Live!の感想はネタが尽きた頃にまた後日。だってデータ更新したくらいなんですもの!
我思う、故に我有り。
我思う、故に我有り。
*
そんなこんなでリハーサルも済んで、後は明日の本番を待つばかりとなったのは夜19時前。
その後もスタッフは機材の最終確認等でまだまだ打ち合わせをしているというのだから頭が下がる。
庵は一人、だだっ広いロイヤルスイートのキングサイズベッドに着の身着のまま身を投げ出して寝ころぶと、そのまま低反発枕へと顔を埋める。
寝不足と疲労はすぐに身体に堪える。頭の芯が甘く痺れてるようで思考が冴えない。
年食った証拠なのかなと自嘲すると、現状に対してまるで現実感を覚えない自分が奇妙でもあった。
ののちゃんと付き合えるようになった。
敦も、ちょこっとだけしっかりしてきた…かな。
先輩も先輩で楽しんでるみたいだし。
晶はこれからか。
何だ、順調じゃないか。
ハッタリと勢いだけで始めた「ように見せた」計画だったが、それなりに日本全国のそこかしこを見て回れた。
食べるもの食べて、寝て食って動いて遊んで。
大学生らしい、賑やかな夏休み。サマーバケーション。
「計画通り、ってか」
こういう時こそこういうべきだろうか。
流行りも大事。
本当の事を言うのは、もう少し先。
その、「もう少し先」まで、あと数ヶ月。
うち明けるタイミング、いつにしようかな。
アイアイの件も含めて、あんまり煩わしい事を考えたくないだけかも知れないけど、将来襲い来るかもしれないリスクについて検討するよりも楽しい事だけを考えていたかった。「楽しい」だけが詰まった思い出。そんなのを欲しがったって、バチを当てないでほしい。
ずっと、欲しいものは手に入らずじまいだったのだから。
すう、と息を吸って吐いて、そのまま目を閉じる。
眠って起きたら、レストランに行こう。
特別扱いは窮屈なだけだから。そんなことを思いながら、寝返りを打った。
*
ディナータイムぎりぎりにレストランへと赴く。
ラストオーダーが22時だったのを覚えていたので、そのままの格好で寝癖だけ直して下階へ。
そこそこの会食客がいるのを横目に、受付が冷や汗をかくようなTシャツ姿で来店しそのままお薦めコースを食する。
無理もない。周囲はそれなりに正装した男女ばかりである。
俺の顔がくっついてなければ注意される事請け合いだ。
隅の席に通され、ワインはいかがなさいますか、と問われて遠慮すると、そのまま食後のコーヒーまで過度なお節介もなく静かな時間が流れる。
将来は、きっとこんな食事ばかりになるんだろうなと思いつつ、フルコース5,000円のメイン・鹿児島産黒毛和牛の和風ステーキを黙々と切り分けて黙々と口に運ぶ。シーザーサラダも馬肉のカルパッチョも、食って押し込めば皆同じだ。美味しいと感じて嬉しいのは一瞬。
思い出も一瞬。
みんなと一緒に食べたら良かったかと思いもしたが、仮眠を取る少し前に食事に誘われて断ったのだ。
時折、ひどく眠い…と同時にけだるさを覚えるようになった。
俺も年をとったもんだ。
いつか。
いつか全ての記憶が俺の手を離れる時に。
俺は幾つ「よかった」と思える記憶を抱えていられるのだろう。
残り少ない大根おろしと酢醤油を絡めた最後の肉の切り身を口に入れながら、感傷だなあと自嘲して肉汁の旨味を噛み締めた。
*
部屋に戻ると23時前。もう寝なくちゃと思い、ベッドの上へ放り出したままだったケータイを手に取ると幾つも着信の後と複数のメールが詰まっていて慌てて開封作業に入る。
明日大丈夫?とメールしてきてた晶には、「だいじょぶよ( ´ω`)」とメールを一番に返して。
無理なさらないでくださいね、とどこから俺のメアドを聞いたのか(晶かな?)杏奈さんのメールには、短い感謝の言葉を。
着信先の相手には、深呼吸の後に思い切りぎゅっと強くリダイアルボタンを押して。
「・・・ あ、ののちゃん? …うん、ごめん、今日色々あったから。昨日もろくにメール返さなくてごめん。実はさ…うん、うん、ああ、杏奈さんから聞いたの?そっか… うん、じゃあ待ってて。すぐ後で大村湾の夜景送るから。え?いいの? …そっか、じゃあしばらくこのまま話そうかな…」
今日も睡眠時間は短くなりそうだけど、それもまた、一瞬の思い出。
手放し難い、鮮やかな一瞬の夢。
俺が欲しかったものは、その先にあるのかな。
そんな事を思いながら、俺は嘘みたいにふかふかでひんやりとしたキングサイズベッドにダイブして、耳元のくすぐったい囁きをにやにやしながら聞いて夜を過ごすのだった。
【8月11日夜・ラブラブターイム・その頃他のメンバーは・続く】
そんなこんなでリハーサルも済んで、後は明日の本番を待つばかりとなったのは夜19時前。
その後もスタッフは機材の最終確認等でまだまだ打ち合わせをしているというのだから頭が下がる。
庵は一人、だだっ広いロイヤルスイートのキングサイズベッドに着の身着のまま身を投げ出して寝ころぶと、そのまま低反発枕へと顔を埋める。
寝不足と疲労はすぐに身体に堪える。頭の芯が甘く痺れてるようで思考が冴えない。
年食った証拠なのかなと自嘲すると、現状に対してまるで現実感を覚えない自分が奇妙でもあった。
ののちゃんと付き合えるようになった。
敦も、ちょこっとだけしっかりしてきた…かな。
先輩も先輩で楽しんでるみたいだし。
晶はこれからか。
何だ、順調じゃないか。
ハッタリと勢いだけで始めた「ように見せた」計画だったが、それなりに日本全国のそこかしこを見て回れた。
食べるもの食べて、寝て食って動いて遊んで。
大学生らしい、賑やかな夏休み。サマーバケーション。
「計画通り、ってか」
こういう時こそこういうべきだろうか。
流行りも大事。
本当の事を言うのは、もう少し先。
その、「もう少し先」まで、あと数ヶ月。
うち明けるタイミング、いつにしようかな。
アイアイの件も含めて、あんまり煩わしい事を考えたくないだけかも知れないけど、将来襲い来るかもしれないリスクについて検討するよりも楽しい事だけを考えていたかった。「楽しい」だけが詰まった思い出。そんなのを欲しがったって、バチを当てないでほしい。
ずっと、欲しいものは手に入らずじまいだったのだから。
すう、と息を吸って吐いて、そのまま目を閉じる。
眠って起きたら、レストランに行こう。
特別扱いは窮屈なだけだから。そんなことを思いながら、寝返りを打った。
*
ディナータイムぎりぎりにレストランへと赴く。
ラストオーダーが22時だったのを覚えていたので、そのままの格好で寝癖だけ直して下階へ。
そこそこの会食客がいるのを横目に、受付が冷や汗をかくようなTシャツ姿で来店しそのままお薦めコースを食する。
無理もない。周囲はそれなりに正装した男女ばかりである。
俺の顔がくっついてなければ注意される事請け合いだ。
隅の席に通され、ワインはいかがなさいますか、と問われて遠慮すると、そのまま食後のコーヒーまで過度なお節介もなく静かな時間が流れる。
将来は、きっとこんな食事ばかりになるんだろうなと思いつつ、フルコース5,000円のメイン・鹿児島産黒毛和牛の和風ステーキを黙々と切り分けて黙々と口に運ぶ。シーザーサラダも馬肉のカルパッチョも、食って押し込めば皆同じだ。美味しいと感じて嬉しいのは一瞬。
思い出も一瞬。
みんなと一緒に食べたら良かったかと思いもしたが、仮眠を取る少し前に食事に誘われて断ったのだ。
時折、ひどく眠い…と同時にけだるさを覚えるようになった。
俺も年をとったもんだ。
いつか。
いつか全ての記憶が俺の手を離れる時に。
俺は幾つ「よかった」と思える記憶を抱えていられるのだろう。
残り少ない大根おろしと酢醤油を絡めた最後の肉の切り身を口に入れながら、感傷だなあと自嘲して肉汁の旨味を噛み締めた。
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部屋に戻ると23時前。もう寝なくちゃと思い、ベッドの上へ放り出したままだったケータイを手に取ると幾つも着信の後と複数のメールが詰まっていて慌てて開封作業に入る。
明日大丈夫?とメールしてきてた晶には、「だいじょぶよ( ´ω`)」とメールを一番に返して。
無理なさらないでくださいね、とどこから俺のメアドを聞いたのか(晶かな?)杏奈さんのメールには、短い感謝の言葉を。
着信先の相手には、深呼吸の後に思い切りぎゅっと強くリダイアルボタンを押して。
「・・・ あ、ののちゃん? …うん、ごめん、今日色々あったから。昨日もろくにメール返さなくてごめん。実はさ…うん、うん、ああ、杏奈さんから聞いたの?そっか… うん、じゃあ待ってて。すぐ後で大村湾の夜景送るから。え?いいの? …そっか、じゃあしばらくこのまま話そうかな…」
今日も睡眠時間は短くなりそうだけど、それもまた、一瞬の思い出。
手放し難い、鮮やかな一瞬の夢。
俺が欲しかったものは、その先にあるのかな。
そんな事を思いながら、俺は嘘みたいにふかふかでひんやりとしたキングサイズベッドにダイブして、耳元のくすぐったい囁きをにやにやしながら聞いて夜を過ごすのだった。
【8月11日夜・ラブラブターイム・その頃他のメンバーは・続く】
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