線は見送りでいいか?お前達」
「すみません、相手の良い所取りなんですけど一つ。
頭に乗せる帽子類なんですが、魔法学園さんみたくお花とか乗せてみるのは一考の価値ありかと思われます。プルメリアの花飾りも受けが良かったですしね」
「あれはグルメ班の自信作だったもんねー」
「男性女性兼用で苦労したよなー」
グルメ班のイヴとケイトがひそひそとおしゃべりする横で、ピースケの提案は続く。
「ウェスタンハットだけじゃなくて、もっと凡庸性が利く新規デザインの参考にするのはどうかと。そうすれば、タワーの景品やスペシャルマッチでも目新しさが出るのでは」
ようやく出た建設的な追加意見に、マーティもふむふむと得心し頷く。
「ふむ、なるほどな。衣装・小道具試作品担当のグルメ班としてはどうかな?副議長。頭に据え付ける型の花飾りは」
「そうですねぇ、通常のお花型では茎部分が細く針金では中々耐久性が出せないので、出来たら一度作ったら破損しにくいデザインのものがいいですわ。また、マッチング画面上であまり高さがあるものは上部に見切れてしまうから採用できないので、二点を考慮したデザイン案を出来たらまたエンタメ班デザイナー部から提出していただきたいのだけれど」
「え~~…またこっちへデザイン丸投げかい?勘弁してほしいな」
僕はマッチング出勤率高いのにさー、とエンタメ班のハントはあからさまに難色を示す。
ようやく顔のめりこみから立ち直ったボンドも椅子を戻して着座し直すと力強く同意を示す。
「だよなー!何でか俺とハントは最近出勤回数が多い気する!デザイン請けてもいいけど、その間もっと他の班にマッチングフォローしてほしいぜ」
「お黙りアインシュタイン」
「キュリーさんがお怒りだボンド。頑張って四位になってきてくれ」
「ええっ!?俺!?俺だけなのハント?!丸投げか!?丸投げなのか!?つか何でそんなに今日はカリカリしてるのキュリーさん!?」
「…いいですよね、デザインだけしてればいい班の方々って…ウチは他の班から提案されたクイズ形式をどうやって実用化させてシステム実装させるか毎回毎回悪戦苦闘してるっていうのに…こないだのプレッシャーやダウトだって何度オフライン上でテストプレイしてバグ修正してたか全然理解されてないみたいですし…」
「キュリー…泣くな、それが俺達の仕事だろ?」
「分かってます、分かってますけど、私ここ一週間以上「四人奪取」の調整で毎日二時間しか寝てなくて…その上マッチングのヘルプに入ってたけど、今日鏡見たらお肌ボロボロでクマ出来てるし…みっともないから会議も出たくなかったのに…これで不採用になったらお家に引き籠もって秘蔵の「呪怨・厳選恐怖画像シリーズ」鑑賞で心を慰めるしかないですぅ…グッスン」
「キュリー!泣くなって!他の連中だって死に体で頑張ってるんだ!きっと来年は予算増えるから!最新機器導入してもらえるから!な!」
「は、はい、エリオンさん…ぐすっ」
何も言えねえ。
ボンドは顔をしかめて絶句しかけるも、ここで立ち止まってはダメだと己を奮い立たせる。
「よ、よし俺が次はすっごいいいデザイン描いてやるって!そいでもってプログラムとか簡単なクイズも考えようぜ!俺も一生懸命頑張って考えるからさ!」
それを聞いて、女性陣から一様に「えー」と冷めた反応が跳ね返る。
「ボンドさんは最初の水着案からしてエッチなのでダメだよねー」
「しかも出してくる衣装デザイン案ださいしなー!お花のデザインでチューリップが許されるのはぁ、幼稚園児までだよなー!!」
「…なんか、俺さっきからフルボッコにあってない?ひでえ、ひでえよー…」
グルメ班女性陣にくそみそな言われようをされ、頭が机にめりこみそうな勢いでしょげるボンドの手元に、ウェルズはそっとビスコを差し入れる。
その隣で、ハントは涼しい顔で微笑んでいる。
流石はもてもてロン毛軍団、女性陣に敵を作らない所作だけは糸目と並んで見事なものだ。
「気のせいだよボンド。じゃあ、また僕がデザイン案請け負うからその間マッチング交代してね」
「はーいハント君」
「ハントはセンスいいから、すっごい期待してるぜ!」
「楽しみにしてるわよ」
「勿論!期待しててね。良ければ、また近くのカフェで意見もらえるといいな」
「オッケー!」
「おいおい、会議でナンパは禁止だぞー」
ひたすらキザな言動が許される同僚にそっと唇を噛むボンド、そしてマーティの取り成しで和む会議の傍らで「ハントは要領良くていいなあ」とひっそりと思う、不器用なロン毛のアレキサンダであった。
【ロン毛無双・その頃糸目は・続く】
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