3373plug-in

ゲーム二次創作中心ブログ。 更新まったり。作品ぼちぼち。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- --:-- | スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-) |
ラスボス登場。
*
ほんのりと冷え切った空気が緩むと、おそるおそる皆背後のモニターに注目する。
見れば二面モニターの右側に、ランカー用の王族風白装束を身につけたアバターの全身像が映し出されていた。
アンサーアンサーゲーム内の決勝用ステージをバックに、中央へ佇む「男の子1」アバターの王子。
髪も目も橙色、金の王冠を被ってさしずめ黄金色のランカーと言った様相で腕組みをして画面中央で堂々と揺れている。

『そんくらいにしといてやれって。元王者がアイドルいびりとか、つまんねえぞ』

どうやらアバター王子は声に合わせて喋っているようで、音声ぴったりに口をパクパクとさせ、おまけに眉をひそめて頭の左右にハテナマークまで出してみせる。声色もいわゆる「男の子1」の声そのままだが、どうも節々で機械的な変声を感じる。ボイスチェンジャーを使っているとすると、スタッフが背後で操作しているのだろうか。

「うおっ、もう操作してるの?それ、お客さんが全員引いてから動作確認するんだったんじゃ…」
「何これ?どういうこと、庵」
おそるおそる、晶が問いかけると「明日のエキシビジョン用」と答える。

「企画当初は、このモデリングを操作して舞台上でクイズバトルしてもらうつもりだったらしいんだ。壇上の筐体前、プレイしている本人は衝立とかで目隠ししといて、観客向けの画面に普段使い慣れたアバターのみを表示する。ボイスチェンジャーで声色もアバターと同様の声色に変えられるそうだから、キャラの声で言い合いや掛け合いをこなしながら、負けた方は罰ゲームで顔晒し~、みたいな演出も可能だった訳。ただ、データ調整が最後の最後まで追いつかなかったらしくて、ぽしゃったんだと。けど、どうせだしって今回の九州大会には間に合わせたみたいで、どうせなら試しプレイも兼ねてエキシビジョンマッチで使ってみようって話になったんだよ」
「へえ…これなら、顔見せなくていいからクイズに集中出来るね」
「まあ、アバターの操作方法が煩わしいとか、逆に後で顔を晒されるのが不快とか、予算と技術的な都合上、突発的な出場者全員分のアバターカスタマイズに対応出来ないとか、反対意見も多数出てたらしいからな。で、今回は特別に、九州王者さんのカスタマイズを事前に用意しておいて、本人に当日これの操縦をしてもらうらしいよ」
「へえ!面白い試み」
「なんかさ、サツマさんまだ来てないそうでさー。俺すげーやりたいっつったんだけど、頑として裏手に回らせてくんないんだぜー!」
不満げにぶーぶーと口を尖らせる庵の声が聞こえているのか、「そうなん?」と画面内の王者がまたもや首を傾げてハテナマークを頭に生やす。

『つうか、もう本人が入ってるんだけど』
「ななななんだっt(ry」
「いつの間に!」
ステージ上の全員が顔を揃えて画面のアバター王子を凝視する。と、画面の中で王子は嬉しそうに「へっへー」と頬を赤くしてニコリと笑った。

『あーっと、ついさっき。で、今これを操縦させられてる訳だが』
「えーいるの!?いるの後ろ!?俺がグダグダしてる間にそんな事を!つかそっち行ってもいいですか!つか自己紹介まだか俺!」
『落ち着けクイズ王。そしてこっち来るな。こっち見んな!明日まで楽しみはとっとけ。…えーと、じゃあ俺先に自己紹介するな。サツマハヤト。名前の通り鹿児島育ち。よろしく』
「おっすよろしく!俺、安佐庵!明日はよろしくな!それ、ところでどう?おもろい?なあなあ面白い!?」
『面白いな!ボタン一つで「笑う」「泣く」「怒る」「喜ぶ」「考える」のモーション操作出来るみたいだ。で、声もインカム内蔵のボイスチェンジャーでこの通り、ゲームに入ってるみたいな感覚で遊べるぞ。最初からこう出来てたら、かなり集客違ったんじゃねえのかな』
「だな!俺もこれだったらすげーしてみたいと思った!いいなーすげーいいなー…」

「あれなにー?」「演出?」と、ステージ下の参加者たちからも巨大ビジョンのアバター映像と音声が確認出来ているのだろう、ざわざわと歓声が漏れ聞こえてくる。
どこからともなく「サッちゃーん!」「サッちゃんでかーい!」と大向こうのようなチーム面の掛け声が入ると、ステージの上下問わず和やかな笑い声が漏れ聞こえてきた。

『うーっす、外でも見えてるし聞こえてるっぽいな。…おーい!帰ったぞーい』
中の人・サツマの声に合わせて楽しげにアバターが両手を振ってみせると、参加者たちからは「おかえりー!」「おせーよバカー」と口々に温かい歓声が上がった。

『はいはいどーもどーも俺です。サツマでーす。ご無沙汰してまーす。皆さん明日に向けて段取りは大丈夫ですかー?』

「おーっす!」
「大雑把にはなー」
「なんとなくー」

『なんとなくでも分かれば結構こけこっこう。…割と声量出てるな。外まで割と響いてるっぽいが…あのさ、今周りに居る一般のお客さんに見られるとまずいの?これ』
一旦マイクを外して背後のスタッフと話をしているようで、小声のくぐもった男性の声が微かに漏れ聞こえる。

『ええと、大丈夫?大丈夫なんだな?…了解、じゃあ手短に済ませるわ。(マイク装着)
…ええ、皆さん、明日は待ちに待った九州大会です!しかも大会最初で最後のチーム戦!これは盛り上げない訳にはいかない!
何故なら、九州人は情に厚い!仲間と、そしてお国の誇りがある!一人の矢尻は弱くても、五人の矢なら滅多にゃ折れない!』

「その通り!」
「九州は一つの国ですから!」

『イエス、公式大会で九州一決定戦が出来るなんて贅沢な話だ!それに加えて、明日は本州からのお客人も来るとのこと。これは皆々様で返り討ちフラグって訳だ!俺の言いたい事、分かるよなー!』
「本州王者を倒して完全優勝!」
「目指せ日本一フラグですねわかります!」
『イエス、ウィーキャン!米国のオバマ候補みたく、やってやれない事はない!明日は壇上の王者をバッチリ倒して、是非長崎おごじょデート権をゲットしましょう!俺からは以上!明日、楽しんでいこうなー!』
おおおっ、とステージ下から怒号のような雄叫びを浴び、九州王者のアバターはご満悦で手を振り笑顔を振りまく。

『…と、後は動作確認諸々したら俺はドロンするから。手合わせは又明日な、クイズ王』
ふいに話を振られて、庵は珍しく「おおっ」と一瞬口ごもるも、すぐに気を取り直して「おうっ!」と強気に言い返す。
「つうか、今日はまだ顔見せてくんないんだ」
『おう、それと』
「ん?」

『気が立ってるみたいだが、弱い者いじめはいただけねえよ。バカはバカで究極バカの本気バカでも、あんまりいびってやんなよ』

「うっ、すんません( ´・ω・`)…つうか、今なにげにサツマさんもきっつい事を」
『まあ気にするな、普段からこうなんだよ。だから敵も増えて仕方なかったし。じゃあ、段取りよろしくな』

そこまで言い終わると、サツマはマイク越しに機器専門スタッフとの打ち合わせに入ったようで、こちらにはお構いなしでポリゴンモデルを操作して笑ったり泣いたり手足を振り回して見たりと、指示に従った動作確認を行い始めたようだ。
ステージ下の会場では、高揚した参加者たちがスタッフの誘導の間に間に歓声を上げて、キャッキャとハイテンション気味に右往左往しているのが見えた。前夜祭のようなまとまりつつも落ち着かない、ざわついた雰囲気が、既に会場を支配している。

明日はどうなったもんかと思案に暮れる前に、庵は自分の余裕のなさにようやく気付いて苦笑をもらした。

「庵」
「ああ、悪い晶。じゃあさっさと済ませて明日に備えるかな」
ほっとした様子の友の横顔に、庵も明るい笑顔を浮かべて顔を起こした。

【8月11日夕方・リハーサル終了・そして明日へ・続く】












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://3373plugin.blog45.fc2.com/tb.php/596-06a021b9

| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。